第47回 生徒市議会
多くの夏の行事と恒例の東京出張などが重なり、少々遅れましたが、昭和47年(1972年)に始まって以来47回を数える、令和を迎えて初めての生徒市議会(8月8日開催)について御報告申し上げます。
毎年、夏の一番暑い時期に熱心に提案、質疑をされる中学生代表の真摯な姿は岡崎の夏の風物詩の一つとなったような気もします。こうした催しが毎年継続的に行われていることも岡崎の伝統であり、教育の成果であると思っております。
〝働き方改革〟が強く叫ばれる昨今、授業、学校行事に加えて、他市ではあまり行われていない中学生による議会の運営準備にお力添えを頂いている先生方には特に感謝を申し上げます。
以下、当日私がお話した内容、各校別の提言、質問にお答えしたことを列記させて頂きます。
―当日の挨拶―
皆さん、こんにちは。市長の内田康宏であります。
市内20の中学校を代表する60名の皆さんが市政に関心を寄せ、一生懸命考え、提案してくださり
第47回の生徒市議会がこのように開催できましたことを大変嬉しく思います。
本日の各学校からの提案は、中学生らしい視点で市政を見つめ、熱意を感じさせるものばかりでした。
「ふるさと岡崎」が大好きで、さらに住みやすい街にしたい、安心できる街にしたいと願い、質問・提案する皆さんの真剣な姿をとおして、「夢ある新しい岡崎」を担う次世代のパワーを感じることができ、大変嬉しく思いました。
―各学校の提案と私の講評―
①「岡崎アピール」についての提案
1.葵中・・・『岡崎市への愛着を図る「岡崎検定」の実施。「岡崎検定」を市の職員への採用法の一つにする』
(答)すでに家康公検定を続けて行っており、本市の歴史アピールに十二分の効果があったと考えております。さらに岡崎市の経済、社会、文化、地理なども含めたものができれば、面白いと思います。良いものができればぜひ使って見たいと思います。
2.福岡中・・・『それぞれの学区の魅力をマンホールの蓋にデザインする。観光客に楽しんでもらうために、乙川リバーフロントのQURUWA内に設置する』
(答)すでに岡崎城と花火、桜などを絵柄にとり入れたマンホールの蓋がつくられ使われております。さらに今後、岡崎出身のマルチ・クリエーター、内藤ルネ氏の絵をモチーフにした、新たなマンホール蓋を作成する予定でおります。また同じデザインのカードを作って様々なイベントでマンホール・カードとして使用しております。
3.六ツ美中・・・『地域のコミュニティを広げるため「パートナー市民制度」を導入する』
(答)すでに岡崎出身者、岡崎が好きな人を対象とした岡崎サポーター制度を旧岡崎活性化本部(現・岡崎市観光協会)によって行っております。テーマをしぼった「パートナー市民制度」(悠紀斎田お田植えまつりなど)を六ツ美で行ったら面白いと思います。
②「環境・防災」についての提案
4.河合中・・・『「岡崎ホタル検定」の作成を考える「ホタルサミット」の実施』
(答)長年ホタルの保護、育成に尽力されていることに感謝します。「ホタル検定」や「サミット」の開催によって新たに活動に参加される方が増えることを期待します。
5.南中・・・『防災・減災を考えた、書き込み可能な「防災ファミリーマップ」を家族で作成する』
(答)防災で一番大切なことは、いざ災害という時に自分はどうするべきかを考えておくことです。ふだんから家族で話し合って「防災マップ」を自分たちで作るというのは素晴らしいアイデアです。
6.岩津中・・・『火の用心のシンボルとして、消防本部のマスコットキャラクターを制作し、防災意識を高める』
(答)すでに岡崎市にはゆるキャラと呼ばれるものが12コ以上あり、カレンダーが作られているほどです。しかし防災アピールのための良いキャラクターができれば、ありがたいと思います。
7.新香山中・・・『岡崎市一斉ライトダウンデーを設け、3分間完全消灯を行う』
(答)病院や警察・消防署など公的施設ではどうかと思いますが、一般家庭で行うのはセレモニーとして面白いと思います。しかし実態は、省エネ電化製品の普及により、電力会社は電気の消費が減って困っているのが実態です。
8.額田中・・・『隣接する他市と「広域防災協定」を結び、災害時に互いの避難所を共有できる体制づくりをすることで、いざというときの安心感を得ることができる』
(答)すでに西三河の9市1町では、様々な協力関係を持っていますし、県外の複数の自治体とも防災協定を結んでおります。今後さらにそうした協定を増やしたいと思います。
③「国際化」についての提案
9.甲山中・・・『籠田公園から天下の道にかけて、外国人による大文化展の会場にする。岡崎市のグローバル化と街の活性化の両立を目指す』
(答)籠田公園から、天下の道、桜城橋までのスペースは、様々な方々の多様な活用の場として使っていただく場所です。「国ごとの日」(日本の日、アメリカの日、イタリアの日など)をつくって、それぞれの国のPRをしてもらうといいかもしれませんネ。
10.城北中・・・『外国人との共生の第一歩として、中学生が外国人観光客にインタビューやアンケートを行い、その結果を広報する。』
(答)TV番組で同様のものがあり、時々見ております。中学生の視点で効果的なアプローチができたら良いと思います。
11.東海中・・・『世界に目を向けるため、いろいろな国の郷土料理を給食の献立にする』
(答)アメリカの大学などで「国ごとの日」(インド・ナイト、日本デーなど)を設定して、食堂でその国の料理を出すことがあります。しかし、全市の中学校で同時に同じことができるかどうかは分かりません。一度検討してみたいと思います。
④「健康・福祉」についての提案
12.美川中・・・『市民病院のキッズルームの充実』
(答)具体的に良いプランを考えて下さい。さらに充実させてゆきたいと考えます。
13.竜海中・・・『多くの人が関わる、安心・安全な「子ども食堂」』
(答)今の世の中で起こっている深刻な問題にも関わる重要なことがらです。十分参考にしたいと思います。
14.竜南中・・・『定期的に学区の施設を開放し、「遊ぶ会」を実施することで、世代を超えた交流を図り、学区の絆を深める』
(答)乙川河川敷で毎年、「昔の子供の遊び」を教えたり、「花火」の安全な遊び方や「ボート」のこぎ方の講習などを行ったりしています。うまく運営して行くためには良い指導者を見つけることが大切です。
15.北中・・・『オリンピック・パラリンピックを機に、小中学生のスポーツとの関わりをさらに深める』
(答)来年の東京オリンピックで、岡崎市は中国とモンゴルのホストタウンになっています。モンゴル・アーチェリーチームは岡崎をキャンプ地としてスポーツ交流も行なっています。今後、特別な賞を作って子供達の交流を行う予定です。
16.翔南中・・・『市内の病院に癒しの場を作る』
(答)病院は治療を行う所で、イベントは病院の都合を確かめながら行う必要があります。しかしやさしい気持ちは素晴らしいと思います。
⑤「未来の岡崎」についての提案
17.矢作中・・・『アースワークを矢作川で行うための砂地の復活と、自然を生かした新たなフィールドを創出する』
(答)矢作川の自然を活用しようという考えは素晴らしいと思います。矢作川は国の管理下にある一級河川ですが、岡崎市としてはフリーなスペースを使って、様々なスポーツができるようにしたいと考えています。今後、近隣の都市と共にサイクリングロードを整備してゆきます。
18.常磐中・・・『岡崎独自の地域通貨を導入する。市内でのメリットを多くすることで、市内を潤すシステムにすることができる』
(答)すでに町内会や商店会においてお祭りやイベントの時に期間限定で行ったことがあるようです。キャッシュレス時代とは逆のようですが、一度検討してみます。
19.矢作北中・・・『これからの時代の都市整備の在り方を、岡崎から発信する』
(答)各地方自治体では、それぞれ国や県の承認の下に都市計画というものが考えられており、具体的にマスタープランが策定され、そうした流れの中で施策が行われています。
自転車専用道路はできる所ではすでに設定しておりますが、ヨーロッパで行われているようなものにするためには道路整備が必要と思います。
20.六ツ美北中・・・『愛知環状鉄道を拡大し、訪れたい街として観光活性化につなげる』
(答)愛環鉄道を岡崎の未来のカギと見たことは素晴らしいと思います。現在、西三河の重要な都市課題の一つが朝夕の通勤渋滞対策であります。これは、東京、大阪に比べ、愛知の公共交通が未発達であることが主要な原因であります。
これを解決するためには、愛知環状鉄道を高度機能化する必要があります。すなわち複線化をして高速化(急行・特急を走らせる)することにより車の使用を減少させなくてはなりません。さらに将来的には中岡崎駅と名鉄岡崎公園駅を、名古屋の金山駅のように総合駅化して岡崎中央駅(セントラルステーション)にするべきと考えます。
将来、岡崎が50万都市となった時、この事案は、誰が市長になっても避けられない課題でありますので、若い皆さんには特にお願い申し上げます。
―統括―
20校それぞれが明日の岡崎を考えて、素晴らしい質問や提案をしていただきました。真剣な姿を通して、皆さんは次世代の頼もしい担い手であると、確信いたしました。
さて、私からは、最近の岡崎の様子をお知らせしたいと思います。
本日の提案にもいくつか出てきました「乙川リバーフロント計画」につきましては、現在、着々と整備が進んでおり、先月には籠田公園がついにリニューアルオープンしました。
さらに、昨年の生徒市議会で提案があり、中学生の皆さんに名称を選考していただいた、人道橋の「桜城橋(さくらのしろばし)」も、桜の開花時期となる、来年の3月22日の完成を目指し、整備を進めております。
加えて、東岡崎駅の北東街区でも「オト リバーサイドテラス」と名付けられた、9階建てのホテルを含む新たな商業施設が順次オープンしてまいります。来月9月8日のホテルのオープンを皮切りに、パンケーキのおいしいカフェをはじめ、イタリアンやアメリカ西海岸風のレストランのほか、ホットヨガやエステ、24時間営業のスポーツジムなどが続々と登場し、11月2日にはグランドオープンを迎えますので、楽しみにしていてください。
また、この11月2日には、東岡崎駅と直接つながる中央デッキがいよいよ完成します。その上には市民の皆様のご協力により1億円を超えるご寄附を得て、高さ9.5メートルという、日本一の高さと偉容を誇る若き日の徳川家康公の騎馬像がいよいよお披露目となります。駅のホームや名鉄電車の窓からも見え、間違いなく岡崎の新たなシンボルとなります。
これらのリバーフロント計画はただ形を作って終わりではなく、そこに出来上がった空間を活用して、いかに街の賑わいを作り出すかということが大切です。
その点で、甲山中の「外国人による大文化展」の提案や、福岡中の「学区の魅力をマンホールの蓋にし、QURUWA内に集める」といった提案は大いに参考にしたいと思います。
そして、北中の提案にもありましたように、来年は東京2020オリンピック・パラリンピックの年であります。既にご案内のとおり、岡崎市はオリンピックの聖火リレーのルートに選ばれました。場所は岡崎城周辺が選ばれており、岡崎城付近をスタートして、桜城橋をゴールとするような、岡崎市をPRするのに相応しいルートになるようですので、ご期待ください。
来年の夏には龍北総合運動場もリニューアルオープンしますので楽しみにしてください。
そのほかにもアウトレットモールの進出と区画整理が行われる東部地域において、民間による大型の市民プールやスポーツ施設を額田地区の山の活用計画と併せて考えております。
このように、これから数年のうちに、これまで多くの市民のご協力により全市的に手がけた事業が次々と実現を迎え、岡崎の景観や人の流れも大きく変わってまいりますのでぜひ楽しみにしていてください。
また、本市では昨年度から、西三河の各市に先駆けて小中学校のエアコンの設置を行ってまいりました。
小学生や中学生の皆さんにはもう暑い思いはさせない、という思いで進めてきましたが、夏を前に全小中学校にエアコンを設置できたことは素晴らしいことであり、これから快適な環境の中でのびのびと学習活動や学校生活を送っていただきたいと思っております。
このように様々な事業を展開していく究極の目的は、岡崎の子ども達が自らのふるさとに対し、これまで以上に大きな愛情と誇りを持てる、そんな「夢ある新しい岡崎」を築くためであります。
生徒市議会で、中学生の斬新な考えに触れたり、市民対話集会で高校生と明日の岡崎について語り合ったりすることで、次の世代を担う若い皆さんの思いや願いを一つでも実現できるよう、私も全力で取り組んでまいります。
今日のこの機会を一つの行事として終わらせるのではなく、皆さん自身で、自らのふるさと、岡崎のことを考え、世の中のあり方、政治や経済のことを考える契機として頂きたいと思っております。これまでも皆さんの先輩の中から議員や公務員となってガンバってみえる方もいます。外国との姉妹都市訪問をきっかけに外交官になって活躍してみえる方もいます。
最後になりましたが、本日の生徒市議会で夢と希望のある提案をしてくれた次世代を担う中学生の皆さん、そして企画・運営面で支えてくださった方々に心より感謝申し上げまして、私からの講評とさせていただきます。ありがとうございました。
第44回 生徒市議会 (2016.08.28)
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