3年ほど前、とある新聞記者の書いた記事に触発されて、「デマゴーグについて」と題する文章を2回に分けて書いたことがある。近年のデマゴーグは全くのウソ、デタラメではなく、数字のトリックやオーバーな表現で読者を欺こうとする傾向があるということを書いた覚えがある。
選挙が近づいてくると、こうしたものが出てくるものであるが、昨今は実にクラシックな全くのウソ、デタラメを並べる単純な方法も目立ってきているようである。
現在、全国の多くの自治体は水道管の布設替えや浄水場の更新の時期に迫られている。しかしながら、事業を進めるには多大な予算を要するため、自治体によっては民営化して乗り切ろうとしているケースもある。
幸い岡崎市は複数の水源に恵まれ、財政も健全な状況を維持しており、水道の安全安定供給のため独自で水道事業を継続してゆく方針である。事業は計画的に進められており、今後も経営のあり方は同じである。

しかるに近頃、一部外者が何の根拠もなしに「岡崎市は水道の民営化を図っている」いうデマをしきりに流しているそうだが、これは全くの事実無根の話である。市の幹部会はもとより局内でも一度も議論に上がったことすらない。
また同様に、最近の岡崎市政が「中心部偏重の施策になっている」とか、「政策決定がブラックボックス化している」とか訳の解らないことを言っている輩がいると聞いた。昔から「貧すれば鈍す」という言葉があるが、これは、ためにするデタラメであり、何の具体的根拠もない話である。
私が上京して各省庁を回った時に必ず言われるのは、「岡崎市はよくやってるネ」という言葉である。ことに国土交通省からは「全国でまちおこしの事業を行っている所は多いが、岡崎のように5つも6つも大きな事業を全市的に展開して、すべて成功しているケースはまれであり、国としても注目している」と言われている。その証しが昨年の「地方再生のモデル都市」への選定であり、さらに「中枢中核都市」の一つとしても選ばれていることで証明されている。
この秋、岡崎市をモデルケースにした3つの研修会が国土交通省のキモ入りで、全国の関係者を招いてこの岡崎の地で開催されることになっている。
今さらであるが、市南部では新総合病院の建設、JR駅前の再開発、都市計画道路福岡線や同若松線をはじめとする各種道路の整備、河川改良などが行われている。東部ではアウトレットモール誘致と本宿駅周辺の区画整理事業に着手し、額田地区では「額田センター・こもれびかん」建設のほか、地元密着型の山間地事業にも着手しており、中山間地の活性化計画も具体的に進めている。北部では経済界待望の新しい工業団地計画が進み、活性化のための「(仮称)岡崎阿知和スマートインターチェンジ」事業も間もなく実施の段階に入ってくる。


県との間で長年の懸案事項であった県営グラウンドは、「岡崎市龍北総合運動場」として再生途上にある(来年7月完成予定)。県立愛知病院の経営移管の話も大きく進展し、「岡崎市立愛知病院」に生まれ変わった。
区画整理が未整備であり、道路事情が悪く、大きな施設を造りにくい矢作地区でも南北道路延伸を含めた道路計画が進み、西岡崎駅周辺整備が行われている。要望の強かった西部学校給食センターの再建も矢作南で実現することになっている。
市内東西南北それぞれにその地の発達段階に応じた施策を展開し、それなりの評価を受けているというのが実態である。
その上でワンランクアップの都市を目指すための施策が、「モノづくり」に続く「観光産業の振興」であり、その第一歩が「乙川リバーフロント計画」なのである。一体どこが「中心部偏重」なのであろうか? きっとこれは事実を認めたくない人か、市民の声や正しい情報が入ってこない立場の人かのいずれかであるかと思う。
また、「ブラックボックス」という言葉であるが、そもそも用語が間違っている。通常ブラックボックスとは、飛行機の安全航行のための経路と機体の運航状況を記録し、まさかの事故の時のデータを残す機械のことである。仮に言うならば、ブラックホールであるが、これとても正しい認識とは言えない。第一まじめに仕事をしている市の職員をバカにしている言葉である。
岡崎市は大きな事業を行うために極力、国・県との連携を重視し、なるべく多くの補助金を使って事業展開をしている。さらに民間の力を活用もしている。よく100億円事業と悪口を言われた乙川リバーフロント計画も半分近くは国費であり、全国でも例外的な事業だと言われる。それだけまちおこしとして説得力のある仕事であったからできたことである。

(2020年3月完成予定の桜城橋)

(2019年8月に完成した東公園の木製遊具)
東岡崎駅前の家康公像、東公園の恐竜と木製遊具においては、これらは市民の浄財によって整備されたものであり、そのことも正しく見て頂きたいものである。
しかもこうした施策の策定・実施は、役所の部内、議会での審議はもとより、380回(来年までに400回)を超える市民対話集会、政策説明会にくわえ、地元説明会などを経て、岡崎活性化本部はじめ多くの専門家、諮問機関の提言、チェックのもとに進められてきたものである。決して一人の人間の気まぐれや思いつきで行われてきたものではないことを強調したい。
私が市長になってから一番強く感じたことは「市長だからと言って、ひとりで勝手に決められることはほとんどない」ということである。ひょっとして、根拠なしに批判してみえる方は「市長になれば何でも自分の思いどおりにできる」と思っている人なのではないだろうか?
これから選挙が近づいてくると、またぞろ、ためにする悪口、根拠のない批判、デマが出てくるものである。またそうしたことが好きな御仁もいるのである。
賢明なる市民の皆様におかれましては、どうかその点をしっかり見極めて頂き、正しく御理解、御判断をして頂きたいものと思っております。
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