10匹のネコ達と暮らして
先日、愛知県と県内市長との意見交換の場でもある「県市懇談会」の席で、半田市と豊川市から「野良猫対策」への要望が出された。これは、無責任な飼い主のせいで全国的に増え続けている野良猫について、環境省と愛知県が「地域猫活動」を推奨していることに対するものである。
両市は地域猫活動を進めるに当たって、県による〝不妊・去勢手術の無料実施〟と活動資金の援助を求めたが、結果的に民業(獣医)の圧迫になることと、膨大な経費がかかることから県の賛同は得られなかった。
本市においても「あにも」や各獣医さんのところに、飼い主のいないかわいそうな犬猫がいる。心ある方はぜひ助けてやって下さい。
さて、オス猫だと思っていたチャッピーが4匹の子猫を産んでから1年近くになる。もう子供達は母猫と同じか親よりも大きくなっているものもいる。
健気なチャッピーは、大きくなっている子供達に、ついこの間まで律儀に授乳していた。そのせいで丸々した子猫達に比べてチャッピーは今もスリムな体型のままである。
本来、犬派であった私が10匹のネコを飼うことになったのは誰のせいでもなく、私のウッカリと仏心のせいであり、誰を恨むものでもない。しかし、そのせいで毎朝4時半にトイレに起きる度にネコのトイレそうじと朝のエサやりをすることが私の日課となった。
こちらが名前を呼んでも気が向かなければ無視をする、自分勝手な連中ではあるが、毎朝目を覚ました時に、私のベッドの上や周りに数匹のネコ達がいる。寝る場所や顔ぶれもその時々でマチマチであり、理由は定かではない。
元々アメリカのホームドラマのように、犬や猫達と共生する生活をしたいと思っていたため、私自身は満足している。この点については私の気まぐれを許してくれている家族には感謝している。
そもそもは2年前に家を建て直した時に、居間にキャットウォークとキャットタワーを造ったせいで、ネコの多頭飼いをすることになったのである。毎日それぞれ好き勝手な場所でお腹を上にして、無警戒でノン気な顔をして寝ているネコ達の様子を見ていると小さな幸せを感じる。
しかし何せ10匹である。ともかくよく食べ、よく出す。毎日世話をしていて感じることであるが、やはり10匹は多かった。家の中にはネコの数だけ10個のトイレを3箇所に分けておいてあるが、それぞれ気の向いた所で用を足しており、犬のような規則性はない。私は日に2~3回はネコのトイレの掃除をしている。
私がすぐに片付けてしまうせいか、排便しても砂かけをしない横着者もいる。ネコはトイレさえキレイにしておけばちゃんとトイレで用を足す生き物であるが、人間が手抜きをすると外で出すことがあり、トイレの回りは一応新聞紙を敷きつめてある。
1年前の失敗で懲りているため、うちではネコの不妊・去勢手術は全て済ませているが、複数のオス猫がいるため(5匹)、彼らのマーキング合戦は続いている。
犬と違い、叱ったところで効果はない。人がいない所でマーキングをするため、マーキング・スポットには段ボール箱を置いてその中にL字型に新聞紙を立てかけて、時折とり替えている。
これまでは新築祝いのプレゼントで頂いた大型の爪とぎ器のおかげで、家具や壁面の爪とぎ被害はなかったのであるが、最近階段の壁面で爪とぎをする不埒者(ふらちもの)が現れた。まことにネコはままならぬ動物である。こちらも段ボールやパネル板を両面テープで壁面に貼りつけ対処している。
人間と同じで、ネコも多頭飼いをしているといくつかの派閥ができる。
中には、そのいずれにも属さないネコも出てくるため人間の気遣いが必要となる。グループから外れたネコは、エサを食べる時にも仲間はずれになることがある。また、「お姫様ネコ」という面倒くさいネコもいる。
「あんなガサツな連中と一緒にごはんは食べられません」とでも言うにように、一匹だけ離れたところですまして座っている。彼女のために別に小分けしたエサを持って行くことになる。人間のお姫様なら放っておいても自分で食べるが、動物の場合はそうもいかず手がかかるのである。
同じネコ・カンやキャット・ビスケットが続くと、食べが悪くなるため、ネコ・カンはローテーションを考え、メーカーの異なるものを与えたり、ビスケットも数種類のものを混ぜて与えている。
先住ネコが強い権限を持っているものと思っていたが、必ずしもそうではないことに最近気がついた。やはり体が大きく力のあるネコがエラそうな態度をとっている。もう一つ、子供を4匹産んだ小柄なチャッピーであるが、10分の5の数を背景にエサ場を占拠していることが多い。父親はグループに属していないようであり、ネコもライオンのように母系集団(プライド)をつくるのかもしれない。この話をよそでしたところ、「まるで家族のLINEから外されたお父さんみたいネ」というコメントをもらった。
私がその場にいる時は先輩のネコ達には少し離れた所で、別の皿に給仕する配慮をしている。結局、ネコの世界も「数は力、力は正義」なのだ。
のん気な生活をしているように見えるかもしれないが、10匹のネコの世話は結構大変である。
エサやりとトイレの掃除に加え、長毛種のネコに対してはブラッシングが欠かせず、時には濡れタオルで全身をふいてやることもある。そうした機会には併せて体調の変化もチェックしている。ネコ同士のケンカで爪がささっているのを発見することもあるし、体にシコリや腫瘍ができていないかもみている。高齢化した動物は人と同じような老化現象が出てくるため十分な心遣いが必要となる。
特に高齢ネコの場合、腎臓障害が出ることや歯槽膿漏になることが多いので、食べ物を変えてやる必要があるし、定期的に獣医さんに診てもらった方がよい。動物は言葉で訴えることはできないし、ネコはじっとして動かなくなったらどこか悪いと考えた方がよい。犬猫その他の動物、いずれにせよ縁あって家族の一員となったのである。大切にしてやってほしいものだ。
現在、朝・夕、各1時間近くネコの世話に時間をとられてしまうため、人から「趣味は何か?」と問われたら「ネコの世話」と答えている。
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