
ただいま岡崎市議会9月定例会が開催されています。
初日(8月29日)に述べた所信の一端ならびに議案の大要について、御報告申し上げます。
平成30年7月豪雨、災害時受援計画の策定
6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨に見舞われた平成30年7月豪雨では、河川の氾濫、浸水害、土砂災害等により甚大な被害が発生いたしました。
犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されました皆様には心よりお見舞い申し上げ、加えて、被災地の1日も早い復旧・復興を願うものであります。
本市では、いち早く、緊急消防援助隊の愛知県の派遣部隊として、昨年の九州北部豪雨に続き、レッドサラマンダーが岡山県に出動し、安否確認や避難困難者の救助などの災害活動を行いました。中核市 災害時 相互応援協定による支援として、初動期に人的支援と緊急物資の提供を始め、避難所運営支援として現在も職員の派遣を行っております。

また、総務省や厚生労働省、愛知県市長会から要請を受けましたので、被災した家屋の被害認定調査、愛知県と中核市等で編成する保健チームのメンバーとして保健師等が被災者の健康相談・健康チェック、避難所の衛生対策を行う職員を派遣しました。さらに、今年から本格的な運用が開始された災害時 健康危機管理支援チーム「DHEAT(ディーヒート)」の愛知県初の派遣メンバーとして専門的な研修を受けた職員の派遣も行いました。
今年度、本市は物資に関する災害時受援計画の策定を予定しております。この計画は災害時において人的・物的資源などの支援・提供を受け、活用することを目的とし、円滑に他者の応援を受け、又は他者を応援することができるよう配慮するものであります。災害時に活用できるよう実効性の高い計画を策定してまいります。
浸水対策について
また、9月2日には地域総合 防災訓練の実施を予定しております。市民の皆さまには積極的にご参加いただき、防災意識の高揚並びに、災害対応力が向上することを期待しております。
本市の浸水対策でありますが、甚大な浸水被害が発生した「平成20年8月末豪雨」に関しては、伊賀川など5河川の床上浸水対策 特別緊急事業を平成27年度までに完了し、各河川流域の安全度は大きく向上しているところです。これら河川が整備されたことにより、低地での市街地の浸水を早急に排水するための雨水ポンプの建設を進めてまいりました。
旧福岡郵便局周辺については、平成25年度より福岡雨水ポンプ場の建設に着手し、6月に完成、7月より供用を開始しております。
また、六名・江口地区については、5年後の供用開始に向け、六名雨水ポンプ場の建設を進めているところであり、ポンプ場の着実な整備により、浸水被害を大きく軽減できるものと考えております。
さらに、ハード対策に加えて、避難体制の強化や水害リスクの回避などのソフト対策を組み合わせるなど、総合的な浸水対策にも取り組んでいるところでありまして、近年頻発する豪雨に対して、被害が軽減できるよう、今後も努めてまいります。
危機管理体制の徹底
6月18日には、大阪府北部を震源とした地震が発生し、ブロック塀の倒壊により女子児童が死亡する痛ましい事故が発生しました。
この事故を鑑み、小中学校を始め公共施設のブロック塀等の緊急点検を行いました。危険性が確認された施設につきましては、早急に撤去改修を実施するため、補正予算の専決処分を行い、現在工事を進めております。
民間所有のブロック塀につきましては、優先度の高い通学路沿いのブロック塀について、緊急の安全点検を実施するとともに、必要に応じて所有者に注意喚起などを行いました。今年度よりブロック塀等 撤去費補助制度を新設しておりますので、撤去や改修の際にご活用いただけたらと思います。
7月18日には、重油2,000リットルが乙川に流出する事故が発生しました。
下流にある男川浄水場の水源まで重油が到達したことから、乙川からの取水を停止する決断をいたしました。市内の半数にあたる約81,000世帯に水道水を供給できなくなる恐れがあったため、直ちに「危機管理警戒体制」を立ち上げるとともに、上下水道局においても対策本部を設置しました。オイルフェンスや吸着マットで水質の回復を図る措置や水質の監視強化、高度な浄水処理対策の実施など早期の取水再開に取り組むとともに、不足する水道水の確保や断水に備えた準備を進めていたところ、幸いにも断水という事態を回避することができました。その背景には、市民や企業の方々による節水によって配水量が抑制されたこと、土木災害安全協力会、管工事業協同組合や西三河水道事業連絡協議会の近隣市などの関係機関による連携した支援をいただいたことなど、地域一体となった対処があったことをご報告いたします。
今後も、市民の生命財産を守るため、危機管理体制の徹底を図ってまいります。
中嶋一貴選手、愛三大三河高校
さて、この夏には市民の皆さまが「わが街の誇り」と思っていただけるようなニュースがいくつかありました。
6月に開催されたルマン24時間耐久レースでは、本市出身の中嶋一貴選手が優勝を飾られました。世界三大カーレースの一つと称されるこのレースでの輝かしい成績に対し、市民栄誉賞を贈りました。父親の中嶋悟氏には第一号の市民栄誉賞を贈っており、親子二代続けての受賞は初めてのことになります。


また、第100回の記念大会となる夏の甲子園には、東愛知大会を制した愛知産業大学三河高等学校が出場しました。三河高校が夏の甲子園に出場するのは22年ぶり2度目であります。善戦空しく、初戦突破はなりませんでしたが、猛暑の中、はつらつとプレーする選手の姿は、市民に誇りと元気を与えてくれました。
これ以外にも多くのスポーツで子ども達が頑張って好成績を残してくれていることをうれしく思っております。このような世界的・全国的レベルでのご活躍により岡崎市の名が、多くの方に
知っていただけたのではないかと考えております。
内藤ルネ氏、全国ふるさと甲子園
そして、今年は観光ポスターをきっかけとしまして、民間事業者の皆さんと一緒になり岡崎市出身のマルチクリエイターであります、内藤ルネ氏のイラストを使ったプロモーションを進めています。

1950年代から60年代にかけ、少女雑誌の表紙や挿絵で人気を博し、本市の観光ポスターになった「ルネガール」や「ルネパンダ」を生み出したかたであり、日本のポップカルチャーを開拓、確立させたことから「ルーツ・オブ・カワイイ」と呼ばれております。
7月末から行われた岡崎城下 家康公夏まつりにおいても各会場でイラストが飾られたほか、南公園や道の駅藤川宿といった市の施設をはじめ、イオンモール岡崎やNEOPASA岡崎などの民間施設など、様々な場所で「カワイイに出会えるまち、オカザキ」として展開しています。今後も、シティプロモーションのポスター等への起用のほか、様々な場所で活用してまいります。
当時を知る年代のかたには懐かしい、また若い世代のかたには新しい岡崎の魅力として感じていただけるのではないかと思っております。

さらに、8月25日に観光庁、経済産業省など8つの省庁が後援し、東京の秋葉原で開催された「第4回全国ふるさと甲子園」では、全国から集まった55の自治体の中から本市が「行きたいまちNo.1」の座に選ばれました。
行きたいまちNo.1の名に恥じぬよう、「観光産業都市・岡崎」の実現に向けて、観光客に満足いただけるソフト・ハード両面の充実を図っていきたいと考えています。
平成29年度決算
それでは、本議会に提案をいたしております議案について説明をさせていただきます。
本定例会には、平成29年度の一般会計、特別会計及び企業会計の決算認定議案を、監査委員の意見を付けて提出しておりますので、まず、その概要をご説明させていただきます。
一般会計の決算の概要であります。
一般会計の決算規模は、歳入は約1,270億円、歳出は約1,213億円と、歳入・歳出ともに前年度を上回り、どちらも過去最高額となりました。純剰余金につきましては、約47億円と、前年度と比べ、約8億円の増加となっております。この純剰余金のうち、35億円は、今後の財政需要に備え財政調整基金へ積み立てております。
歳入では、緩やかな景気回復基調が続いていることにより、市民税、固定資産税などの市税が前年度と比べ、約15億円の増収と過去最高の決算額となっております。
歳出では、本年2月に改築オープンしました“こもれびかん”の愛称で親しまれている額田センターの整備、民間による救急医療 拠点施設整備を支援するため、病院用地の購入費などが増加となっております。
平成29年度は、これからの100年の礎を築くための重要な年度として、今後も持続可能なまちを創っていくため、未来を見据えた中長期的な視点に立ち施策を展開してきました。
発達に心配のある子が早期に必要な相談・医療・療育を受けることができるこども発達センター、優れた景観と魅力的な水辺空間を活かした都市空間を創造していく乙川リバーフロント地区整備、広域的な災害対応を行うため、幸田町と共同で整備した「岡崎幸田 消防指令センター」など福祉や医療、防災や教育といった基本施策はしっかりと取り組みながら、投資的な事業もバランスよく実施できていると思っております。
次に特別会計であります。
12会計の総計では、歳入は約661億円、歳出は約652億円、純剰余金は約9億円で、前年度と比べ約3%減少となっております。
最後に企業会計であります。
病院事業会計は、入院患者数、外来患者数はともに減少しており、病床利用率は80.1%となりました。薬品費や委託料などの増加などにより、約4億7,000万円の純損失となりました。
水道事業会計は、給水戸数、給水人口はともに増加し、普及率は99%でありました。旧男川浄水場の稼働停止に伴う資産減耗費が増加したものの、営業収益の増加などにより約6億1,000万円の純利益となりました。
下水道事業会計は、接続戸数、接続人口はともに増加し、普及率は88.4%となりました。企業債の支払利息及び特別損失の減少などにより、約5億5,000万円の純利益となりました。
以上が平成29年度決算の概要でありますが、本市の財政状況は引き続き健全な状況を維持していると自負しております。今後も市民の暮らしを守るための施策を最優先に取り組む一方で、サービスの質と量の最適化や稼ぐまちづくりによる新たな財源確保を図るなどの取り組みを推進していきたいと考えております。
条例議案など
次に、条例議案であります。
廃止条例といたしましては、設置目的を終えたため施設を廃止する「岡崎市中山間地域 農村活性化 施設条例」の1件であります。
一部改正条例といたしましては、豊富学区市民ホームを移転する「岡崎市学区集会施設条例」、愛知県がんセンター愛知病院の経営移管に伴う関係条例の整備を行う「岡崎市病院事業の設置等に関する条例」など7件、合わせて8件を提案させていただいております。
その他議案といたしましては、豊富学区市民ホームの移転、中山間地域農村活性化施設の廃止に伴い、建物等を集会施設として、地域の自主的な管理に委ねるための「財産の譲与」、岡崎中央総合公園 体育館の天井の改修、市営住宅平地荘を新築するための「工事請負契約議案」など9件を提案させていただいております。
補正予算議案
次に、補正予算議案でありますが、一般会計の補正は 4億8,870万6千円の増額、特別会計は 8億2,979万円の増額、企業会計は1,249万9千円の増額補正をお願いしております。
総務費では、地域防犯カメラの設置補助申請が当初の見込みを上回ったことによる補助金の増額、不足する市民会館駐車場に対応するための土地購入費の計上、民生費では、応募が当初の見込みを下回ったことなどによる老人福祉施設整備事業費補助金等の減額、額の確定による後期高齢者医療 療養給付費負担金の増額、給与単価の増などにより当初の見込みを上回ったことによる私立保育園運営費補助金の増額、衛生費では、ごみ処理施設で使用するコークスの単価が当初の見込みを上回ったことによる消耗品費の増額、土木費では、4月に山綱町で発生した法面崩落に対応するための道路維持修繕工事請負費の増額、県が行う主要地方道 岡崎碧南線の交差点改良工事にあわせて市道針崎ポンプ場線の整備を行うための測量設計委託料の計上、県事業である鹿乗川に架かる牧内橋(まきうちばし)整備の工事時期が早まったための橋りょう改築工事負担金の増額、大門駅周辺整備に必要な用地を購入するための土地購入費の計上、市営住宅平地荘新築工事において、年割額を変更したことによる工事請負費の減額、教育費では、小学校及び中学校にPFI手法によりエアコンを設置するにあたり、事業者選定をするための契約等支援委託料の計上などをお願いしております。

次に、特別会計であります。
3会計ありますが、いずれの会計も、主に前年度の決算が確定したことに伴い、補正を行うものであります。国民健康保険事業特別会計は、療養給付費等の精算に伴う国庫負担金返還金の計上、後期高齢者医療特別会計は、過年度分の精算に伴う広域連合への保険料等負担金の計上、介護保険特別会計は、決算剰余金の介護給付費準備基金への積み立てや介護給付費の精算に伴う国庫負担金返還金の計上をお願いしております。
次に、企業会計でありますが、病院事業会計では、愛知病院との統合準備のため、病室の名称変更を行う業務運営管理委託料及び結核患者用 病床基本計画作成委託料の計上をお願いしております。
以上が、今議会に提案をいたしました議案の大要であります。
小中学校へのエアコン設置
最後になりましたが、小中学校へのエアコン設置についてであります。
これまでも実現に向けて準備をしていた小中学校のエアコン設置について、先日の記者会見でもお話したとおり、平成31年の夏までにすべての小学校へ、平成31年中にすべての中学校に設置することとしました。
隣接市の小学校で児童が熱中症で亡くなるという痛ましい事故が起こるなど、昨今の猛暑に対し、子どもたちへの暑さ対策が社会問題となっています。これまでの小中学校の暑さ対策としては、平成22年度の教育委員会の方針により、23、24年度の2か年で、すべての普通教室の天井や壁に扇風機を設置し対応してきました。
私としては市長就任当初から扇風機だけで十分なのか心配していたのですが、当時の教育委員会の決定でもあり、また、PTA会費で設置された扇風機もあるため、このご寄附の意思を尊重し、扇風機で対応してまいりました。しかし、エアコン設置については常に気にかけており、教育委員会に対しても一般家庭用の大型エアコンの活用など、経済的な方法や導入手法を研究するよう指示してきたところであります。
今回の補正予算では、少しでも早く、そして確実にエアコン設置を行うためPFI事業にて進めるための事業費を計上しております。当初は従来通りの発注形式での設計及び工事を行う予定でしたが、近隣自治体など、今後一斉に設置を目指すとみられ、施工者や機器の確保などの問題が生じることが予想されます。PFI事業により施工者と早く契約することで、これらの課題を解決し、少しでも早く使えるようにしたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願いします。
また、国においても学校へのエアコン設置について支援等の検討の動きがありますので、国の動向を注視し、補助金等を積極的に活用するとともに経費縮減に努めていきたいと考えております。
以上、御説明を申し上げますとともに、提出をいたしております諸議案につきまして、よろしくご審議の上、ご議決を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終えさせていただきます。ありがとうございました。
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