
岡崎市議会6月定例会が6月1日(月)に開会しました。この度の定例会については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、一般質問は実施しないことといたしました。通常より短い日程で開催されていますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
初日に申し上げた所信の一端ならびに提案した議案の大要を掲載します。
はじめに、新型コロナウイルス感染症対策の現状について説明いたします。
本市では全国に緊急事態宣言が出された4月に、条例に基づく対策本部に移行し、保健部に、新型コロナウイルス感染症・対策班、福祉部・経済振興部に、市民生活・事業者支援・対策班を設置し、人事異動により職員を配置し、体制を強化しております。緊急事態宣言・解除後についても、発令中に準じ、対策本部を継続し、臨機応変に対応できる体制としております。
特別定額給付金
1人10万円の特別定額給付金につきましては、郵送での申請受付も始まり、少しでも早く市民の皆様に行き渡るよう、本日より毎日、職員50人に加え、業務委託による計100人態勢で、支給事務を進めてまいります。
また、生活にお困りの方を対象とした「早期特別申請」では、市内7か所に、のべ260人の職員を投入し、約2,200件、金額にして5億円を超える申請を受け付けました。緊急事態として最優先で手続きを行い、5月22日から順次、支給しております。最も必要としている方々に、いち早く給付する一方で、市内16万5千世帯のすみずみまで確実にお届けできるよう、今後も全職員一丸となって努力してまいります。
営業自粛要請に対する協力金
営業自粛要請に対する協力金につきましては、岡崎商工会議所をはじめとする、各種団体から、様々なご要望をいただいております。

経済成長を通じ、本市の発展を支えていただいた、事業者の皆様のご要望を受け、県と協調した支援を行うとともに、本市独自の協力金支給制度を創設しております。経済振興部には、観光課に、感染症対策・協力金相談・専用窓口を設け、商工労政課には、事業者・相談窓口を設置し、セーフティネット認定、信用保証料の補助制度など、きめ細かな相談に応じられる体制をとっております。
今回の緊急事態宣言では、自粛要請による収入減に加え、学校の一斉休校の影響で、子育て世帯に大きな負担が生じる結果となりました。
本市では、5月臨時会で成立した「子育て世帯への臨時特別給付金」を少しでも早くお届けできるよう、処理を前倒し、6月24日にお支払いできる見込みとなりました。
公共施設について
児童育成センターについては、春休み期間に引き続き、5月7日までの平日は、午前中から開所する対応を行ったほか、密集防止のため、利用自粛にご協力いただき、1か月あたりの利用日数が10日以下となったかたには、育成料を全額又は半額免除とする対応をさせていただいております。
また、本市固有の文化・芸術をいち早く復興するため、本日から8月末日までの3か月間を「文化芸術の再起動月間」と位置づけ、ホール及び美術館・展示室の使用料を半額に減免し、発表の場として提供いたします。スポーツ施設についても、入場料を徴収してスポーツイベントを開催する団体に対して、文化施設同様、会場使用料を半額に減免いたします。
小中学校対策
今年3月から続いていた小中学校の臨時休業につきましては、県内では最も早い、5月21日から学校を再開し、本日から、通常授業を開始いたしました。それに伴い、同じく本日から西三河地域で最も早く学校給食を開始しております。この通常授業に先立ち、段階的に登校人数、在校時間を増やし、新型コロナウイルス感染症に対する子ども達や保護者の不安を払拭すると同時に、徐々に学校に慣れていただくよう、配慮いたしました。
皆様には、多大なるご心配をおかけいたしましたが、夏休みを短縮して授業日数を増やし、長期の休業によって生じた学びの遅れを取り戻してまいります。
国による緊急事態宣言の発令を受け、文部科学省では、1人1台のパソコン端末配備を前倒し、今年度内で完了することを目指しております。本市におきましても、今年度中には、国の方針どおり、全小中学生の1人1台の端末整備の実現を目指し、あわせて危機管理時においても、安心して授業が可能となる、岡崎の教育の体制作りも視野に入れ、岡崎版GIGAスクールの実現を目指してまいります。
なお、お問い合わせの多い、小中学校の学校・開放事業につきましては、本日の学校活動・再開後、1か月程度を目途に、学校の状況を確認しながら、再開の時期を検討してまいります。
岡崎市民病院の医療内容について
次に、市民の生命と健康を守るために欠かすことのできない、地域医療を担う市民病院についてであります。
がん医療・高度急性期医療の充実を進める市民病院では、がん診断に威力を発揮するPET-CT検査装置を、4月から予定どおり稼働させました。がんの転移や再発診断などで活用するほか、広く市民の皆様が、PET-CT検診を受けられるよう準備を進めており、がんの早期発見・早期治療に威力を発揮する環境を整えてまいります。


患者の身体的負担が軽減される手術支援ロボット、いわゆるダビンチも整備され、手術支援ロボットによる豊富な手術経験のある医師が、4月より市民病院に配置されたことにより、予定より早く4月に第1例目の手術が行われました。
愛知病院の経営移管による、市民病院へのがん診療機能の集約につきましては、乳腺外科の外来機能も、5月11日から市民病院で外来診察を開始し、外来から手術、入院まで、市民病院で一貫した治療が行えるようになりました。特に、乳がんの組織採取検査では、腹臥位(ふくがい)、すなわち腹ばいの楽な姿勢で検査ができる、最新の検査装置を西三河で初めて導入するなど、安心して検査が受けられるようになりました。こうした取り組みにより、患者の負担軽減が図られるなど、順調にがん診療が充実してきております。
引き続き、地域住民に信頼され、選ばれる病院となるよう取り組んでまいります。
岡崎市龍北総合運動場
次に、平成29年からPFI事業にて整備を進めてまいりました、龍北総合運動場ですが、この7月に全面供用開始、グランドオープンを迎えます。

長年、本市のアスリート達が待ち望んでいた全天候型の陸上競技場は、インフィールドに天然芝を整備しており、陸上競技のほかにも、サッカー、ラグビー、グランドゴルフなど、様々な大会の開催が可能となり、約1,000席のスタンド席と芝スタンドにより約5,000人の観客を収容することが可能となります。
このほか、硬式野球が可能な野球場、本市初となる人工芝のサッカー・ラグビー場、クラブハウスを備えた、砂入り人工芝テニスコート、アーチェリー場、更には、フットサル、少年サッカーの利用や臨時駐車場にもなる多目的運動場も整備しております。
このように、本市初となるスポーツ施設の機能が加わった龍北総合運動場は、本市の新たなスポーツの拠点として、生まれ変わります。特に、スポーツにおけるトップアスリートの活躍は、私たちに夢と希望を与えてくれます。この新型コロナウイルス感染症を克服し、来年には、東京オリンピック・パラリンピックが安全に開催できるよう願っております。
市民サービスの窓口の新たな設置など
今年度、新たな取り組みとして、高齢者のかたを対象とした、通話・録音装置などの特殊詐欺・対策装置の購入費に対して、補助を開始しております。
市内の特殊詐欺・被害は増加傾向にあり、全国では、特別・定額給付金に便乗した詐欺被害が報告されております。手口は悪質かつ巧妙化しており、その被害者のほとんどは高齢者であります。この通話・録音装置などの対策をし、犯人との接触を防止することで、特殊詐欺・被害の未然防止を図り、市民の皆様が、安心して暮らせるまちとなるよう、より一層力を入れてまいります。
市民サービスの利便性向上に向けた取り組みといたしましては、この秋、イオンモール岡崎において、新たに市民サービスの窓口を開設いたします。
当初は国の施策でもあります「令和4年度末までに、ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していること」を目指し、マイナンバーカードの普及・推進のため、市役所の業務時間後や土日、祝日でも気軽に、幅広い層にマイナンバーカードを申請していただけるよう、業務を開始いたします。
その後は、住民票の写しの交付など、市民の利便性が一層向上するように、取り扱うサービス内容の拡大を検討してまいります。
それでは、本議会に提案をいたしております、議案について説明させていただきます。
議案について
条例議案は、地方税法等の一部改正に伴い、関連する規定を整備する、「岡崎市・市税条例の一部改正」、人事院規則に準じ、新型コロナウイルス感染症・対策業務に関して、防疫等・業務手当の特例措置を定める「岡崎市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正」の2件を提案させていただいております。
その他議案といたしましては、梅園小学校ほか31校の校内ネットワーク整備等・工事一式に関する「工事請負の契約」、タブレット端末用・充電保管庫に関する「物品の取得」、藤田医科大学岡崎医療センターで使用するため、救急自動車・1両を譲与する「物品の譲与」など、10件を提案させていただいております。
次に、補正予算議案でありますが、一般会計は9億6,914万7千円の増額、特別会計は137万7千円の増額補正をお願いしております。
総務費では、イオンモール岡崎において、市民課出張所の開設に伴う、施設整備事業費などの計上、民生費では、支給要件の緩和等による住居確保給付金の増額、小学校の臨時休業に伴う、民間児童クラブへの放課後児童健全育成事業費補助金の増額、矢作こども園の園児送迎用駐車場の新設及び入口進入路拡幅のための土地購入費などの計上、衛生費では、愛知県が創設する医療従事者・応援金に係る負担金の計上、土木費では、国の事業採択による岡崎公園前駅バリアフリー化整備事業費補助金の計上、教育費では、岡崎版GIGAスクール構想の実現に向けた、タブレット型情報端末整備委託料の計上などをお願いしております。
以上が、今議会に提案いたしました議案の大要であります。
むすび
最後に、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は解除されましたが、財政の緊急事態は、ここからがスタートだと思っております。経済活動が強く制限されたことで、市税等収入の大幅な減収が避けられない状況であり、かつ、この状況が長期化することが懸念されております。
今回は、財政調整基金を取り崩して、緊急的な財政出動も実施いたしました。当然のことながら、これまで通りの行財政運営を漫然と続けていくことは不可能な状況です。
しかしながら、本市には、この難局を乗り越えていく、しっかりとしたノウハウがあります。
実際、私が就任して以来、市債残高を100億円ほど減少させ、財政的な余力を確保してきましたので、早急な対応が必要と判断した、小中学校のエアコン整備につきましては、市債を活用して、迅速に対応できたという実績もあります。引き続き、民間資本の誘致を始めとする公民連携のまちづくりと、無駄を省いた、堅実な財政運営を行っており、過度な借入れに頼らない、本市のメリットは健在であります。今後、実施が見込まれる国の経済対策には市債の活用を図りながら、積極的に取り組んでまいります。
このような財政運営ができるのも、市民のご理解と議員各位のご協力、そして、実務を担う職員が積み上げてきた努力の賜物であると改めて感謝しております。市債に加え、特定財源の確保につきましては、国の地方創生・臨時交付金について、本市への配分額が十分ではないことから、中核市市長会として、財政力にかかわらず、地域経済及び市民生活の回復に必要な額を措置するよう、緊急要請を行っております。
現在、新型コロナウイルス感染症対策に、今回の補正も含めて総額で440億円に及ぶ力強い財政出動を行っていく中で、令和3年度以降の予算編成も見据えて、引き続き、市民生活の安全・安心を守り、持続可能なまちづくりを進めていくために、今まで以上に事業の必要性・緊急性の精査を行い、安定的な財政運営に努めてまいります。

また、何よりもうれしいのは、この厳しい状況の中、市民・企業・各種団体から医療現場などで使用してほしいと、マスクを始め、多くの金品が寄せられていることであります。その合計は、金額にして約1,500万円にもなっております。この場をお借りしまして改めて御礼申し上げますとともに、有効に活用させていただきます。
以上、ご説明を申し上げますとともに、提出をいたしております、諸議案につきまして、よろしくご審議の上、ご議決を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終えさせていただきます。ありがとうございました。
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