あいちトリエンナーレ

2016年10月 3日 (月)

「ペンタルム・ルミナリウム」(空気の建築)内覧会へ

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

 9月30日(金)午後の仕事の合間をぬって、今回のあいちトリンエナーレ2016で岡崎に展示している「ペンタルム・ルミナリウム」を視察した。
 これはイギリスのノッティンガムを拠点に活動するグループ「アーキテクツ・オブ・エアー」(空気の建築家達)の制作によるもので、「ルミナリウム」という空気で膨らませたビニール製の建築物である。そして五角形をテーマにした造形をこの度「ペンタルム」と称している。

 当日はあいちトリエンナーレ芸術監督の港千尋氏、チーフ・キュレーターの拝戸雅彦氏に加え、アーキテクツ・オブ・エアーの創立者であるアラン・パーキンソン氏も参加して見学することとなった。会場は岡崎公園の多目的広場である。

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

 全長は50メートルほど、高さは8メートル近い部分もある。「体で感じる光の彫刻」ということであるが、「まるで大人のフワフワ・ドームだな」などと言いながら入って行った。建物の中は土足、とがりモノ厳禁であり、歩く度に足からもフワフワ感が伝わってくるようであった。青色の部屋、赤い部屋、緑の部屋に加え、多色で構成された部屋もあり、イスラムのドーム建築やキリスト教のゴシック建築をモチーフとし、五角形を基調として構成されているという。
 建物全体は東京ドームと同様に空気を送り込んでふくらませる構造となっている。ドームをつなぐ通路はビニール製のトンネルとなっており、良く言えば宇宙船の通路のようであり、悪く言えば腸の中を通過中のウンコになったような気分でもある。

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

 当日は薄曇りの天候であったが、自然光による発色だけで全く人工の光源を用いてないのに中は十分に明るく、部屋の色によってはまぶしいくらいであった。天気の良い日にはどんなことになるのか気になるものである。色とりどりの部屋の中で改めて光も色として混ざり合うものであることを再発見した。
 その時々の心理状態によって選ぶ部屋が変わるような気がする。私は青い部屋へマクラとフトンを持ち込みたい気分であった。「お疲れのようですネ」と言われたが、青い色は心を落ち着かせてくれる癒しの空間なのだそうである。心に障害があるとこういう空間を好んだり、閉鎖空間を怖がったりするそうである。来春完成する「岡崎市こども発達センター」にも、こうした部屋を造るプランが一時あったそうである。もしそんな部屋があれば時々おじゃましたいものである。小さなテント状で、こうした部屋を造って販売したら売れそうな気がするし、私もぜひ一つ欲しいものである。

 これまでに21の「ルミナリウム」が制作され、40ヶ国以上で公開され評判を得ているという。
 今回は岡崎公園の多目的広場において、10月1日(土)から16日(日)まで期間限定で披露される。時間は11時~17時。
 ぜひ一度光と色の不思議な世界を体感して下さい。(あいちトリエンナーレのチケットで入場可。チケットのない方の入場料は高校生以上300円、一回80人制限です。)

 あいちトリエンナーレ2016 - ペンタルム・ルミナリウムの概要

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

Pentalum Luminarium, Aichi Triennale 2016

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2016年9月25日 (日)

平成28年9月議会 その1(市長提案説明)

岡崎市議会・平成28年9月定例会

 いよいよ4年間の任期も終了間際となり、8月23日(火)に9月議会の初日を迎えることとなりました。以下は本会議で私が行った市長提案説明です。


パラリンピックに山本萌恵子選手が出場
 9月定例会の開催に当たりまして、所信の一端を申し上げますとともに、提案しております議案の大要につきましてご説明申し上げます。
 去る7月1日には、皆様のご協力により市制施行100周年の記念式典を盛大に開催することができました。まずもって御礼を申し上げます。式典後には他市の市長さんから「岡崎は地元の子供達や岡崎出身の人材だけで、これだけの催しができてうらやましい」と言われ、大変うれしく思った次第であります。
 翌2日、3日に開催いたしました「おかざき100年祭」におきましても、多くの方々にご来場いただきました。ことにディズニーのパレードは子供達の記憶に残る楽しいひと時であったと思っております。100周年記念事業は来年3月まで続きますので、引き続きのご協力をお願い申し上げます。
 また、8月5日からブラジルのリオデジャネイロで開催されていたオリンピックでは、期間中、連日にわたり日本人選手の活躍が伝えられ、国民の多くがそのひたむきさや情熱に大きな感動を覚え元気づけられたのではないかと思います。

山本萌恵子さん

 9月7日からはパラリンピックも開催され、本市在住の山本萌恵子(もえこ)選手が陸上競技に出場されます。市内在住の方でパラリンピック出場は初めてのことであり、大変喜ばしいことであります。体調に気を付けて、今までの練習の成果が十分発揮できるようがんばっていただきたいと思います。

愛知県・岡崎市総合防災訓練
 さて、今年は例年と比較して台風の発生も少なく、本市においては幸いにも局地的な豪雨による浸水や土砂災害などの大きな被害は出ておりません。しかし4月には震度7の熊本地震が、6月には北海道で震度6の地震が起きるなど、地震による災害はいつどこで発生するかわかりません。日頃から災害への認識を持ち備えることが万が一発生した時の被害の軽減にもつながり、重要なことであることは言うまでもありません。
 本市におきましても南海トラフ地震の発生が懸念される中、その被害を最小限にとどめるため、官民一体となった備えをしておく必要があります。
 今週末の8月28日には18年ぶりに愛知県との合同による総合防災訓練を開催し、警察、消防、自衛隊や民間の防災期間とともに大規模な実働訓練を行ってまいります。

愛知県・岡崎市総合防災訓練

 広域防災拠点である中央総合公園をメイン会場とし、緊急輸送道路の確保や野球場の一部を駅と仮定した集団災害事故の対応訓練などを行います。サブ会場の根石小学校では地域住民による避難所の開設運営訓練を行うほか、名鉄東岡崎駅周辺では帰宅困難者への避難誘導などの支援訓練を実施してまいります。
 また、中央総合公園武道館において、小中学生による防災フォーラムの開催や避難所運営ゲームの実施など、子供達自身が防災について考え、意識を高める啓発なども行ってまいります。
 このような機会を通じまして、災害発生時における関係機関との連携体制の確認や強化をし、災害への対応力の向上を図ってまいります。

おとがワ!ンダーランド、泰平の祈り
 次にまちづくりについてであります。
「かわまちづくり」と「歴史まちづくり」という二つの事業が国から認定を頂いたことで、本市独自の河川空間と歴史文化遺産を活用したまちづくりは、今や全国から注目される取組みとなっております。さらに、まちづくりのテーマやアイデアが優良である計画に与えられる「まちづくりシナリオ賞」を受賞し、乙川リバーフロント地区整備計画では現在、市民ワークショップにおいて「おとがワ!ンダーランド」と名付けられた新しい試みに取り組んでおります。

おとがワ!ンダーランド

 7月19日から9月4日までの期間、民間事業者を中心に水辺空間を活用した様々な企画を実施しており、先週末の20日からは水上ライブ、オープンカフェ、キャンプなど34のプログラムが展開されております。民間の事業活動と連携し、まちに賑わいをもたらす新しい取組みや活動を通じて楽しみながら市民自らがまちを魅力的な場所に変えていくことで、今後のまちづくりについて考えていくきっかけづくりになるものと考えております。
 また、昨年12月26日の「家康公生誕祭」と合わせて行い、大変好評であった「泰平の祈り」を今年は9月24日に開催いたします。今回は市民の民間団体や大学などと連携し、運営にも参画していただきます。そして同時に開催する4つのイベントも企画していただいております。中部地区最大級の光の祭典を市民の皆様に大いに楽しんでいただきたいと思います。
 このように乙川を中心とした「かわまちづくり」を広く知っていただけるよう取り組んでまいりますので、ご期待下さい。

あいちトリンエナーレ2016
 続いて、国内最大級の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」が8月11日から開催されております。「旅」をテーマに世界38の国と地域から多彩なジャンルの100組以上のアーティストによる現代アート作品が、本市を始め名古屋市、豊橋市の各会場で展示されております。

あいちトリエンナーレ2016

あいちトリエンナーレ2016(岡崎シビコ6階)

 本市は前回の2013年に引き続き2回目の開催であり、東岡崎駅や康生地区、岡崎公園などで国内外17組のアーティストの作品が展示されております。本市の魅力を感じていただく関連企画として、現代アート作品の鑑賞と、古き良き歴史文化の息吹を感じるここ岡崎でのまち歩きを同時に楽しんでいただけるツアーを企画しております。
 また会期中、乙川では船を運航しておりますので、トリエンナーレのチケットがあれば水辺の景観を楽しみながら快適に移動していただけます。そのほかでは岡崎シビコ1階では、会期中の土曜日、日曜日は「味噌スープ」でのおもてなしも行っております。
 10月23日までの開催となっております。世界最先端の美術、映像、音楽などを体感できる絶好の機会でありますので、ぜひ会場に足を運んでいただきたいと思います。

決算議案の概要(一般会計)
 本定例会には、平成27年度の一般会計、特別会計及び企業会計の決算認定議案を監査委員の意見を付けて提出しております。その概要をご説明させていただきます。
 はじめに一般会計の決算の概要であります。
 一般会計の決算規模は、歳入は約1,236億円、歳出は約1,183億円と、歳入歳出ともに前年度を約6%上回りました。純剰余金は約47億円と、前年度と比べ約4億円の増加となっております。この純剰余金のうち30億円は今後の財源需要に備え財政調整期金へ積み立てております。
 歳入は、景気の緩やかな回復によりまして、市民税、固定資産税などの市税が前年度と比べ約3億円の増収で過去3番目の決算額となっております。また、消費税率の引上げに伴う地方消費税交付金、各種事業の着実な推進を図るための基金からの繰入金、建設事業費の財源であります市債も増加となっております。
 歳出は、昨年9月に供用開始いたしました東部学校給食センター建設事業費、今年10月にリニューアルオープンいたします市民会館の整備事業費、本市の誇るべき自然景観であります乙川を中心とした新しいまちづくりを進めております乙川リバーフロント地区整備事業費などが増加となっております。そのほか、南部地域への総合病院誘致のための基金への積み立て等が増加となっております。
 先に触れました事業のほか、床上浸水対策事業として、平成21年度から進めてまいりました占部川の改修事業が完了いたしました。また百々保育園の建て替え、放課後対策として児童育成センターの増設、不投稿の児童生徒への支援体制充実のための教育相談センターの開設など、子育てや教育の環境整備も行ってまいりました。

決算議案の概要(特別会計・企業会計)
 次に特別会計であります。
 11会計の決算合計は、歳入は約651億円、歳出は642億円で、純剰余金は約9億円で、前年度と比べ約31%の増加となっております。
 最後に企業会計であります。
 病院事業会計は、外来患者数は増加となりましたが、入院患者数は減少し病床利用率は81.9%となりました。外来収益の増加や前年度の会計基準の見直しによる特別損失の減少などにより、約1億6,000万円の純利益となりました。
 水道事業会計は、他会計の負担金の増加や減価償却費の増加などがあるものの支払利息の減少などにより約4億8,000万円の純利益となりました。給水戸数及び給水人口ともに増加し、下水道の普及率は87.7%となりました。
 以上、災害対策、福祉、医療、教育などの基本施策の実施はもちろんのこと、家康公顕彰四百年記念事業の実施、本市固有の歴史文化遺産や豊かな自然環境など、地域資源を活用した「まちづくり」にも取り組み、次の100年を見据えた「夢ある新しい岡崎」に前進できたものと考えております。

条例議案
 制定条例は、岡崎市立幼稚園3園を幼保連携型認定こども園に移行するための「岡崎市立幼保連携型認定こども園条例」の1件であります。
 廃止条例は、いちょうの家の一部として転用するために施設を廃止する「岡崎市母子・父子福祉センター条例」の1件であります。
 改正条例は、コンビニエンスストア等において印鑑登録証明書及び住民票の写しを交付するサービスを導入するための「岡崎市印鑑登録条例及び岡崎市手数料条例」、無縁墓地等の整理をするために墓地の利用権の消滅に関する規定を追加する「岡崎市墓園条例」、幼保連携型認定こども園に移行するために幼稚園を廃止する「岡崎市立学校設置条例」などの5件であります。
 その他議案といたしましては、老朽化の進む額田支所周辺の施設をひとつに集約し、額田地区の中心にふさわしい市民交流・地域防災の拠点施設を建設する額田支所改築工事の「工事請負契約議案」、JR岡崎駅周辺地区の活性化を図るため、民間事業者を活用し、にぎわいと人の交流を生み出す誘導施設と駐輪場の整備用地を貸し付ける「財産の無償貸付け及び減額貸付け議案」、岡崎真伝特定土地区画整理事業により新たな町名を定める「町の区域の設定及び字(あざ)の区域の変更議案」など5件を提案させていただいております。

補正予算議案
 補正予算議案につきましては、以下の増額補正及び債務負担行為の追加をお願いしております。

一般会計 10億6,613万1千円の増額
特別会計 5億9,783万5千円の増額
企業会計 1,010万  円の増額

 はじめに一般会計であります。
 総務費は、10月オープンを予定しております市民会館の改修工事請負費などの減額を、民生費は高齢者福祉施設を整備する事業者の整備手法の変更に伴う補助金の減額などをしております。
 商工費は、当初の見込みを上回る寄附の申し出に伴う家康公観光振興基金積立金の増額、土木費は、破損した橋りょうの復旧工事費の計上や、市営住宅の建替えを行うための土地購入費などを計上しております。
 教育費は、寄附に伴う図書館の図書及び備品購入費の計上、岡崎城跡菅生川端石垣についての調査委託料の計上などをしております。
 次に特別会計(3会計)であります。
 いずれの会計も、主に前年度決算が確定したことに伴いまして、補正を行うものであります。
 国民健康保険事業特別会計の事業勘定では、国民健康保険制度の広域化準備に係るシステム改修経費及び療養給付費等の精算に伴う返還金の計上など、後期高齢者医療特別会計は、広域連合へ保険料等負担金の過年度分精算のための増額補正であります。
 介護保険特別会計では、介護給付費等の確定に伴う国、県等への返還金の計上や、決算剰余金を基金へ積み立てるための補正などであります。
 最後に企業会計(2会計)であります。
 病院事業会計は、医事業務及び給食業務に要する経費を債務負担行為としてお願いしております。
 水道事業会計は、JR岡崎駅周辺の道路拡幅による水道管布設替工事費の増額補正などであります。

市民会館のリニューアルオープン
 昨年より行っております市民会館がいよいよ10月にリニューアルオープンを迎えます。
 これまで公共施設と言うと、老朽化に伴い新しい施設への建替えという発想が主流でありました。しかし、現在自治体に求められている公共施設やマネジメントや、市の伝統あるランドマークとして親しまれてきた施設を、引き続き多くの市民の思い出と共に子供達の世代でも文化を育む施設として継承する、という観点から改修を行ったものであります。
 これは、今後、全国的に課題となってきます戦後に建設された文化施設の建替えについての在り方を考え直す、先進性のある取り組みと自負しております。今回の改修によりまして、バリアフリーへの対応はもちろんでありますが、舞台の拡張や音響設備の充実、客席の刷新などで、より迫力ある舞台をゆったりと落ち着いた環境の中で楽しんでいただけるようになります。
 市民会館は、市制施行50周年の記念事業の一つとして建設された多目的ホールでありました。当時、冷暖房、照明や舞台装置を完備した大ホールは話題となったものであります。
 市制施行100周年の今年度にリニューアルオープンすることで、引き続き岡崎の文化芸術の拠点としてより一層市民の皆様に親しんでいただける施設となることを期待しております。オープン初日の10月1日に記念式典を、2日には岡崎文化協会の皆様にご協力いただき、こけら落とし公演を予定しております。

松竹大歌舞伎(岡崎市民会館大ホール)

松竹大歌舞伎(岡崎市民会館大ホール)

 その後も松竹大歌舞伎、市民参加による吉本新喜劇の公演、そして岡崎市民クラシックコンサートやNHK「のど自慢」など、多くの公演を予定しております。新しくなりました市民会館にぜひ足を運んでいただければと思っております。

 以上、ご説明を申し上げますとともに今回提出しております諸議案につきまして、よろしくご審議の上ご議決を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。 (つづく

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2016年9月 5日 (月)

あいちトリエンナーレ2016始まる

あいちトリエンナーレ2016

 3年に一度、この愛知県で開催される国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」が第3回目を迎えた。今回は主会場の名古屋に加え、地方会場として岡崎と豊橋が選ばれ、こちらもトリプルということになった。岡崎市は前回も地方会場として参加しており、今回は市制100周年の記念の年でもあり連続して会場に立候補していた。

 思えば6年前の第1回トリエンナーレが神田真秋・前知事の提唱に基づき発表された時、県議会は喧々囂々(けんけんごうごう)の議論に包まれたものであった。既成の展覧会などと違い、革新的要素の強い現代アートは常識を超える点に一つの意味があり、必ずしも万民に理解されることが必要とされていないからである。
 しかし考えてみれば新しい芸術というのはいつも時代に先駆けたものであり、登場の折には「反社会的である」とか「卑猥である」とか「下らない」等、無理解による様々な批判を受け、多くの議論を巻き起こすのを常とする。
 第1回のトリエンナーレの実現に際しても同様の経緯があったが、県議会から外国で行われている他の現代アート展への視察も行われ、議会報告もなされた。なにげなく行われているかに見えるあいちトリエンナーレも、そうした先人達の議論と調査、準備の結果成し遂げられてきたものである。
 これまで2回の経験を通じて一番の成果とであると思うことは、芸術という一種特殊領域に属すると思われてきたことをお祭り的に身近な存在に感じさせてくれたことである。ことに子供達に「これなら自分もできるかもしれない」と思わせるようになったことが一番大きいと思う。その成果はこれから10年、20年先に出てくることであり、こうした積み重ねがその地域、社会、その国の文化として蓄積されていくものであると考えるものだ。

 8月10日(水)、午後6時より行われた「あいちトリエンナーレ2016」のオープニングレセプションは大村知事の挨拶から始まった。そして文化庁の内丸文化部長の祝辞に続いて、港千尋(みなと ちひろ)芸術監督から「虹のキャラヴァンサライ開始」の挨拶が行われ、同時に開催3市・市長の登壇となった。

あいちトリエンナーレ2016

 開幕式として、私達も参加しての「光のキャラヴァン・ショー」を行うこととなったが、はじめは何をやらされるのか全くわかっていなかった。黒いハッピに白地で県章と各市の市章が染め抜かれ、さらにそれをLED電球によって発色アピールするという手の込んだものであった。なんとなくイナカのマイケル・ジャクソンのようで恥ずかしくもあったが、結構受けていたので「マァ、イイか!」と思ったものである。
 知事からは「これせっかく作ったから各市でそれぞれまたイベントで使ったらどうですか?」と言われているので、ひょっとしたら岡崎でも偽マイケルをやらされるのかもと、内心恐れているところである。

 今回はオープニングレセプションの前に名古屋会場の一部を視察することができた。それぞれ面白い展示があったが、全てを紹介することはできないため、愛知県芸術文化センター会場の二、三の作品について触れてみようと思う。

カワヤン・デ・ギア 「Trojan Horse」Aichitriennale201608106

 はじめに、入口の反対の出口に実物大の四体の黒馬の姿が見え、それが大変気になっていた。ブロンズ製かと思いながら近づいてみると、なんと古い映画のフィルムを筒状に巻いてホース状の部材(ホルン)とし、それを束ねて馬の像を形作っていたのである。HORSEだからホース状のフィルムを使ってシャレてるのかと思ったが、そうではなく、フィリピン国内で使用されたB級映画の膨大な量の35ミリフィルムを再利用して、聖書の「ヨハネの黙示録」の四騎士を表現しているとのことであった。台座の一部に人面形ののぞき窓があり、中にラブシーンを含む映画の一部が映写されていたのも面白かった。
 また10階の会場では、フロア一面に様々な鉱石の粉末(日本画の顔料)を使った鳥や花などを含む、手の込んだ絵模様が円形に何重も描かれた作品があり、不思議な空間が広がっていた。

大巻伸嗣 「Echoes-Infinity」

 床から壁、天井まで白い空間にこれだけの彩色の絵を描くのに20人以上の人手で一週間かかったという。それを「最後には靴で上を歩いてもらい、絵を壊してしまうことにより文明や芸術のはかなさを表現したい」ということである。
 そしてもう一つ面白かったのは、「イギリスに留学中に大英博物館から持ち出し、返却しなかった本」という展示があった。なんでも「かつて欧米の帝国主義国家が行ったことに対する〝お返し〟の意味、〝抗議〟が表現されている」ということであった。「ものごとは犯罪も理屈のつけ方次第で芸術になるものなのか」と考えさせられたものである。(もっとも左翼の論理というのは伝統的にこうしたものである。)
 いずれにしてもこうした様々な現代アートの試みに触発されて、一人でも多くの未来の芸術家達が生み出されることを期待するものである。


あいちトリエンナーレ2016・岡崎地区の紹介
名鉄東岡崎駅ビル
2階、3階
10:00~19:00
 8/24 (水)・25 (木)、9/14 (水)・28 (水)、10/12 (水)
岡崎シビコ
6階、屋上
10:00~19:00
 8/18 (木)、9/15 (木)、10/20 (木)
岡崎表屋2階、3階 同上
岡崎公園
多目的広場
10/1 (土)~16 (日) 11:00~17:00
ペンタルム・ルミナリウム
石原邸 10:00~19:00
 8/24 (水)・25 (木)、9/14 (水)・28 (水)、10/12 (水)
籠田公園 10/16 (日)まで 11:00~19:00
 8/18 (木)、9/15 (木)
松應寺 9/17 (土) 17:00のみ

岡崎シビコ1階

籠田公園

石原邸(岡崎市六供町)

乙川河川敷

 岡崎会場の詳しい情報はこちらへ。

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2014年4月10日 (木)

オカザえもん岡崎アート広報大臣退任式

オカザえもん岡崎アート広報大臣退任式

 まだ先のことと思っていたのに、とうとうこの日を迎えることとなった。オカザえもんのこの一年間の活躍はそれこそ想定外の出来事であったが、まさに見事なものであったと言える。当地における経済波及効果は42.5億円で、パブリシティ効果(新聞や雑誌への掲載による広告効果)は6.6億円にものぼるという(平成26年3月末現在)。

 昨年5月に「オカザえもん騒動について」というブログを書き始めた頃、「市長よりも、オカザえもんの方が岡崎をアピールする力がある」というご批判の言葉を頂いたが、その通りであった。オカザえもんと、作者の斉と公平太氏、並びに関係者の皆様には重ねて感謝申し上げる次第である。
 3月31日午後1時30分から岡崎アート広報大臣の退任式は行われた。この日は平日であるにもかかわらず、子供連れを含め800名近いファンの皆様が岡崎城二の丸能楽堂にかけつけて下さった。オカザえもんの根強い人気を再確認することとなった。なお、当日はサプライズ・ゲストとしてお兄さんの岡崎衛門之丞も登場した。

オカザえもん 2014年3月31日

オカザえもん

 来賓の感謝の言葉に続き、アート広報大臣たすき返還、そして感謝状の贈呈となったわけであるが、岡崎に対するオカザえもんの貢献度から考えると感謝状程度では申し訳ない気もしている。これからオカザえもんは活躍の場を海外にまで広げたいということであるが、欧米では漢字でタトゥー(入れ墨)を入れる人もいるくらいであるから、岡崎という漢字をモチーフとしたシュールなオカザえもんの風貌は案外受けるかもしれない。

オカザえもん 感謝状

 それにしてもあいちトリエンナーレのプレ・イベントの初日である一昨年11月1日に、テープ・カットの直前に現れたオカザえもんの姿は忘れられない。岡崎の漢字をそのまま顔と胸に描いただけのデザインは、シンプルと言えばシンプルであるが、私には「実に安易な発想のイカもの」と見えた。最初は「どこかの学生がフザケてやっている」程度に思っていたが、後にプロの美術作家の作品であると聞いて驚き。それがそこそこ人気を博していると聞いてさらに驚き。最後に市の担当から「アート広報大臣に任命したい」と言われたまた驚かされたものであった。
 当初は市民の中にも反・オカザえもんの声もあって、あまり気乗りのしない私であった。そんな私を説得して任命式にまでこぎつけた当時の担当部課長や関係者の熱意と先見の明に頭の下がる思いである。
 昨年4月1日の任命式の写真を見ると、私の顔が笑顔になっていないところに本心が現れていると言えるかもしれない。その日テレビのインタビューが始まる前に担当に「一応お世辞を言っておこうか?」と聞いたのであるが、「思うままにしゃべって頂いて結構です」と言われ、それが後に物議をかもす「高校生の文化祭的発想」発言となってしまったのである。しかし、物事は面白いもので「市長はオカザえもんが嫌いだ」という話が先行して、私が狂言回しを担うことでかえってオカザえもんが注目されることになった。(私は「趣味ではない」と言っただけである。)
 「ひこにゃん」や「くまモン」などの例から、ゆるキャラをヒットさせると自治体PRに大きなメリットがあるといううまみに気付いた各地方自治体は我も我もと、キャラクター・コンテストへの参入を図るようになった。ある自治体では、役所の中にゆるキャラ売り出し対策本部(?)のようなものまで作り、担当職員を配置してコンテストの投票アップ対策までとらせたところもあるという。

 その点オカザえもんはスゴイ。我々が何もしなかったということはないが、他の類似の地域PRキャラは役所ぐるみ、組織ぐるみであったのに、オカザえもんはまさに〝放し飼い〟状態で、昨夏の「ご当地キャラ総選挙2013」では2位に、昨年11月の「ゆるキャラグランプリ2013」では参加総数約1500体の中で堂々22位に輝いた。オカザえもんを支持するファンの素朴な思いが中心となってオカザえもんの大躍進を支えたのである。
 それともう一つオカザえもんについて特筆すべきことは、私のような中途半端な芸術好みの人間の間では受けが悪くても、一般大衆、そして一流の芸術家がこぞって「面白い」と評価していた点である。あいちトリエンナーレに参加していた作家たちの評価も高かったし、ことに第2回トリエンナーレ芸術監督の五十嵐太郎氏は、正式に作品として登場する前からオカザえもんの絵を激賞しており、私も直接その話を五十嵐さんからお聞きした一人である。

オカザえもん(おかざき農遊館)

 芸術的評価は一旦おくとして、私がオカザえもんに関して一番好きなのは次のエピソードである。
 前述の「オカザえもん騒動について」シリーズで、私がオカザえもんについて辛辣な書き方をしていると思われたあるお母さんからこんなお手紙を頂いた。
「あまりオカザえもんのことを悪く言わないで下さい。うちの子供はぜんそくですが、毎日ニガイ薬を我慢して飲んでいます。『今度オカザえもんに会いに行くから、薬は必ず飲む』と約束したからです。その後、その話をどこかで聞いたオカザえもんが直接自宅まで来てくれました」

 オカザえもんは単にブームに乗ってヒットした訳ではなく、オカザえもんというキャラクターの持つ、そうした優しくたおやかな心持ちが多くの方々に支持されたのではないかと最近思っている。また養護施設や保育園などへの慰問も度々おこなっていると聞いている。
 オカザえもんのこれまでの岡崎への貢献に対し、重ねて御礼申し上げると共に今後の更なる活躍を祈るものである。

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2013年7月30日 (火)

おかざきコウエンナーレ2013開幕

おかざきコウエンナーレ2013開幕

 岡崎公園イベントサミット、「おかざきコウエンナーレ2013」がいよいよ7月27日(土)から始まりました。これは8月10日から開幕する「あいちトリエンナーレ2013」に連動して岡崎公園で開催される行事であります。
 会期のはじめには、「岡崎城下・家康公夏まつり」や花火大会、会期末には秋の市民まつりや岡崎ジャズストリートが開催されます。そのほかにも「岡崎ジャズメッセンジャーズwithオカザえもん」のパフォーマンスショー、グレート家康公「葵」武将隊の演武、岡崎城・家康館の企画展、水木しげるの「妖怪道五十三次」、東隅櫓(ひがしすみやぐら)や能楽堂でのジャズイベントなど、岡崎公園内で開催される様々な催し物を集約した、7月27日から11月3日までの100日間にわたるイベントサミットであります。これらの催しを通じて、岡崎の文化、歴史、観光など岡崎の魅力を全国に情報発信して参りたいと思います。この機に多くの皆様方にお越し頂き、現代アート鑑賞と同時に岡崎公園をはじめ岡崎のまちを歩いて、歴史や景観をはじめとする、本市の素晴らしさを味わって頂きたいと思っております。
 その間できれば市民の皆様ひとりひとりが、岡崎の観光案内人になったつもりでご協力頂ければこれに勝る力はないと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。

岡崎城下・家康公夏まつり

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2012年11月29日 (木)

「岡崎アート&ジャズ2012」開会式

 11月1日(木)。
 シビコの6階において、あいちトリエンナーレ地域展開事業「岡崎アート&ジャズ2012」が開催された。開会式にはトリエンナーレを始めた神田前愛知県知事はじめ、多くのご来賓がお見えになっていた。当然のことであるが、今回も最初の挨拶はわたくしである。

「岡崎アート&ジャズ2012」開会式

「このイベントは愛知県と岡崎市が協力して市の中心街などを会場として開かれる初めての現代美術展であります。そして私が市長に就任してから初めての大きな文化振興事業であります。本日開会式を迎え、ここに13組14名の出展作家の方々のすばらしい作品を拝見して、現代美術作品の新たな魅力に触れることができることは大変すばらしいことだと思っております。
 また、会期中には『内田修ジャズコレクション』を有する岡崎ならではのジャズ・イベントも多数開催され、本市を訪れるジャズを愛する方々に現代美術ともども楽しんで頂けることと期待しております。来年には神田前知事がはじめられた現代アートの国際芸術祭である『あいちトリエンナーレ2013』が岡崎でおいても地域会場として開催されます。これを機により多くの皆様方に岡崎にお越し頂き、現代アートの鑑賞と同時に岡崎の街を歩いて、美しい景観や数多くの歴史遺産をはじめとする、岡崎のすばらしさを味わって頂きたいと思っております」

 会場の中で話をしていたときに、「なんでこんな汚いところでやるんだ」と言っていた人がみえた。しかしニューヨークのダウンタウン、ソーホー地区で始まったアンディ・ウォーホールを代表とする現代アートのうねりは、まさしくソーホー地区の小汚い倉庫の中から始まったのである。であるから、逆に私としては展示場所としてこれほどふさわしいところはないのではないかと思った。

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