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2019年9月25日 (水)

モンゴル訪問記 7.オリンピックとアーチェリー

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モンゴル・ナショナルオリンピック協会
 3日目の7月26日は、今回の訪問の目的が凝縮されたような一日となった。
 前日と同様、早朝に出発した我々は昨日と同じ悪路と渋滞を抜けて、ウランバートルにあるモンゴル・ナショナルオリンピック協会に到着した。
 ソ連邦の時代に建築されたことを物語るように、いかめしい造りの古い建物であった。玄関から中に入り、登る階段の一段、一段の側面にこれまでモンゴルが参加したオリンピック大会の名前と年号が書かれてあった。さしずめ日本ならば交通安全の標語でも書いてあるところである。

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 3階にある広い部屋に通された我々は、カメラ撮影用に用意された五輪のマークを背景にした応接イスに座らされた。間もなくモンゴル・ナショナルオリンピック協会のバダルウーガン副会長が入室され、今回の訪問のいきさつと目的を説明すると、先方からも歓迎の挨拶を受けた。副会長はかつてボクシングのオリンピック選手であったそうである。

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 この時、事前に知らされていなかったのであるが、「オリンピック競技の広報及び地位向上に貢献した」功績に対し、協会より名誉記章が贈られるととなり、私の胸に副会長自ら記章を付けて頂いた。いかにもかつての冷戦時代に東側陣営の軍人が好んだ金ピカでものものしいバッジ(タテヨコ7~8センチはある)であったが、せっかくのご好意でもあり、この日一日私はこのバッジを着用して行動することとなった。

アーチェリー青少年全国大会
 その後、開会時間が迫っていたこともあり、あわただしくアーチェリー青少年全国大会の行われている会場に向かった。都市公園の一角に造られたアーチェリー360会場は全国からの寄附金とボランティア奉仕によって造られた施設である。会場にいる選手からも「私も建設作業に来ました」という声を度々聞かされる。

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 会場に来てからうれしかったことの一つは、昨年、岡崎を訪問したアーチェリー・チームのメンバーが勢揃いして出迎えてくれたことである。これも昨年の岡崎市民のホスピタリティーのおかげであると思っている。
 会場は小学校のグラウンドほどの広さがあり、クラスごとに区分けされ、標的が設置され、20レーンほどの位置からそれぞれの選手が準備の練習を行っていた。

 ほどなく開会式となり、ツァガン会長から順次挨拶が始まった。ツァガン会長はこの席で「アーチェリー大会の優勝者に『岡崎杯』(オカザキカップ)を授与して、さらに岡崎市へ派遣して友好を深めたい」とも言われた。
 私は紹介されたら頭を下げればいいと思っていたところ、マイクが回ってきて挨拶をすることとなった。急な指名であったため、話すことをしっかり考えていたわけではないが、開会のお祝い、訪問のいきさつ、偉大な歴史を持つモンゴルの弓道の復活のためアーチェリー協会の進展に向けて岡崎市として協力してゆくことを伝えた。
 式典後すぐに、取材に来ていたモンゴルのテレビ局のインタヴューを受け、現地での注目振りに改めて驚かされた。

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 さらに1980年代のオリンピック代表であった現役員のお姉様方を紹介され、一緒に写真も撮ったのであるが、モンゴル人の名前は長く耳慣れしていないため顔と名前と役職がしっかりと結び着かなかった。主賓として訪問するといちいちメモがとれない点が辛いところであった。

恐竜博物館
 午後3時からのバトトルガ大統領との面会時間までの間に昼食を済ませ、恐竜博物館を訪れた。

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 近年の恐竜研究は飛躍的に進んでいる。恐竜と怪獣の区別もつかない方もみえるが、20年ほど前の映画『ジュラシック・パーク』の世界的大ヒット以来、全世界的に考古学や古生物学を志す優秀な研究者が増えているせいかもしれない。「たかが映画」と侮ることはできない。
 もう一つの要因は、研究者が増えたことにより、世界的に新たな発掘、発見が増えたことにもよると考えている。ことにモンゴルのゴビ砂漠からは大量に新たな化石が発見されているのである。
 鳥のように抱卵をし、子育てをしたと言われるマイアサウラの巣と卵の化石をはじめ、鳥と恐竜の関係性が推測される切っ掛けとなった羽毛恐竜の化石などが発掘された。近年では小型恐竜だけでなく、大型肉食恐竜の中にも羽毛があったと考えられる化石が発見されている。そうしたものによってこれまでの定説がいくつも覆(くつがえ)されている。

 そのため、モンゴルに行く機会があれば、ぜひ恐竜博物館を訪れたいと考えていたのである。かつてはウランバートルの自然科学博物館に恐竜コーナーが設けられていたのであるが、このたび旧レーニン記念館が改築され、恐竜博物館として独立した施設となったのである。(やはりレーニンより「恐竜」の方が今風ということであろうか?)
 そうした話を聞いていたため、食事時間を短縮して日程に組み込んだのであるが、結果は少々期待はずれであった。

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 メイン展示品のタルボサウルス(ティラノ系)の全身骨格の復元化石がホールの中心に置いてあったものの、これはアメリカから返還されたものである。その他の化石も体の一部分のものが多く、併設展示されているプラスチック樹脂製の再現恐竜の模型もデキは今イチのものであった。
 先月、上野の国立科学博物館の「恐竜博」に足を運んでみたが、こちらの方がよほど展示品の中身が濃く、資料やグッズ、サービスもゆき届いていた。展示化石の多くが近年モンゴルで発見されたものであったことも皮肉であった。
 しかし、これには理由がある。この分野の研究は外国の方が進んでおり、ことに化石のクリーニング技術や設備も整っている。その結果、発掘調査に来た外国人研究者が一度化石を本国へ持ち出してきれいにしたものを展示してから返却することになるため、こうしたことが起きているのである。
 モンゴル人自身で発掘、整備ができるようになれば、こうしたことも減ることになるだろう。 (つづく

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