平成28年 最後の市民対話集会 その2
岡崎さくら100年プロジェクト
また新たなまちづくりを進める工事の過程で桜などの樹木を伐採することがあります。
戦後の復興期に全国各地で一斉に植えられたソメイヨシノはきれいではありますが、残念なことに寿命は60年程と短く、現在、加齢に伴う衰弱により日本全国各地で倒木の危険性が心配されております。
そうした事から、今回の整備では、事前に樹木医のチェックのうえで、老朽化の著しい木などをやむを得ず伐採をしております。伐採した木はご覧の写真のように中が空洞化したり、腐りかけた老木でありますので、その点ご理解いただきたいと思います。
しかし、決して木を切るばかりではなく、現在、同時進行しております「さくら100年プロジェクト」では、市内各地に開花時期の異なる様々な桜を植えることで、長い期間、桜が楽しめるようにすると共に、これから迎える高齢化社会を意識して、車で遠くの名所まで出かけなくても近所の公園で桜を楽しめる環境作りを図って参ります。
これからの公園は、子供だけではなく、高齢者も共に楽しむことができるように整備をすることが必要であると思っております。そしてそのために人道橋ばかりでなく、額田の木を使った施設整備を各公園で行い、併せて森林の整備も行います。山の手入れは防災対策にもつながるからです。
そして、岡崎は元々桜の名所ですので、7月1日の市制記念日には市の花として、現在の「藤」に加え、「桜」を追加したところであります。ちなみに市の花を複数持つことは決して珍しいことではありません。
若き日の徳川家康公像
次に、東岡崎駅前に新たな岡崎のシンボルとして設置を進めております、徳川家康公像についてであります。
「岡崎は家康公のふる里と言うが駅前にまともな像一つないではないか」と言われて、悔しい思いをしたことについては、これまで幾度もお話させていただいているところです。
そこで、このたび、我が国の銅像制作の第一人者である神戸峰男(かんべ みねお)先生にお願いしまして、松平元康から徳川家康と改名した25歳当時をイメージした、馬上で弓を持つ若き日の家康公像を制作していただくこととなりました。
今回の家康公像は、市民の皆様の浄財により制作をしてまいりたいと考えており、その準備を進めております。金額の多少に関わらず子ども達が「あの像を造るのに僕のお小遣いも使ったんだよ」と自慢できるよう、市内各所に募金箱を設置するほか、個人向けのふるさと納税による寄附や団体向けの寄附など、様々な方法を用意しております。皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。
岡崎は本当にありがたいところで、歴史、文化、伝統というチャンネルでご協力をお願いすると多くの方がその心に応えていただくことができ、現在、順調に寄附が集まっております。
また、これは余談ですが、この家康公像は岡崎信用金庫本店の上階から見下ろす場所にあたり、私が会長にお会いした時に「まるで岡信さんのために設置するようなものですね」と余計なひと言を申し上げたせいか、先日、多額のご支援を頂くことができました。わざわざ催促した様で申し訳なく思うと共に、大変感謝しております。
像の完成は、平成30年度の予定でありますが、明治維新以降に広められたタヌキオヤジ的な家康公のイメージを払拭(ふっしょく)し、岡崎の新たなシンボルとして市民に末永く愛される銅像になることを期待しております。とかく、大河ドラマなどで陰謀家の敵役に描かれてしまう家康公ですが、実際は、応仁の乱以来、200年に及ぶ戦国時代を治め、300年の泰平の江戸時代の基を築いた偉人なのです。
今日、日本の伝統、文化、日本食と言われているモノの多くは、この平和の時代に完成されたものであり、私達はその事実に誇りを持ち、この岡崎から、そのことを積極的に発信していきたいと考えております。考えてみれば徳川時代、300諸侯と呼ばれた大名の半数は愛知県出身者であり、そのまた半数はかつて参州・三河・岡崎と呼ばれたこの岡崎周辺の出身者なのであります。「今日の日本の基礎を形づくったのは我々の父祖達である」とも言えるわけです。
「歴史まちづくり」事業
次に「歴史まちづくり」についてであります。
今回、リバーフロント地区の整備を進める中で、乙川の河川敷に埋もれていた江戸時代の石垣が400メートルにわたって残っていることが分りました。これは菅生川端石垣(すごうがわばたいしがき)と呼ばれるもので、絵図によりその存在は知られておりましたが土や草木に覆われており残存状況はよく分かっていませんでした。
私もそんなものは岡崎空襲で吹き飛ばされてなくなっていると思っていましたが、今回の調査により、400メートルの石垣が絵図のとおり残っていることが判明しました。
これは、現存する石垣としては国内最長、日本一のものであります。また、高さは最大で5メートルに及ぶなど、その歴史的な価値は大変高いものであるとのことです。
こうしたことから、先日行った大学教授による現地説明会には、1日で3000人を超える方が石垣を見るために現地を訪れ、改めて歴史ブーム、お城愛好家の存在を認識したものです。この石垣は河川敷の中にあり、現在も堤防の役割を果たしているため、河川法上全てを掘り出して再現することはできませんが、一部を観光用として、透明パネルを使って石垣の高さを見えるようにできないか愛知県と検討をしているところであります。
このように岡崎市内には、まだ発見されていない歴史資産が埋もれている可能性があります。また、大樹寺や伊賀八幡宮など名古屋よりも多い13もの国の重要文化財に指定された建造物があるにも関わらず、これまで十分に活用されてきませんでした。隣に住んでいる方がその事実を知らないこともあります。
そこで今後は市民に対する啓蒙を行うとともに、滝山寺の鬼祭りなどの祭事をはじめ、くらがり渓谷や鳥川(とっかわ)のホタルに代表される額田の豊かな自然や、八丁味噌や駒立のぶどうに六ツ美のイチゴ、幸田の筆柿といった食べる楽しみ、さらに本市の経済の柱でありますモノづくりを体感する産業観光なども加え、市内各地に分散する観光資源を線で結んで活用することが重要であると考えます。
毎年、岡崎市はアメリカの大学生達の訪問を受け入れておりますが、歴史観光と共にロボットによる車の組み立て工程見学などは大きな注目を集めております。さらに季節ごとの様々なストーリー性のある観光コースを用意し、それをこちらから積極的に売り込んでいく姿勢が必要であると思っております。
併せて観光を産業にまで高めていくためには、観光バスなどで周遊できるコース設定と、各地の駐車場対策を具体的に考えなくてはなりません。現在そうした対策に取り組んでいるところであります。
おとがワ!ンダーランド、泰平の祈り
そして、こうした新たなまちづくりに向けて、現在、多くの市民の方々と様々な議論を深めていますが、既に、学生や一般の主婦の方々から、行政では思い付かないような、斬新でユニークなアイデアを提案していただいております。
この夏、リバーフロント地区においては、「おとがワ!ンダーランド」と銘打って殿橋のたもとでのオープンカフェや、町中の水辺でのキャンプやバーベキュー、さらには河川敷でのビアガーデンなど、市民の皆さんのアイデアによる様々イベントが実施されています。こうしたアイデアの中には、すでに他市で実証済みのものもあります。
そして、昨年末に開催しました、乙川にLEDボール3万個を流す「泰平の祈り」も岡崎青年会議所(JC)を中心に民間の皆様のお力を借りて、今年度は9月下旬の開催の予定で、現在準備を進めております。
私達は、公共による単なるハード整備だけではなく、「それを使ってどう賑わいを創出するか」というソフト面を重視してまちづくりを考えているのであり、こうした事業を通じて、まずは、民間の皆様に大いに儲けていただき、その結果として、行政には税としての収益があるといった、あくまでも民が主体のまちづくりということを目指しております。
さらに、こうした活動により、河川空間が市民の憩いの場となることはもちろんのこと、川沿いにカフェやレストラン、さらには本市の長年の課題でありますホテルの進出にも繋がるものと期待しております。
本格的なホテルがないということが岡崎の観光の最大の弱点であり、課題であります。外からのお客さんに長く滞在してもらい、岡崎に対する理解を深めお金を使っていただくことがこれからの観光産業にとって重要なポイントであると考えております。そのため国内の事業者でも外資系でもいいので、何とか一流のホテルの進出を促したいと考え努力しています。
私達もそうした方向で民間の力を誘導するため、既に様々な提案や声掛けを沿線の地主さんや事業者の方々へ行っております。もし皆様も良いお話しがあれば、ぜひご紹介いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
もうすでに、岡崎の変化をお分かり頂いていると思いますが、岡崎はこれからもまだまだ進化します。あと十年もすればヨーロッパの街並みにも負けない、岡崎独自の景観を有した都市になりますので、ぜひご期待ください。将来「あの時代の市政のおかげで今日の岡崎がある」と言われるようなまちづくりを目指してまいりますので、引き続きのご協力をお願い申し上げます。
結び
以上、本日は今後のまちづくりを中心にお話を致しましたが、これからも引き続き、岡崎の経済の根幹であるモノづくりへの支援をしっかり行い、福祉や医療、防災や教育といった基本施策の推進を通じて、このまちに生まれ育った子ども達が、ふるさと岡崎により大きな愛情と誇りを持てる、そんな「夢ある新しい岡崎」づくりに向けて進んで参ります。そして引き続き、市政を担わせていただくべく、この秋には、改めて市民の皆様の審判を仰いでまいります。
皆様に「二期目もがんばれ」と言っていただけるよう、これからも全身全霊でがんばってまいりますので、なお一層のご支援とご協力を重ねてお願い申し上げ、私の話を終了させていただきます。
御静聴、ありがとうございました。
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