岡崎東ロータリークラブにおける市政報告
10月1日(木)、竜美丘会館にて岡崎東ロータリークラブの例会が開催されました。当日会場でお話した市政報告を掲載いたします。
皆様、こんにちは。市長の内田康宏です。本日は岡崎東ロータリークラブの皆様の例会にお招きいただき、また、市政報告の時間をいただきまして、ありがとうございます。
私は市長就任以来、これまでにこうした市民対話集会や、各種講演会、政策説明会を呼ばれればどこへでも行きますと言い、高校や大学、時には小中学校にも出向くなど、様々な機会を捉えてこれまで400回以上、実施してまいりました。本年はコロナウイルスのため中断しておりましたが、ようやく8月末より再開し、以来、今回が3回目となります。毎回、私の目指す市政についてお話をさせていただきまして、あわせて皆様からのご意見を聞かせていただいております。
こうした活動は決して義務ではなく、顔の見える民主主義を目指す私の政策として行ってきたことでありまして、ここまで継続的に行うことは、他市にはあまり例のないことと自負しております。本日はよろしくお願いします。
さて、今年度は新型コロナウイルス感染症により、全市的に大きな影響を受ける中、着実に事業を進めております。
4月には、市民病院において、がんの早期発見、転移や再発診断などで力を発揮するPET-CT検査装置を稼働させました。同じく4月には、患者の身体的負担が軽減される手術支援ロボット、「ダビンチ」も導入しました。今回、機器の導入にあわせて手術経験の豊富な医師を招聘したことにより、予定より早く、第1例目の手術を行うことができました。
また、7月には、本市のスポーツ振興をになう新たな拠点であります、旧県営グラウンド、龍北総合運動場がグランドオープンを迎えました。長年、本市のアスリート達が待ち望んでいた全天候型の陸上競技場は、スタンド席と芝スタンドあわせて約5,000人の観客を収容できるものとなっております。また、硬式野球が可能な野球場、本市初となる人工芝のサッカー・ラグビー場、クラブハウスを備えた8面のテニスコートなども整備され、新たなスポーツの拠点として生まれ変わりました。
この施設を使った最初の大きな大会として、中学生の市長杯を開催いたしました。5月の中学総体の中止決定によりがっかりしていた中学生の皆さんに、新たな挑戦と思い出作りの場を提供したいと願い、開催を決定したものであります。陸上競技場を使った種目において、6件の新記録が出ており、今後、新たに生まれ変わったこの運動場から全国、世界へ羽ばたくアスリートが一人でも多く誕生することを期待しております。
そして、本日、六ツ美中部学区で検討が進められてきました、本市初となる事前予約型の乗合送迎「チョイソコおかざき」が運行を開始いたしました。今回の地域バスは、地元と民間企業、そして行政が協力して運行されるものであります。
藤川では買物バス、病院バスが運行されておりますし、これまでも本市では、公民連携のもと民間事業者による路線運営が行われており、市域面積も広いため、他市町と比較にならない程の多くの路線を維持してまいりました。これに加えて、今後、各地域の実情を踏まえながら、地域バス等の運行を支援したいと考えております。
そして、岡崎市の新型コロナウイルス感染症の対応についてであります。
本市では2月1日に対策本部を設置して以来、何よりも市民の命と健康を守ることを最優先に、総額470億円を超える力強い財政出動を行い、必要な措置を講じてまいりました。
これまで、市民の皆様への1人10万円の特別定額給付金の支給をはじめ、営業自粛要請に応じた市内事業者の皆様に対する協力金の支給、さらには、助成金や融資など総合的なアドバイスを行う事業者・相談窓口の設置・運営などの支援活動に取り組んでまいりました。
今回のコロナ対策は、まずは感染症対策、そして経済対策がカギとなってまいります。本市では飲食・小売等の事業者支援として、総額18億円を超える、過去最大規模のプレミアム付き商品券事業を実施しております。今回、特に打撃の大きな飲食業の支援のため、より大きなプレミアム率の食事券を設けるなど、市内経済の支援につなげたいと考え企画しましたが、食事券や商品券に対しまして、のべ7万人あまりの市民の皆様から、合計30万セットを超える応募がありました。
ご応募いただいた皆様方に感謝申し上げますとともに、抽選の結果、落選、あるいは希望のセット数より少なくなってしまう場合もありますので、ご理解頂きたいと存じます。
また、新生児を抱える世帯の経済的負担の軽減を目指す本市独自の施策として、特別定額給付金の期限を過ぎて生まれた子供を対象に1人10万円を支給してまいります。
学校教育については、学習の遅れを取り戻すべく、夏休みを短縮して授業日数を増やすとともに、学習指導員やスクールサポートスタッフの配置、感染症対策物品の購入など教育環境の充実を図り、子ども達の学びを保障することに努めているところであります。
また、昨年の全小中学校へのエアコン設置に引き続き、今年度はタブレット端末の配備を進めているところであります。この8月には全中学生と小学6年生に「Myタブレット」を配備しました。年内には全小学生に1人1台のタブレット端末を配備予定であり、危機管理時においても安心して授業が可能となる、岡崎版GIGAスクールの実現を目指してまいります。
新型コロナウイルスの感染拡大への備えといたしまして岡崎市保健所では、PCR検査装置を増設し、1日最大80人分の検査ができる体制を整えるとともに、現在、保健所をはじめ、3か所で行っている検査を、民間医療機関にも委託することで4か所体制としてまいります。幸い本市では、まだ検査数に余裕がありますし、まさかの折には、国立研究所の機器もお借りすることにしております。
このように、迅速かつ確実に検査を実施し、早期に感染を把握することができることは保健所を有する中核市・岡崎ならではの強みであります。
このところ、立て続けにクラスターが発生し、御心配をおかけしておりますが、全て適切に事後対応しておりますので、どうぞこの点についてはご安心ください。
そして、このたび、新型コロナウイルス感染者への専門病院として、愛知病院を使用することについて、県と詰めの協議を進めております。この件は、県からの強い要請で始まりが、私といたしましても、通常の医療を維持しつつ、感染症にも対応できる医療体制の構築は、何としても必要になると考え、この際、今後、新たに発生する費用、新病院における医師・医療スタッフの配置については、県が全責任を負うという条件の元、愛知病院を、県にお返しすることが最適であると判断したものであります。これにより、市民病院や藤田学園の新病院の運営も助かりますし、本市の病院事業の金銭的な負担軽減にもつながるものであります。
また、今回のコロナウイルス感染症の流行により、経営への影響を受けた2次救急を担う病院に対し、民間病院の経営維持資金の貸付けを県と協調して行い、この地域の救急医療体制を堅持し、市民の安全安心を守ってまいります。
そして、今年も7月に各地で豪雨災害が発生しておりますが、災害発生時の避難所での感染症対策として、現在、マスク・体温計・消毒液やダンボールベッドなど備蓄品の増強を執り進めております。
また、いわゆる分散避難を推進するため、ホテル・旅館など民間施設との協定締結や、公共施設の更なる開放により、現状の指定避難所に加えて新たな避難場所を確保するなど、躊躇なく避難できる環境を整えてまいります。
こうした対策を迅速に展開できたのも、これまで堅実な行政運営を行ってきたからであります。私が市長に就任して以来、市税は70億円増加し、増え続けていた借金を100億円減らすことができました。これは、国や県との連携が良好であり、PFIにより民間の力を上手に活用できた結果であります。
今後、経済の落ち込みと税収減が危惧される中、先だって多くの事業を形にできたことは幸いです。私はこれまで、本市の経済の柱であります「ものづくり」に続くもう一つの柱として観光産業を掲げ、その第一歩としてリバーフロント計画を進めてまいりました。
今年の3月22日に新たな人道橋、桜城橋が完成いたしました。当日は規模を縮小して橋の開通式典を行い、あわせて橋から延びる中央緑道において徳川四天王の酒井忠次と本多忠勝の石像のお披露目も併せて行いました。残りの2体、榊原康政と井伊直政の像も年内には完成いたします。
新たな橋は、地元産材の活用のひとつの象徴として、額田のヒノキをふんだんに使った木装の橋に仕上がっています。橋の基礎部分は鉄骨とコンクリートの頑丈な造りで、表装には板ではなく、12センチ角の木材を敷きつめてあり、災害時には緊急車両も通れる強度を備えています。
この橋は、ただ渡るだけの橋ではなく、橋の上に電源や水栓が設けられ様々に活用できるものとなっております。今後は民間活力を導入して、橋上レストランや物品の販売などをできる施設を設けたり、橋詰広場にトイレ等を設置するなどしてまいります。これからのまちづくりには、先ほどの会長の挨拶にもありました通り、単に機能性だけでなく、心やすらぐ空間をつくることも大切であると考えます。
さらに、天下の道の先にあります、籠田公園は一足早く昨年7月にリニューアルオープンし、夏まつりをはじめ、多くの方に親しんでいただいております。特に新しい噴水が子どもたちに大人気です。親が水着になる必要もなく、暑い中、手軽に安全に遊ぶことができる点が人気の理由のようです。こうした噴水など、評判の良いものは、地元の意見も踏まえ、他の公園でも採用していくつもりです。噴水につきましては、現在、矢作公園に導入に向けて設計を進めております。
また、すでに東公園にも新設の要請があります。今後、他の公園整備につきましても額田の木材を活用した施設整備を行い、あわせて高齢者が運動を行ったり、くつろげる空間づくりを行ってゆきます。
これまで常々申し上げてきたことでありますが、施設を整備することが目的ではなく、整備された環境、空間を活かしていかに地域に賑わいをもたらすことができるかということが本来の目的であり、カギであると考えております。その意味において、新たな段階のスタートラインに立っていると思っております。
ただ今、リバーフロント地区内の豊富な公共空間を活用してエリアの活性化を目指して行政と事業者、地域住民が協力して行う「QURUWAプロジェクト」が動き出しております。
これまでエリア内では、官と民で連携して「おとがワンダーランド」や「岡崎泰平の祈り」などのイベントや各種社会実験を実施しております。
また、リノベーションスクールを経て、今年度になってから複数の飲食店や宿泊施設が新規に出店するなど、このエリアに対する魅力が増し、民間事業者からも、ここでなにかをやろうという機運が高まっていることをうれしく感じております。
さらに、太陽の城跡地では、経済産業界からご要望をいただき、QURUWA戦略の拠点施設として新たなホテルとコンベンション施設の整備を進めています。この事業は、岡崎城を一望できる市の土地を活用して、今まで市内や西三河地域では開催することが叶わなかった1,000人規模の会議や式典などが開催できるコンベンション施設の整備と、それに併設される「上質なおもてなし」を提供するホテルの誘致を行う事業であります。40万都市の岡崎市でありますので、こうした施設があるということがやはり一つのまちの風格にもつながるものであると思います。各界から様々に建設要望を頂くとともに、これまで本当に多くの方から、「岡崎では、大きな会議や式典ができない」「大事なお客さんを招待できない」との声をいただいてきましたが、ようやく、この施設ができることで、そうした要望にもお応えできるものと思っております。これからは、ロータリークラブやライオンズクラブの全国大会もお招きすることができるようになります。
そして、東岡崎駅の東口からのびる北東街区では、昨年11月2日に中央デッキが開通し、このデッキ上には、皆様方をはじめ多くの方からの総額1億円を超えるご寄附、浄財を得て、「若き日の家康公」のブロンズ製の騎馬像がお目見えしました。この像は台座も含めて高さ9.5mという日本一の高さと威容をほこる騎馬像であり、中央デッキ上だけでなく、駅のホームや名鉄電車の窓からも見ることができます。
私共、岡崎生まれ岡崎育ちの者は、これまでよく「岡崎は家康公の生まれ故郷と言いながら、駅前にまともな像一つない」と言われてきましたが、もうこれからは岡崎の子供たちにそんな悔しい思いをさせることはありません。今後、末永く岡崎の新たなシンボルとなると確信しております。
また、デッキの先には9階建ての新しいホテルや、岡崎にはこれまでなかったようなおしゃれなカフェや、個性的なレストランが入った商業施設、「オト リバーサイドテラス」がグランドオープンし、人気を博しています。
東岡崎駅の駅舎および駅ビルについても、名鉄との協議を進めているところであります。そして将来的には、仙台市やさいたま市の駅前のように、完全な歩行者と車の分離を行い、東岡崎駅北口から乙川まで歩いて行ける「フル・ペデストリアンデッキ化」を図る「スカイ・ウォーク」構想を考えております。
これからも駅前を本市の玄関口としてより快適で魅力的な空間となるよう努めてまいります。
そして、これらの事業に加えて、岡崎市内各地において多くの事業が動き出しております。まず、北部地域では、商工会議所はじめ、各民間事業者からのご要望多くいただいております、新たな工業団地、阿知和地区工業団地を2024年度の完成を目指して整備してまいります。
併せて、東名高速道路の阿知和地区へのスマートインターチェンジの開設に向け、着々と準備を進めているところであります。なお、個別の企業による移転計画にもなるべく柔軟な対応をとるよう、担当部局にも指示しております。こうしたことを的確に行わないと、市内の有望な企業を外に出してしまうことになりますので、この点は特に注意しております。候補地をお探しの方がありましたら、本市の商工労政課にご相談ください。
南部地域におきましては、この4月に藤田学園の新病院が開院し、周辺のエリアには各種商業施設もオープンする運びとなっております。加えて岡崎警察署も移転に向けて動き出すなど、南部地域は大きく発展してきております。
行政の役割として、基盤整備を進めるとともに、まちが変化し進歩していくという空気、流れをつくり出すことが一番重要であると考えており、南部はまさにその流れに乗っています。本市も消防の南分署を新築予定であり、引続き、国や県と協力して接続道路や環境整備に力を入れてまいります。
そして、本宿駅周辺では民間事業者によるアウトレットモールの進出が計画されています。
現在、概ねの事業区域が決まり、都市計画の変更準備や民間事業者と協力しながら国道1号へのアクセス道路の検討などを進めているところであります。
また、市域の6割を中山間地とする本市では、東部から額田地域を中心とした中山間地域の活用についても検討を進めております。この地域を市民生活を豊かにする地域として採用するとともに、近年、グランピング、ハイクラスのキャンプがはやっており、キャンピングカーの対応もできる民間資本による同一市内で完結できる中山間リゾートができないものかと考えているところであります。この事業がうまく運べば、山間地の就業対策や人口減対策につながります。
そして、東部から額田にかけてのエリアには、民活による、砂浜とヤシの木を持ち、フードコートのあるレジャープールの整備や、専用グラウンドを必要とする高齢者スポーツ施設も集約させたいと考えています。
西部の矢作地区におきましては、重要な生活基盤である道路網整備として矢作川右岸南北道路をはじめとしたいくつかの道路計画を進めてまいります。
JR西岡崎駅においては、エレベーターを設けるなど、バリアフリー化を推進しております。
また、地域からの要望の多かった新・西部学校給食センターの整備についても、令和5年度中の完成に向けて着々と準備を進めております。
なお、今後の矢作地区のさらなる発展のためには、まちづくりのための基本である、基盤整備、区画整理事業が不可欠となりますので、地元の御協力を期待しております。
このように、本市は東西南北において、バランス良く施策を行っていることが御理解頂けたものと思います。
それから最後に一つ、うれしいニュースをお伝えします。
現在、日本中に岡崎市のように人口30万人以上の中核市と呼ばれるまちが50市ほどありますが、先日、東洋経済新聞社による2020年版の中核市住民の「幸福度ランキング」が発表されました。これによると岡崎市は、豊田市、高崎市に次ぎ、全国3位でした。これは単なる人気調査ではなく、専門家による33項目の都市状況を客観的に採点したものであり、権威あるものであります。
そして、その中で主要6項目の、「健全財政」、「一人当たりの所得の平均」、「人口増加率」、「出生率」などにおいては、なんと岡崎市が全国で№1であることがわかりました。このことは、これまで健全財政を維持しながら、各施策をバランスよく進めてきたことが評価されたものとうれしく思っております。
現在の政策を継承することにより、岡崎市はもうワンランク上の先進都市になれるものと確信しております。まもなく岡崎市では、市議会議員、市長選挙が行われます。一部の人たちに都合の良い作り話や間違った情報に惑わされることなく、ぜひ、第三者による客観的評価と現実に目の前に起きている明らかな成果により御判断頂きます様よろしくお願い申し上げます。
以上、本日は、現在岡崎市が取り組んでいる施策の一端をご紹介させていただきました。こうした政策の究極の目的は、いつも口癖のように申しておりますが、岡崎の市民、殊に子ども達が自らのふるさとに対し、これまで以上に大きな愛情と誇りを持てる、そんな「夢ある新しい岡崎」を築き上げることであります。「岡崎に住んでよかった、生まれてよかった」と心から実感していただけるまちとなるよう福祉や医療、防災や教育といった基本施策の充実はもちろんのこと、さらなる魅力あるまちづくりに邁進してまいる覚悟です。
今後とも皆様方のお力添えをお願い申し上げまして、私の話を終了したします。ご静聴ありがとうございました。
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