ヒトラーの大衆扇動術について
これは昨年の選挙中、私が書いたブログ原稿である。発表せずに選挙を終えてしまったものであるが、先日、書類を整理していて発見したので今回一年遅れで発表することにします。
昨日、夕食をとりながらテレビのコマーシャルを観て、フト思い出したことがある。
テレビ番組の画面の中に、一定間隔で一瞬だけ単純なメッセージ(商品名や政治的スローガン)を入れて繰り返し放送すると、人間は無意識のうちにそれを記憶するようになるという。
例えば、番組の中でコーラの映像を視聴者が気づかないほどの間隔でしのばせて流すと、なぜかしら番組中や番組の終わった頃にコーラが飲みたくなっているという。
このように人の意思や意識を超越して心をコントロールできるため、ナチス・ドイツや共産主義者が大衆コントロールの手法として研究していたという。
これをサブリミナル効果というが、確か、現在テレビの放送でこの手法を使うことは法的に禁止されているはずである。
しかし、昨今、選挙においてこの手法が用いられている。1年ほど前から、町中に詳細不明のスローガンだけのポスターが所かまわず貼り巡らされている。地主や家屋の持ち主の許可をとらずに貼られているケースもあるという。(この場合、勝手にはがしても罪にはならない)
明確な財政的根拠も政策説明もないが、人目に付き易い所に、これでもかとばかりに単純なスローガンやメッセージが書きなぐられている。
それを見た人の目と心には言葉とイメージが残る、まさに大衆社会におけるマーケティング戦略の狡知にたけた活用といえる。
こうした手法をバカにする方もみえるが、人間を意志ある人と見ずに単純に刺激に反応する動物と捉え、ポスターによるサブリミナル効果を企てているとしたら、これはなかなかの悪知恵である。
ボクシングにおいても、自分のガードを固め、相手のスキをみて腹部に集中的なボディーブローのパンチを打ち続ける戦法があると聞いたことがある。
これを繰り返し続けることで相手のスタミナを奪い、足を止めることができるという。
通常、選挙中の宣伝ポスターは違法となるが、政党の政策ビラとしてのモノは合法である。
法律の合法・非合法の境目を狙ったこうした手法で、ポスターによるサブリミナル効果をねらったようである。
個々の人間の冷静な思考を越えて、何の根拠もなく、ただ目と耳に心地よいメッセージをすりこんでコントロールしようとする。こうした手法が現代の選挙にどの程度の効果を発揮するものか私も注目している。
| 固定リンク
コメント