防災・消防

2020年1月16日 (木)

令和2年 岡崎市消防出初式、成人式

1月12日(日)、消防出初式と成人式が開催されました。当日の挨拶を掲載いたします。


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岡崎市消防出初式
 令和2年の輝かしい新春を迎え、心からお喜び申し上げます。
 本日、岡崎市消防出初式を挙行いたしましたところ、ご来賓の皆様におかれましてはご多用の中ご臨席を賜り、心から御礼申し上げます。また、学区総代の皆様をはじめ、多くの防災関係の皆様におかれましては日頃から地域の防災、防犯活動に多大なるご尽力をいただいておりますことに深く感謝申し上げます。
 そして先程、表彰の栄に浴されました皆様方におかれましては永年にわたる消防防災活動に対しまして、改めて敬意を表します。

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 さて昨年はこれまでに経験したことがないような暴風・大雨による被害が、全国各地で発生しました。
 近年、台風は益々大型化し、昨年の15号ではライフラインが長期にわたって寸断しました。また、台風19号では1都12県に対し大雨特別警報が発表され、1級河川等の堤防決壊や、住宅地付近で土砂崩れが発生するなど、その被害は甚大でありました。岡崎市では現在も被災地に職員を派遣するなど、支援活動を続けております。
 このように、豪雨災害や南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、地域の防災リーダーであります消防団員や婦人自主防災クラブの皆様方の活躍に大いに期待するものであり、地域住民の強化を図ることはできません。どうか今後とも、更なるご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。
 そして、出初式終了後には、もう既にご覧いただいた方もあると思いますが、市民の浄財・ご寄附によって東岡崎駅前に本市の新たなシンボルとして完成した、日本一の高さと偉容を誇る、若き日の徳川家康公の騎馬像をご覧いただくなど、新春をゆっくりお過ごしいただけたらと思います。
 終わりに、本年が災害のない、平穏無事な一年となるように祈念申し上げますとともに、ご臨席を賜りました皆様方のご健勝とご多幸を、心から祈念申し上げまして年頭の挨拶といたします。


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岡崎市成人式
 新成人の皆さん、本日は誠におめでとうございます。新しい年を迎え、希望と輝きに満ちあふれた4,053名の方々が晴れて成人となられたことを心よりお喜び申し上げます。また、ご来賓の皆様におかれましては公私共にご多用の中、多数の方々にご臨席賜りましたことを厚く御礼申し上げます。
 この成人式は、新成人の皆さんをお祝いするとともに、皆さんが大人になられたことの自覚を高めていただくために開催しております。
 皆さんにはこれから政治や経済、社会への関心を今まで以上に深めていただき、より良い岡崎、より良い日本を築いていくため、常に大人としての責任を持って行動していかれることを大いに期待しております。

 さて、昨年は「令和」という新しい時代の幕開けとともに、本市においても多くの新しいものをお披露目することができました。去る11月2日には、東岡崎駅と直接つながる中央デッキが完成し、もう既にご覧いただいた方もあると思いますが、そこには市民の皆様のご協力により、僅か1年半で1億円を超える浄財を得て、高さ9.5メートルという、日本一の高さと偉容を誇る、若き日の徳川家康公の騎馬像がついに駅前に完成しました。
 私共、岡崎生まれ岡崎育ちの者は、これまで子どもの頃から何度も「岡崎の人間は家康公の生まれ故郷と言いながら、駅前にまともな像一つない」と言われてきましたが、これから皆さんには、もうそんな悔しい思いをさせることはありません。
 この像は単なる観光スポットではなく、駅のホームや電車の窓からも見え、今後末永く岡崎の新たなシンボルになると確信しております。
 そして、19歳で桶狭間の戦いで敗れた家康が再起したことにならい、若い人たちが人生の壁に当たった時に、「困難に立ち向かい、自ら人生を切り開いていく」という精神を学び取ってほしいと思います。
 さらに、東岡崎駅の周辺では「オト リバーサイドテラス」と名付けられた、9階建てのホテルを含む新たな商業施設がグランドオープンし、好評を博しております。そして、人道橋の「桜城橋」も今年の3月末に完成の時を迎えます。
 また、市の東部エリアにおいては、県内初となるアウトレットモールの進出が計画されいおります。
 このように様々な事業を展開していく究極の目的は、いつも申しております通り岡崎の子ども達が自らのふるさとに対し、これまで以上に大きな愛情と誇りを持てる、そんな「夢ある新しい岡崎」を築くためであり、今後もその目標に向け邁進する覚悟であります。
 次世代を担う皆さんには、本市の市政にも関心をもっていただき、ともに岡崎をより良くしていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 終わりに、皆さんには自らの活力と若々しい感性でこれからの人生を切り開いていただくとともに、大人として積極的な社会への参加を期待しております。
 本日を「新たなスタートの日」として、大きく飛躍されることを心から祈念申し上げまして、私からの挨拶といたします。本日は誠におめでとうございます。

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2019年10月27日 (日)

大規模災害被災地派遣状況報告(2019年9月27日)

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 中核市災害相互応援協定に基づく支援要請があり、10月21日(月)に本市職員を長野市に派遣しました。ゆかりのまち提携をしている長野県佐久市からも支援要請があり、先週、同市に職員を派遣しました。台風19号をはじめとする豪雨により被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

 さて、今年もまた一年が経過して、被災地派遣職員の経過報告を受ける時期となりました。それぞれ岡崎市の代表として現地での復興の中心的役割を担いガンバっており、私としては誇りに思いますし感謝しております。
 9月27日(金)、以下の自治体へ派遣した職員から、支援業務の活動について中間報告を受けました。
・宮城県山元町(東日本大震災復興事業)
・宮城県亘理町(同上)
・広島県東広島市(平成30年7月豪雨復興事業)

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―報告会での市長コメント―
 ただいまの皆さんの報告を受けまして、それぞれが重要な業務を担い、山元町、亘理町(わたりちょう)、東広島市の復興のために尽力いただいていること、また着実に成果が表れてきていることがわかりました。引き続きの支援をお願いします。
 東日本大震災から8年が経過し、平成30年7月豪雨からも1年が経過する中で、それぞれの被災地への関心が少しずつ薄らいでいるようにも感じますが、今年も8月に九州北部で発生した豪雨災害や、今なお千葉県で停電が続く台風15号による災害など、全国各地で大規模な自然災害が起こっています。
 あってはならないことですが、岡崎市でもいつ大規模災害が発生するかわかりません。万一の際には、皆さんの経験は大きな意味を持つことになりますので、被災地ならではのことを勉強し、たくましくなって岡崎に戻ってきてもらいたいと思います。慣れない場所での生活は大変だと思いますし、まだまだ暑い日が続きますが、体調には十分気を付けてください。
 最後に、これまでに被災地への派遣を終えた皆さんは現地の方々と密な関係を築き、職務にやりがいを感じて充実した表情で帰ってきました。
 この機会を自分自身にとって貴重な経験と捉えて、引き続き被災地の皆さんのために頑張ってください。よろしくお願いします。

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2019年8月12日 (月)

令和元年度 岡崎市地域総合防災訓練 第2回全体会議

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 毎年市内各地の小学校等で実施している「岡崎市地域総合防災訓練」でありますが、今年は9月1日(日)に行います。地域の皆様におかれましては、ご参加何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以下は訓練に先だって行われた第2回全体会議での私の挨拶です。


 本日は猛暑の中、また、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 皆様方におかれましては、日頃から地域の防災活動をはじめ、市政に対しまして多大なるご尽力を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、先月から、大雨・洪水・土砂災害に関する市民への避難情報が5段階で発信されることになりました。警戒レベルに応じて市民が取るべき行動と対応が明確化されるようになりました。今後も市から適宜、情報を発信するなど、市民の皆様の行動を全力で支援してまいります。市民の皆様には「自分の命は自分で守る」を基本に日頃から備えていただきますとともに、地域全体でも住民を守るための活動に引き続き取り組んでいただきますようお願いいたします。

 このような中、皆様方におかれましてはこの自主防災活動の取り組みの一つとして、迫りくる災害に備えて、毎年この時期に「地域総合防災訓練」の実施をお願いしております。

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 毎年訓練を実施することで、地域で顔の見える関係を築くことができるとともに、防災関係機関との連携を深めることができます。今年も訓練を通して、より一層「自助」「共助」に対する取り組みを進め、着実に地域の防災力の向上を図っていただきますよう、お願い申し上げます。
 最後に、今年も暑い中での訓練となることが予想されます。健康管理には十分気をつけていただきますようお願い申し上げますとともに、それぞれの会場で効果のある訓練が行われますことを祈念申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。
 皆様、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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2019年1月17日 (木)

平成31年 岡崎市消防出初式、成人式

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 今年は正月早々ノドカゼを引くという失態を招いてしまった。インフルエンザの予防接種も済ませていたため油断をしていたのかもしれない。
 1月1日の新年交礼会を終えた後から軽いセキが出始め、市販の薬を飲んで済ませて対応したところ、日に日に悪化し、1月8日には声が全く出なくなっていた。翌日、市民病院で点滴を打ってもらったおかげで何とか声が出るようになったものの声量が戻らない。
 1月13日(日)の消防出初式と成人式は、前日まで冷や冷やで副市長に代理をしてもらうことも考えたが、うがいを繰り返して臨み、無事終えることができた。
 聞き苦しく感じられた方もあるかと思いますが、お詫び申し上げますと共に下記に当日の挨拶を掲載いたします。


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岡崎市消防出初式
 平成31年の輝かしい新春を迎え、心からお喜び申し上げます。
 本日、岡崎市消防出初式を挙行いたしましたところ、ご来賓の皆様におかれましては公私ご多用の中ご臨席を賜り、心から御礼申し上げます。また、学区総代の皆様をはじめ、多くの防災関係の皆様におかれましては日頃から地域の防災、防犯活動に多大なるご尽力をいただいておりますことに深く感謝申し上げます。
 そして先程、表彰の栄に浴されました皆様方におかれましては永年にわたる消防防災活動に対しまして、改めて敬意を表するものであります。

 さて昨年末には、一年の世相を表す漢字といたしまして「災(わざわい)」が選ばれました。
 この漢字が表すように、まさしく昨年は災害が多く発生した一年でありました。6月には大阪府北部地震、9月には北海道胆振東部地震といった大地震が発生しました。さらに風水害でも、西日本を中心に甚大な被害が発生した平成30年7月豪雨をはじめ、全国各地で記録的な大雨による被害が発生しました。
 本市におきましても、こうした大地震や豪雨災害の発生が危惧される中、地域の防災リーダーであります消防団員や婦人自主防災クラブの皆様方の活躍に大いに期待するものであり、地域住民の皆様のご強力なくして地域防災の強化を図ることはできません。どうか今後とも更なるご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。
 終わりに、平成最後の本年はこの「災」を「福」に転じて、災害のない平穏無事な一年となるように祈念しますとともに、本日ご臨席を賜りました皆様方のご健勝とご多幸を、心から祈念申し上げまして年頭の挨拶といたします。

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岡崎市成人式
 新成人の皆さん、本日は誠におめでとうございます。
 新しい年を迎え、希望と輝きに満ちあふれた4,130名の方々が晴れて成人となられたことを心よりお喜び申し上げます。また、ご来賓の皆様におかれましては公私共にご多用の中、多数の方々にご臨席賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

岡崎市成人式

 この成人式は、新成人の皆さんをお祝いするとともに、皆さんが大人になられたことの自覚を高めていただくために開催しております。
 皆さんにはこれから政治や経済、社会への関心を今まで以上に深めていただき、より良い岡崎、より良い日本を築いていくため、常に大人としての責任を持って行動していかれることを大いに期待しております。

 さて、本市におきましては市制100周年以来、これまで多くの事業を進めてまいりました。ことに今年は乙川リバーフロント地区において、いよいよ乙川人道橋の全容が見えてまいります。加えて、東岡崎駅周辺でも中央デッキの整備が進むほか、北東街区ではホテルや商工施設がオープンを迎える予定です。
 さらに全国で1番の高さと偉容を誇る徳川家康公像が、遂にお披露目となります。これから数年のうちにこれまで多くの市民の知恵とご協力により全市的に手がけた事業が次々と実現を迎え、近い将来、間違いなく岡崎の景観や人の流れも大きく変わってまいりますので、ぜひご期待ください。
 また、昨年の8月末に東京で行われました「行きたいまちナンバー1」を決定するイベント「全国ふるさと甲子園」におきまして、全国から55の地域が参加する中、なんと岡崎市が初出場にしてグランプリに輝くことができました。これを一つの励みに、更なるまちづくりに邁進してまいります。
 このように多くの事業を展開していく究極の目的は、岡崎の子ども達が自らのふるさとに対し、これまで以上に大きな愛情と誇りを持てる、そんな「夢ある新しい岡崎」を築くためであり、その目的のため市職員や各議員の皆様と共に、ただ今全力で取り組んでいるところであります。
 次世代を担う皆さんには、本市の市政にも関心を持っていただき、ともに岡崎をより良くしていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 終わりに、皆さんには自らの活力と若々しい感性でこれからの人生を切り開いていっていただくとともに、大人として積極的な社会への参加を期待しております。
 本日を「新たなスタートの日」として、大きく飛躍されることを心から祈念申し上げまして、私からの挨拶といたします。本日は誠におめでとうございます。

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2018年9月17日 (月)

平成30年9月議会 その1(市長提案説明)

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 ただいま岡崎市議会9月定例会が開催されています。
 初日(8月29日)に述べた所信の一端ならびに議案の大要について、御報告申し上げます。


平成30年7月豪雨、災害時受援計画の策定
 6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨に見舞われた平成30年7月豪雨では、河川の氾濫、浸水害、土砂災害等により甚大な被害が発生いたしました。
 犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されました皆様には心よりお見舞い申し上げ、加えて、被災地の1日も早い復旧・復興を願うものであります。
 本市では、いち早く、緊急消防援助隊の愛知県の派遣部隊として、昨年の九州北部豪雨に続き、レッドサラマンダーが岡山県に出動し、安否確認や避難困難者の救助などの災害活動を行いました。中核市 災害時 相互応援協定による支援として、初動期に人的支援と緊急物資の提供を始め、避難所運営支援として現在も職員の派遣を行っております。

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 また、総務省や厚生労働省、愛知県市長会から要請を受けましたので、被災した家屋の被害認定調査、愛知県と中核市等で編成する保健チームのメンバーとして保健師等が被災者の健康相談・健康チェック、避難所の衛生対策を行う職員を派遣しました。さらに、今年から本格的な運用が開始された災害時 健康危機管理支援チーム「DHEAT(ディーヒート)」の愛知県初の派遣メンバーとして専門的な研修を受けた職員の派遣も行いました。
 今年度、本市は物資に関する災害時受援計画の策定を予定しております。この計画は災害時において人的・物的資源などの支援・提供を受け、活用することを目的とし、円滑に他者の応援を受け、又は他者を応援することができるよう配慮するものであります。災害時に活用できるよう実効性の高い計画を策定してまいります。

浸水対策について
 また、9月2日には地域総合 防災訓練の実施を予定しております。市民の皆さまには積極的にご参加いただき、防災意識の高揚並びに、災害対応力が向上することを期待しております。
 本市の浸水対策でありますが、甚大な浸水被害が発生した「平成20年8月末豪雨」に関しては、伊賀川など5河川の床上浸水対策 特別緊急事業を平成27年度までに完了し、各河川流域の安全度は大きく向上しているところです。これら河川が整備されたことにより、低地での市街地の浸水を早急に排水するための雨水ポンプの建設を進めてまいりました。
 旧福岡郵便局周辺については、平成25年度より福岡雨水ポンプ場の建設に着手し、6月に完成、7月より供用を開始しております。
 また、六名・江口地区については、5年後の供用開始に向け、六名雨水ポンプ場の建設を進めているところであり、ポンプ場の着実な整備により、浸水被害を大きく軽減できるものと考えております。
 さらに、ハード対策に加えて、避難体制の強化や水害リスクの回避などのソフト対策を組み合わせるなど、総合的な浸水対策にも取り組んでいるところでありまして、近年頻発する豪雨に対して、被害が軽減できるよう、今後も努めてまいります。

危機管理体制の徹底
 6月18日には、大阪府北部を震源とした地震が発生し、ブロック塀の倒壊により女子児童が死亡する痛ましい事故が発生しました。
 この事故を鑑み、小中学校を始め公共施設のブロック塀等の緊急点検を行いました。危険性が確認された施設につきましては、早急に撤去改修を実施するため、補正予算の専決処分を行い、現在工事を進めております。
 民間所有のブロック塀につきましては、優先度の高い通学路沿いのブロック塀について、緊急の安全点検を実施するとともに、必要に応じて所有者に注意喚起などを行いました。今年度よりブロック塀等 撤去費補助制度を新設しておりますので、撤去や改修の際にご活用いただけたらと思います。

 7月18日には、重油2,000リットルが乙川に流出する事故が発生しました。
 下流にある男川浄水場の水源まで重油が到達したことから、乙川からの取水を停止する決断をいたしました。市内の半数にあたる約81,000世帯に水道水を供給できなくなる恐れがあったため、直ちに「危機管理警戒体制」を立ち上げるとともに、上下水道局においても対策本部を設置しました。オイルフェンスや吸着マットで水質の回復を図る措置や水質の監視強化、高度な浄水処理対策の実施など早期の取水再開に取り組むとともに、不足する水道水の確保や断水に備えた準備を進めていたところ、幸いにも断水という事態を回避することができました。その背景には、市民や企業の方々による節水によって配水量が抑制されたこと、土木災害安全協力会、管工事業協同組合や西三河水道事業連絡協議会の近隣市などの関係機関による連携した支援をいただいたことなど、地域一体となった対処があったことをご報告いたします。
 今後も、市民の生命財産を守るため、危機管理体制の徹底を図ってまいります。

中嶋一貴選手、愛三大三河高校
 さて、この夏には市民の皆さまが「わが街の誇り」と思っていただけるようなニュースがいくつかありました。
 6月に開催されたルマン24時間耐久レースでは、本市出身の中嶋一貴選手が優勝を飾られました。世界三大カーレースの一つと称されるこのレースでの輝かしい成績に対し、市民栄誉賞を贈りました。父親の中嶋悟氏には第一号の市民栄誉賞を贈っており、親子二代続けての受賞は初めてのことになります。

中嶋一貴選手

中嶋一貴選手

 また、第100回の記念大会となる夏の甲子園には、東愛知大会を制した愛知産業大学三河高等学校が出場しました。三河高校が夏の甲子園に出場するのは22年ぶり2度目であります。善戦空しく、初戦突破はなりませんでしたが、猛暑の中、はつらつとプレーする選手の姿は、市民に誇りと元気を与えてくれました。
 これ以外にも多くのスポーツで子ども達が頑張って好成績を残してくれていることをうれしく思っております。このような世界的・全国的レベルでのご活躍により岡崎市の名が、多くの方に
知っていただけたのではないかと考えております。

内藤ルネ氏、全国ふるさと甲子園
 そして、今年は観光ポスターをきっかけとしまして、民間事業者の皆さんと一緒になり岡崎市出身のマルチクリエイターであります、内藤ルネ氏のイラストを使ったプロモーションを進めています。

内藤ルネ展

 1950年代から60年代にかけ、少女雑誌の表紙や挿絵で人気を博し、本市の観光ポスターになった「ルネガール」や「ルネパンダ」を生み出したかたであり、日本のポップカルチャーを開拓、確立させたことから「ルーツ・オブ・カワイイ」と呼ばれております。
 7月末から行われた岡崎城下 家康公夏まつりにおいても各会場でイラストが飾られたほか、南公園や道の駅藤川宿といった市の施設をはじめ、イオンモール岡崎やNEOPASA岡崎などの民間施設など、様々な場所で「カワイイに出会えるまち、オカザキ」として展開しています。今後も、シティプロモーションのポスター等への起用のほか、様々な場所で活用してまいります。
 当時を知る年代のかたには懐かしい、また若い世代のかたには新しい岡崎の魅力として感じていただけるのではないかと思っております。

第4回全国ふるさと甲子園

 さらに、8月25日に観光庁、経済産業省など8つの省庁が後援し、東京の秋葉原で開催された「第4回全国ふるさと甲子園」では、全国から集まった55の自治体の中から本市が「行きたいまちNo.1」の座に選ばれました。
 行きたいまちNo.1の名に恥じぬよう、「観光産業都市・岡崎」の実現に向けて、観光客に満足いただけるソフト・ハード両面の充実を図っていきたいと考えています。

平成29年度決算
 それでは、本議会に提案をいたしております議案について説明をさせていただきます。
 本定例会には、平成29年度の一般会計、特別会計及び企業会計の決算認定議案を、監査委員の意見を付けて提出しておりますので、まず、その概要をご説明させていただきます。
 一般会計の決算の概要であります。
 一般会計の決算規模は、歳入は約1,270億円、歳出は約1,213億円と、歳入・歳出ともに前年度を上回り、どちらも過去最高額となりました。純剰余金につきましては、約47億円と、前年度と比べ、約8億円の増加となっております。この純剰余金のうち、35億円は、今後の財政需要に備え財政調整基金へ積み立てております。
 歳入では、緩やかな景気回復基調が続いていることにより、市民税、固定資産税などの市税が前年度と比べ、約15億円の増収と過去最高の決算額となっております。
 歳出では、本年2月に改築オープンしました“こもれびかん”の愛称で親しまれている額田センターの整備、民間による救急医療 拠点施設整備を支援するため、病院用地の購入費などが増加となっております。
 平成29年度は、これからの100年の礎を築くための重要な年度として、今後も持続可能なまちを創っていくため、未来を見据えた中長期的な視点に立ち施策を展開してきました。
 発達に心配のある子が早期に必要な相談・医療・療育を受けることができるこども発達センター、優れた景観と魅力的な水辺空間を活かした都市空間を創造していく乙川リバーフロント地区整備、広域的な災害対応を行うため、幸田町と共同で整備した「岡崎幸田 消防指令センター」など福祉や医療、防災や教育といった基本施策はしっかりと取り組みながら、投資的な事業もバランスよく実施できていると思っております。
 次に特別会計であります。
 12会計の総計では、歳入は約661億円、歳出は約652億円、純剰余金は約9億円で、前年度と比べ約3%減少となっております。
 最後に企業会計であります。
 病院事業会計は、入院患者数、外来患者数はともに減少しており、病床利用率は80.1%となりました。薬品費や委託料などの増加などにより、約4億7,000万円の純損失となりました。
 水道事業会計は、給水戸数、給水人口はともに増加し、普及率は99%でありました。旧男川浄水場の稼働停止に伴う資産減耗費が増加したものの、営業収益の増加などにより約6億1,000万円の純利益となりました。
 下水道事業会計は、接続戸数、接続人口はともに増加し、普及率は88.4%となりました。企業債の支払利息及び特別損失の減少などにより、約5億5,000万円の純利益となりました。

 以上が平成29年度決算の概要でありますが、本市の財政状況は引き続き健全な状況を維持していると自負しております。今後も市民の暮らしを守るための施策を最優先に取り組む一方で、サービスの質と量の最適化や稼ぐまちづくりによる新たな財源確保を図るなどの取り組みを推進していきたいと考えております。

条例議案など
 次に、条例議案であります。
 廃止条例といたしましては、設置目的を終えたため施設を廃止する「岡崎市中山間地域 農村活性化 施設条例」の1件であります。
 一部改正条例といたしましては、豊富学区市民ホームを移転する「岡崎市学区集会施設条例」、愛知県がんセンター愛知病院の経営移管に伴う関係条例の整備を行う「岡崎市病院事業の設置等に関する条例」など7件、合わせて8件を提案させていただいております。
 その他議案といたしましては、豊富学区市民ホームの移転、中山間地域農村活性化施設の廃止に伴い、建物等を集会施設として、地域の自主的な管理に委ねるための「財産の譲与」、岡崎中央総合公園 体育館の天井の改修、市営住宅平地荘を新築するための「工事請負契約議案」など9件を提案させていただいております。

補正予算議案
 次に、補正予算議案でありますが、一般会計の補正は 4億8,870万6千円の増額、特別会計は 8億2,979万円の増額、企業会計は1,249万9千円の増額補正をお願いしております。
 総務費では、地域防犯カメラの設置補助申請が当初の見込みを上回ったことによる補助金の増額、不足する市民会館駐車場に対応するための土地購入費の計上、民生費では、応募が当初の見込みを下回ったことなどによる老人福祉施設整備事業費補助金等の減額、額の確定による後期高齢者医療 療養給付費負担金の増額、給与単価の増などにより当初の見込みを上回ったことによる私立保育園運営費補助金の増額、衛生費では、ごみ処理施設で使用するコークスの単価が当初の見込みを上回ったことによる消耗品費の増額、土木費では、4月に山綱町で発生した法面崩落に対応するための道路維持修繕工事請負費の増額、県が行う主要地方道 岡崎碧南線の交差点改良工事にあわせて市道針崎ポンプ場線の整備を行うための測量設計委託料の計上、県事業である鹿乗川に架かる牧内橋(まきうちばし)整備の工事時期が早まったための橋りょう改築工事負担金の増額、大門駅周辺整備に必要な用地を購入するための土地購入費の計上、市営住宅平地荘新築工事において、年割額を変更したことによる工事請負費の減額、教育費では、小学校及び中学校にPFI手法によりエアコンを設置するにあたり、事業者選定をするための契約等支援委託料の計上などをお願いしております。

東海愛知新聞

 次に、特別会計であります。
 3会計ありますが、いずれの会計も、主に前年度の決算が確定したことに伴い、補正を行うものであります。国民健康保険事業特別会計は、療養給付費等の精算に伴う国庫負担金返還金の計上、後期高齢者医療特別会計は、過年度分の精算に伴う広域連合への保険料等負担金の計上、介護保険特別会計は、決算剰余金の介護給付費準備基金への積み立てや介護給付費の精算に伴う国庫負担金返還金の計上をお願いしております。
 次に、企業会計でありますが、病院事業会計では、愛知病院との統合準備のため、病室の名称変更を行う業務運営管理委託料及び結核患者用 病床基本計画作成委託料の計上をお願いしております。
 以上が、今議会に提案をいたしました議案の大要であります。

小中学校へのエアコン設置
 最後になりましたが、小中学校へのエアコン設置についてであります。
 これまでも実現に向けて準備をしていた小中学校のエアコン設置について、先日の記者会見でもお話したとおり、平成31年の夏までにすべての小学校へ、平成31年中にすべての中学校に設置することとしました。
 隣接市の小学校で児童が熱中症で亡くなるという痛ましい事故が起こるなど、昨今の猛暑に対し、子どもたちへの暑さ対策が社会問題となっています。これまでの小中学校の暑さ対策としては、平成22年度の教育委員会の方針により、23、24年度の2か年で、すべての普通教室の天井や壁に扇風機を設置し対応してきました。
 私としては市長就任当初から扇風機だけで十分なのか心配していたのですが、当時の教育委員会の決定でもあり、また、PTA会費で設置された扇風機もあるため、このご寄附の意思を尊重し、扇風機で対応してまいりました。しかし、エアコン設置については常に気にかけており、教育委員会に対しても一般家庭用の大型エアコンの活用など、経済的な方法や導入手法を研究するよう指示してきたところであります。
 今回の補正予算では、少しでも早く、そして確実にエアコン設置を行うためPFI事業にて進めるための事業費を計上しております。当初は従来通りの発注形式での設計及び工事を行う予定でしたが、近隣自治体など、今後一斉に設置を目指すとみられ、施工者や機器の確保などの問題が生じることが予想されます。PFI事業により施工者と早く契約することで、これらの課題を解決し、少しでも早く使えるようにしたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願いします。
 また、国においても学校へのエアコン設置について支援等の検討の動きがありますので、国の動向を注視し、補助金等を積極的に活用するとともに経費縮減に努めていきたいと考えております。

 以上、御説明を申し上げますとともに、提出をいたしております諸議案につきまして、よろしくご審議の上、ご議決を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終えさせていただきます。ありがとうございました。


平成30年9月議会 その2(一般質問答弁) (2018.09.19)

平成30年9月議会 その3(閉会挨拶) (2018.10.02)

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2018年9月 8日 (土)

災害大国日本

 この夏の異常気象に加え、一体今年の日本はどうなってしまったのだろうか?
 きっと市民の皆様も同じような気持ちであろうと思う。
 ユーラシア大陸の東端に、太平洋の暴風雨から大陸を守る防波堤のように存在する日本列島。環太平洋地震帯の上にその縁(ふち)をなぞるように位置する島国が我が日本である。そうした地勢的宿命から我が国はあらゆる災害に見舞われる可能性を持っている。

 今年は、大阪府(6月18日)、北海道(9月6日)と大型地震が二つあり、9月の初旬においてすでに台風が21個も発生し、その多くが日本列島を直撃する進路をとっている。「テロリズムに走った某宗教団体の幹部を死刑にしたタタリだ」という一部の人の冗談を信じる人が出てきても笑えなくなりそうである。
 まだ本年は4ヶ月あり、これから本格的な台風シーズンを控えており、地震も連動して起きる可能性もあり油断はならない。
 9月4日に上陸した台風21号も全国的に大きな被害があったが、この地方にとっては突風と一時的な大雨はあったものの、停電と比較的軽い被害にとどまり幸いであった。
 しかし今年のように連続する災害は広域に大きな農作物への被害を生じ、物価上昇をもたらすことになる。さらに道路の寸断、電気・ガス・水道などの停滞に伴い産業・流通における影響が拡大することによって我が国の経済・景気動向まで左右することになる。北海道にも地元自動車産業の部品メーカーがあり、今後の動向が気になるところである。

岡崎市地域総合防災訓練

 そうした二つの自然災害に先立ち、9月2日(日)、本市において「平成30年度岡崎市地域総合防災訓練」が行われた。従前は乙川河川敷において全市一体で行われていたが、このところは各地域において、より実戦的な訓練として個別で行われている。本年も各学区において多くの市民の協力を得て無事に防災訓練が行われたことを御礼申し上げると共に御報告致します。

岡崎市地域総合防災訓練

岡崎市地域総合防災訓練


平成30年度岡崎市地域総合防災訓練 各学区での市長挨拶
 皆さん、おはようございます。市長の内田康宏であります。
 台風21号の接近が心配される中、本日は早朝から地域総合防災訓練に多数のご参加を賜り、誠にありがとうございます。また、皆様方におかれましては、日頃から町内会ごとでの防災訓練の実施や、防災活動資機材の整備など、地域の防災力向上に対し多大なるご尽力を回り、厚く御礼申し上げます。
 さて、本年は岡崎市で発生した「平成20年8月末豪雨」から10年が経ちました。2名の方の尊い命が奪われ、6戸の家屋が全壊、約3,400戸が床上・床下浸水するなど甚大な被害をこうむりました。
 本市では、この10年で河川改修や浸水警報装置を設置するなど様々なインフラを整備してまいりましたが、自然災害は時として想定外の事態も発生いたします。また、本日の訓練想定でもあります南海トラフ地震の発生時には、市内で死者100人、家屋の全壊焼失3,900棟という、甚大な被害が想定されています。
 行政といたしましても喫緊に対策を講じるところではありますが、実際に災害を迎えた時に備え、まずは
 「自分の身は自分で守る」(自助)
 「地域で助け合う」(共助)
 「地域と防災関係機関の連携の強化」
 これらの3点をテーマとして訓練に取り組んでいただきますようお願いいたします。
 それから西日本豪雨災害等の教訓として、昨今は災害のあり方が局地化の傾向があります。道路一本へだてて右側は大被害となっているのに、左側はほとんど被害が生じていないこともありました。
 県や市としては大枠の情報提供、避難勧告を行いますが、現地においてしか分からない状況というものがあります。あくまで最終は自分の目で見て適切な判断を下し、家族の命を守るための決断・行動をとっていただく心構えをお願い申し上げます。
 本日の訓練で、それぞれの学区の皆様の結びつきがより一層強固なものとなり、これまで以上に地域の防災力が向上しますことを祈念いたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。
 本日は皆さんよろしくお願いいたします。

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2018年2月 5日 (月)

平成30年 岡崎市消防出初式

岡崎市消防出初式

 1月14日(日)、厳しい寒さにもかかわらず、久し振りの好天に恵まれ、本年も盛大に岡崎市消防出初式を行うことができました。
 整然と規律正しい消防職員並びに消防団員の試技に対し、市民から大きな歓声が上がりうれしく思いました。
 出初式は消防関係者の日々の訓練の成果を披露する場であると共に、市民に消防活動の理解をはかり親しんで頂く場でもあります。また、本市の冬の一大イベントの一つとして、これからもさらにショーアップした華やかな催しにしてまいりたいと考えておりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
 以下は当日に述べた年頭の辞です。

岡崎市消防出初式


 平成30年の輝かしい新春を迎え、心からお喜び申し上げます。
 本日、岡崎市消防出初式を挙行いたしましたところ、ご来賓の皆様におかれましては公私ご多用の中ご臨席を賜り、心から御礼申し上げます。また、学区総代の皆様をはじめ、多くの防災関係の皆様におかれましては日頃から地域の防災、防犯活動に多大なるご尽力をいただいておりますことに深く感謝申し上げます。
 そして先程、表彰の栄に浴されました皆様方におかれましては、長年にわたる消防防災活動に対しまして改めて敬意を表するものであります。

 さて、昨年を振り返りますと7月の九州北部豪雨をはじめ、全国各地で記録的な大雨による被害が発生しました。
 この九州北部豪雨では、本市からも消防職員が緊急消防援助隊として全国で1台配備されております、全地形対応車レッドサラマンダーで初めて出動し、孤立した集落への安否確認や救助活動などに従事しました。近年では全国各地で豪雨災害が発生しており、改めて自然災害の恐ろしさを思い知らされたところであります。
 こうした豪雨災害や大地震の発生が危惧される中、地域の防災リーダーであります消防団員や婦人自主防災クラブの皆様方の活躍に大いに期待するものであり、地域住民の皆様のご協力なくして地域防災の強化を図ることはできません。どうか今後とも更なるご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 そして本日出初式にお越しいただきました皆様には、伝統のはしごのりや救助救出訓練をはじめといたしまして、レッドサラマンダーの勇姿や一斉放水もご覧いただけますのでどうぞご期待ください。

全地形対応車両(レッドサラマンダー)

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 また、出初式後には目に見える形で整備の進む乙川リバーフロント地区におきまして、様々なイベントを開催しておりますので、清々しい新春の一日をごゆっくりお過ごしいただけたらと思います。

 終わりに、本日ご臨席を賜りました皆様方並びに市民の皆様には、寒さが一層厳しくなる中くれぐれもご自愛いただき、今後益々ご活躍されますことを心から祈念申し上げまして、年頭の挨拶といたします。

光ヶ丘女子高等学校ダンス部


平成28年 岡崎市消防出初式 (2016.01.22)

平成27年 岡崎市消防出初式と成人式 (2015.01.14)

平成26年 岡崎市消防出初式と成人式 (2014.01.17)

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2017年7月27日 (木)

レッドサラマンダー(赤い飛竜)出動す!

レッドサラマンダー(2017年7月)

 2013年、国から岡崎市に全国でただ一台配備され、その活躍のほどを期待されていた全地形対応の消防車両「レッドサラマンダー」が、今回の九州北部地域への集中豪雨災害に対応すべく、愛知県の派遣部隊として本市の緊急消防援助隊の隊員と共に出動した。
 派遣部隊は3次にわたって交替派遣され(各8人)、1次隊は専用の運搬車に乗せられたレッドサラマンダーと共に総務省からの出動要請を受け、7月5日に岡崎を発ち、6日に大分県日田市に到着した。
 なかなか出動しないレッドサラマンダーを、時に「宝の持ちぐされ」の如く言う人がいるが、国からお預かりしている車両を、岡崎市単独の意志で他所へ出動させることは法的にできないのである。そんなことも知らないのだろうかと情けない思いがしている。さらに、戦車のように重車両の車体を下にまだ人間が埋まっているかもしれない場所で走らせることができるかどうかは子供ですら判断の付くことである。そういう人達に限って、キャタピラの跡のついた死体が出てきたような時には、逆に手の平を返したように出動したことを批判するものである。今回そうしたことが無かったことは幸いであった。

 7月6日に大分県日田市に到着した隊員とレッドサラマンダーは、同市の上宮町や鶴城町などの孤立集落に派遣され、住民の安否確認や情報収集、隊員と物資の搬送などに活躍した。直接ヘリコプターが降りられない地域や、ガケ崩れで道路が寸断された不整地形でもキャタピラの力で乗り越えて行ってしまう能力は頼もしい限りである。ただし、今回、車体のバランスが崩れればガケ下へ転落しそうな所での活動もあり、くれぐれも運用には慎重を期して頂くことをお願いしたい。

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 帰任した隊員達の報告によれば、「これまで岡崎において積み重ねてきた、土砂や泥、水中、ガレキの上などを走破する訓練が十分に役に立った」ということであった。一方、「レッドサラマンダーのエンジン音が車内に響き、音による車外の変化の察知が十分できず、二次災害の心配がある」との意見もあった。この点は戦車の無線通信システムを参考に、外部との連携を密にする必要があると思う。

 レッドサラマンダー隊は7つの捜索地点の偵察を終え、9日からは3次部隊が大分県日田市から福岡県の朝倉市へ移動となり、災害活動を実施した。その後任務を終え、13日正午過ぎに岡崎に無事帰還している。また期間の翌日14日午前には、小牧・犬山両市の集中豪雨対策に備え、名古屋まで出動し待機していたが、幸いにもこちらは出番が無く戻ってきている。

『東海愛知新聞』2017年7月14日

 言うまでもないこととも思うが、勘違いをしないように一つ言っておきたいことがある。本来災害が無く、出番の無いことが最善なことで、災害だからと言って、考えもなくむやみやたらにしゃしゃり出て行けばいいというものでもないのである。
 今回の経験を踏まえて、どういうケースでどういう使い方が合理的であるかということを、再度、国・県と調整しておくべきであると考えている。

 それから地元の被災者の一人がTVのインタビューで「出動が遅い」というコメントを述べておられたが、国の指令を受け、岡崎から九州の現地まで行くには今回の手順が精一杯である。
 もしできることなら同様の車両を北海道、東北、関東、近畿、中国、四国、九州の各所に一台ずつ配備できないものかと思うものである。そうすれば、もう少し早い対応も可能となる。レッドサラマンダーは意外なことにシンガポール製で、1台1億円だそうである。我が国の高い技術力を活用して国産の車両が造られることになれば、もっと良いモノが出来そうな気がするのであるがどうだろうか?

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2016年9月18日 (日)

愛知県・岡崎市総合防災訓練

愛知県・岡崎市総合防災訓練

 8月28日(日)、県・市合同による大がかりな総合防災訓練が開催された。岡崎市で行われる県の防災訓練としては実に18年ぶりとなる。当日、総参加者は5,200人、訓練参加者は99機関、3,200人であった。岡崎中央総合公園をメイン会場とし、根石小学校と東岡崎駅周辺がそれぞれサブ会場に選ばれた。当日の私の行動順にしたがって書いてみたい。

岡崎市立根石小学校(サブ会場)
 朝8時、根石小学校において大村愛知県知事の到着を待ち、共に炊き出し中の主婦の皆様をねぎらい、地震体験車の体験、避難訓練中の皆様からの意見の拝聴などを行った。
 ここで行われた避難所開設運営訓練は、毎年市内各地で行っていることであるが、地元の皆さんのテキパキした災害対応訓練の様子に、地域の安心安全を守る強い決意が現れているようで頼もしく思った次第である。

愛知県・岡崎市総合防災訓練

大村秀章知事、青山周平衆議院議員、新海正春県議、内田康宏、市民のみなさま

東岡崎駅周辺(サブ会場)
 朝9時、東岡崎駅に到着。大災害時には3万人を越えると想定される帰宅困難者対策が今回の新たな課題として取り上げられている。自然科学研究機構との「大規模災害時等における帰宅困難者支援施設の使用に関する協定」の締結に基づく実地訓練が三島学区の皆さんの御協力のもとに行われたことは大きな成果である。併せて御協力頂いた岡崎警察署、名古屋鉄道関係の方々、消防団、民間企業の皆様にも御礼申し上げます。

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 東岡崎駅と言えば、老朽化した岡ビルの様子が大変気にかかるものである。民間企業の経営方針に関して公共として指図する訳にもいかないが、今後周辺の変化する中、唯一取り残された形となる施設に対しなんらかの対応が行われることを期待している。
 これから駅周辺整備が進行する中で、ペデストリアンデッキが完成した暁には、非常時における屋年のある空間としてデッキ下の空間を合理的に活用してゆきたい。

岡崎公園河川緑地
 その後乙川河畔に向かった。大村知事に菅生川端石垣の様子を見て頂いた後、ヘリコプターに乗り中央総合公園へ飛んだ。

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 思えば昭和38年(1963年)には、本市の市制50周年を記念して再開発中の市街地の空き地、岡崎公園等で〝花と産業科学大博覧会(岡崎博)〟が開催された。その折この乙川河畔においては自衛隊の模擬演習が行われ、花火大会と同じ空間にヘリコプターが飛び、戦車が走り、完全武装の自衛官が演習を行った。それを殿橋や河川堤防上から多くの市民が見学していたことを覚えている。当時小学生であった私達ワンパク坊主は事後、川の中に落ちた薬莢(やっきょう)を拾い集めて友達に自慢したりしたものである(地上の薬莢は今も昔も自衛隊員が回収している)。

岡崎中央総合公園(メイン会場)
 知事と共に搭乗したヘリコプターは市の中心部を旋回しながら無事、メイン会場である中総の運動広場に到着する。草原と違い、土の着陸地は土ぼこりが尋常ではなく口も目も開けてはいられなかった。
 すぐに本部テントへ向かい、知事と共に国土交通省中部地方整備局の災害対策本部長(名古屋)とのテレビ会議を行い、会場の巡視に移った。
 中総では実働訓練、防災啓発、防災フォーラム、中学生代表によるHUG訓練等が行われた。訓練とはいえ、現実に即した対応訓練ばかりであり、ことに医師会による負傷者手当て、模擬手術の様子は生々しかった。歯科医師会による遺体の歯のデータ収集、遺体バッグに遺体を収め棺桶に納棺するまでの展示は、改めて大規模災害の恐ろしさを私達に知らしめていた。

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 防災啓発会場では、各業界、団体、ボランティアにおけるそれぞれの防災対策、事後対応、そして市民への啓発が目で見て分かるようにアピールされていた。中学生代表による災害時のケース・スタディ型の学習が行われていたが、これは大人にも必要なことであろうと思われた。
 その後、閉会式を迎えることとなった。この度、県市合同による総合防災訓練が事故も無く終了できたことに対し、関係者並びに御協力を頂いた皆様方に改めて感謝申し上げたい。

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―終了時の講評あいさつ―
『本日は多数の防災関係機関団体の参画を得て、盛大かつ実践的な総合防災訓練が実施できましたことに、深く感謝を申し上げます。
 この岡崎中央総合公園は県市の広域防災活動拠点として位置付けられていましたが、昨年3月には新たに国の広域物資輸送拠点に指定されました。南海トラフ巨大地震が予想された規模で発生した場合、その被害は死者32万3千人、建物の全壊・焼失238棟にのぼると想定されます。こうした大規模災害が発生した際には、中央総合公園は岡崎市域のみならず、西三河、県、東海地方等の広範な活動拠点となることになります。
 各機関が見事に連携されました本日の訓練は、必ずや愛知県の防災力の強化に繋がるものと確信しております。私達は災害の発生そのものを防ぐことはできませんが、日頃からの十分な備えによりまして被害を最小限に留めることができます。
 この防災訓練が減災の起点となりますことを祈念申し上げ、ご挨拶とさせて頂きます。本日は本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。』

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2016年9月13日 (火)

シン・ゴジラに見る危機管理

GODZILLA

 「秋に選挙を控えて何が映画だ!」とお叱りを受けそうだが、正月に次男と約束したことでもあり、8月16日の夜、最終のレイトショー(9:30PM、1000円です)を利用して、話題の『シン・ゴジラ』を観てきた。
 新作のゴジラは長らく続いていた、ゴジラが他の怪獣と戦うという子供向きのものではなく、第一作のゴジラの内容を現代に焼き直したような、文明批判を含んだものでもあった。

 はじまりは、得体の知れない怪現象の原因となる物体として描かれており、生物というよりその存在の無機質性(ロボット的)なところが目についた。幼体のゴジラは目がぬいぐるみの目のようであり、コッケイであった。東京湾で続発する原因不明の事故、海底トンネルの浸水、船の沈没などに対する政府の危機管理対策からストーリーは始まる。
 今回の映画の特徴はリアリズムに基礎を置いた点にある。現実の日本の行政機構と法体系の中で、何ができて何ができないかという問題が次々にあぶり出される。国防・防災の要諦は「想定外の現実に対して、いかに迅速、かつ適確に対応できるか」ということに尽きると思う。想定されていることには準備ができ、対応もできる。防災、防衛問題のシミュレーションとして参考になった。
 2001年の9・11の折、ブッシュ大統領は小学校の視察中であった。大統領は教室でハイジャック機のWTC(世界貿易センター)ビル突入の報を受けるが、茫然自失となり20分近く思考停止状態の様に見えた(マイケル・ムーア監督の『華氏911』で映像が確認できる)。他人のことを批判するのは簡単であるが、何か予想外のことが起きた時の咄嗟の判断、行動は訓練していない限り容易なことではない。

 映画の中では、動く原子力発電所とも言えるゴジラの活動に対して為すすべが無い。実際に自衛隊に配備され、装備されている兵器・武器によって対処するのであるが、無力であることが実証される。判断の誤りから、初期の段階において主要閣僚の乗ったヘリコプターが墜落してしまい、指揮系統の混乱を招くこととなる。今年の8月、防衛大臣に女性が就任したが、映画も現実と同じく女性であることも面白い。
 優柔不断な臨時内閣に対し、米露中などの大国から、ゴジラ問題を日本国内にとどめるために核兵器を使用するよう圧力がかかる。東京に核攻撃を行うに当たり、「米国はたとえ場所がニューヨークやワシントンであっても同じ判断をするだろう」という台詞はいかにもアメリカらしいと思った。危機管理能力を問われる臨時総理(演じるのは、今年岡崎市の市民栄誉賞を受賞された平泉成さん)の迷い、事後処理と外国からの復興支援までを考える為政者の思惑など、様々な現実的政治の要素をちりばめながら物語は進んでゆく。
 科学者の分析により、ゴジラは深海に不法投棄された核廃棄物に汚染されたものを吸収して、進化したモノであるらしいことが分かってくる。より巨大化し破壊活動を続けるゴジラに対し、最新兵器の数々も歯が立たない。まるで温度の上がった海水の影響と他の低気圧を吸収することにより巨大化する昨今の台風やハリケーンのようでもある。
 最後になってゴジラ対策の秘策を知る科学者が出現するのが映画らしいところと言える。途中までの不作為とは対照的に、終盤のゴジラ対策だけがスピーディーに進んでゆくのも不思議なことであるが、制限時間のある映画ではやむを得ないことだろう。

 防災を担う者はぜひ一見しておくべき映画であると思ったので、部長会の後、防災担当部長に「ヒマな時に一度見るように」と言っておいたところ、さっそく課長と連れ立って観劇に出かけたそうである。そこまでは言っていなかったのに報告レポートが提出されたので、その一部を紹介したい。

シンゴジラを視聴しまして
防災担当部長

考察

① ゴジラを巨大な災害に比喩しての、事実(災害対策基本法第105条に基づく「災害緊急事態の布告」、これに伴う緊急対策本部の設置といった実際の対策)に即した脚本であると感じた。放射能は原発災害、破壊された都市は首都直下型地震を彷彿とさせるものがあった。住民の避難誘導シーンでの「地震時の避難場所では無理だ」という警察官の言葉が印象的であった。

② 初動期における情報収集能力の重要性、想定外の事態に対する対処、また応急時における決断力、臨機応変に対応する能力や人物評価能力の重要性を改めて考えさせられた。

③ シンゴジラの「シン」は「神」、神の雷(いかずち)を表し、現代社会への戒めを象徴しているのではないかと感じた。

 念のため、映画は私費で観に行っている。改めて本市職員のまじめさと優秀さを知ったものである。

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