
平成29年6月定例会(6月2日~23日)の初日に述べた「市長提案説明」をブログに掲載します。
市制100周年記念事業が完了
6月定例会の開催に当たりまして、所信の一端を申し上げますとともに、今議会に提案いたしました議案の大要につきましてご説明申し上げます。
はじめに、このたび三菱自動車岡崎硬式野球部が、第88回都市対抗野球大会への出場を決めましたことにお祝い申し上げます。都市対抗野球大会へは4年ぶり10回目の出場と伺いました。東海地区の第1代表でもあり、しかも節目の10回目の出場ということでもありますので、大いに盛り上がり、ぜひ良い成績を勝ち取っていただきたいと願っております。
さて、昨年4月から『新世紀岡崎 飛躍祭』と銘打って実施してまいりました市制施行100周年記念事業でありますが、「おかざき100年祭」を始め、約150もの事業を市民のみなさまと一緒に展開し、本年3月末に無事完了できましたことに、改めてお礼申し上げます。
最後のイベントとして「新世紀岡崎へのメッセージ封入セレモニー」を行い、100周年記念事業で作成いたしました成果物のほか、市民のみなさまから募集いたしました将来の岡崎やご自身へのメッセージを、岡崎市産の檜(ひのき)で作成したタイムカプセルに封入し、100周年のエンディングとして締めくくることができました。タイムカプセルは市制施行110周年に開封し展示する予定ですので、10年後を楽しみにしていただきたいと思います。
岡崎公園周辺さくら再生業務
100周年記念事業の一つに「岡崎さくら100年プロジェクト」がありました。一昨年より、新たな桜の名所づくりとして桜の植樹に取り組んでまいりました。
みなさまご存じのとおり、本市の岡崎公園周辺は「日本さくら名所100選」にも選定され親しまれております。今後も桜を活かしたまちづくりを進める中で、市民の郷土愛が一層育まれることを願い、市の花に「さくら」を加えました。

そこで本年度は「岡崎公園周辺さくら再生業務」に取り組みます。10年後も20年後も本市がさくらの名所であり続けるために、先人から受け継いだ既存のソメイヨシノの長寿命化を図る処置や管理方法を検討するほか、桜のある景観の保全・充実のための方策を検討してまいります。また、桜だけでなく、四季折々の乙川の自然景観の移り変わりを楽しんでいただける植栽の仕方について考えております。
市の花に「さくら」を加えて最初の開催となりました今年の桜まつり・家康行列には、朝までの雨を吹き飛ばし、晴天かつ満開の桜の中、NHK大河ドラマ『真田丸』でも本多忠勝公を演じられた、俳優で武道家の藤岡弘、さんに特別出演していただきました。


当日は、藤岡さんの姿を一目見ようと沿道は黒山の人だかりであり、特に模擬合戦が行われた乙川河川敷は今までにない数の観客で埋め尽くされておりました。一声発するだけで観衆から歓声とため息がもれ、「さすが千両役者とはこういうモノだ」と感じました。藤岡さんの出演により、あらためて家康公と徳川家康四天王を始めとする三河武士の故郷である岡崎を市内外のみなさまにアピールし、観光振興に十二分に寄与することができたと思います。そして、次の100年に向かって歩み出した本市にとりましてこれ以上ないスタートを切ることができたのではないかと考えております。
岡崎市こども発達センター「すくも」
次に4月1日から供用開始いたしました、こども発達センター・すくもについてです。「すくも」は、本市および幸田町在住の、発達に心配のあるお子さんに対し、発達に関する相談、医療および療育を総合的に提供する施設として欠町にオープンいたしました。

木材を建物の内外に多く使用し、内装を子どもが楽しめるデザインにしただけでなく、中央には吹き抜けの中庭を配すなど、温かみや親しみを感じさせる施設となっています。療育を提供する支援センターは4月6日、7日と入所式を行い、一日に80名ほどのお子さんが通っております。専門的な相談にのる相談センターおよび診療を行う医療センターは4月17日から本格稼働し、すでに多くの方にご利用をいただいています。相談センターでは受けた相談を医療や療育につなげるだけでなく保育所・幼稚園など関係機関と連携した支援も行っています。
「ことばが遅い」「落ち着きがない」など、ご両親がお子さんに対して「気になること」は様々であり、待ち望まれた専門的な施設ができましたことは大変意義のあることと感じております。
みんな元気にすくすくと育ってほしいという思いを込めて愛称を「すくも」と名付けました「こども発達センター」において、これからもその子に合った健やかな発達をサポートしてまいります。
認定こども園へ移行
子ども子育て関連についてもう一点申し上げます。
本市における保育園の入園者数は年々増加しており、今後も女性の就労拡大などに伴い、保育需要は増加する見込みであります。保育環境の整備を喫緊の課題ととらえ、対応策の一つとして、4月より梅園、広幡、矢作の公立幼稚園3園を幼保連携型認定こども園へ移行しました。

こども園は幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持った施設であり、保護者の就労状況にかかわらず入園することが可能となりました。そのため、保護者の就労状況が変わっても通い慣れた園を継続して利用でき、多様化する教育・保育ニーズに対応できるといったこども園ならではのメリットがあります。こうしたメリットを活かし、こども園では公立幼稚園としてこれまで培ってきたノウハウや特色を活かし、幼児教育や保育が提供できるよう取り組んでいるところであります。
駅南中央公園の取り組み
次に、これからの本市の担い手である子どもたちの声をまちづくりに反映し、地域の顔となるような特徴のある整備を行っていくJR岡崎駅南中央公園の取り組みについてであります。

平成32年4月に開院予定の「藤田保健衛生大学 岡崎医療センター」に隣接するJR岡崎駅南西の市有地2ヘクタールに整備する駅南中央公園につきましては、昨年度地域住民によるワークショップを開催し、小学生を含む幅広い世代の方々の意見を盛り込んだ基本計画が策定されました。意見の中には、小学校の総合学習で取り組んだ際の、子ども用の珍しい遊具や親子で昆虫観察のできる公園など、たくさんの意見があったと伺っております。今年度実施設計を行い、平成32年春の開設に向けて進めてまいります。なお園内には、学校法人藤田学園が監修する健康器具や、緊急輸送時のヘリポートを兼ねた多目的広場などを配し、健康と防災に配慮した公園とする予定であります。
東公園ゾウ舎の改修工事
東公園におきましては、人気者であるゾウの「ふじ子」が高齢になってきたことから、飼育環境の改善を目的としたゾウ舎の改修工事を行ってまいりました。約2年間にわたった工事もこの4月に完了し、ゴールデンウィークより一般公開しております。

「ふじ子」にとって快適な環境になっただけでなく、来園者が壁にある観察窓からエサを食べる「ふじ子」の様子をガラス越しに間近で観察ができるビューイングシェルターが新設され、来園者の人気スポットとなっておりますのでぜひ一度ご覧下さい。全国で唯一無料でゾウを見ることのできる動物園でありますので、新しくなったゾウ舎で日本一の長寿を達成してほしいと願っております。
また、東公園では今後も引き続き施設のさらなる拡充の計画を検討してまいります。まだ発表の段階ではありませんがご期待下さい。
議案説明
それでは本議会に提案をいたしております議案について説明をさせていただきます。
改正条例は以下の2件です。
・「市税条例」――地方税法の一部改正に伴い、関連規定を整備します
・「職員の退職手当に関する条例」――雇用保険法の一部改正に準じ、失業者の退職手当の給付内容を拡充します
廃止条例は以下の1件です。
・「農業委員会の部会に関する条例等」――農業委員会等に関する法律の一部改正に伴い、事務の内容別に設置されていた従来の農業委員会の部会に関係するため廃止します
その他物品取得等の議案は以下のものを含め計11件です。
・「工事請負契約議案」――東岡崎駅から乙川リバーフロント地区及び北東街区への移動を円滑にするための東岡崎駅ペデストリアンデッキ築造工事を行います
・「財産の無償貸付け及び減額貸付け議案」――東岡崎駅周辺地区の活性化を図るため、民間事業者のノウハウを活用し、にぎわいと憩いの空間を生み出す北東街区有効活用事業の用地を貸し付けます
・「物品取得議案」――消防用の車両、消防指令システム機器、小中学校用の机・椅子などを買い入れます
次に補正予算議案でありますが、一般会計で3,173万6千円の増額補正をお願いしております。内容は以下のとおりです。
・総務費――総務省の委託事業に採択されたことによる政策企画推進支援委託料の計上、寄附金をさくら基金に積み立てるための増額、イオンモール岡崎において期日前投票所を開設する協議が整ったことに伴うネットワーク回線整備委託料の計上
・民生費――国の単価改正に伴う私立保育園園舎建替等事業費補助金の増額、
・商工費及び土木費――寄附金をそれぞれ家康公観光振興基金、東岡崎駅周辺地区整備基金へ積み立てるための増額
・教育費――岩津城跡において法面(のりめん)の一部が崩落し安全対策の工事が必要となったことによる測量設計委託料の計上
これらの補正財源といたしまして、国庫支出金、繰越金などにより収支の均衡を図っております。
以上が、今議会に提案をいたしました議案の大要であります。
QURUWA(くるわ)について
昨年8月に開催いたしました乙川リバーフロント地区まちづくりデザイン会議におきまして、乙川河川敷から岡崎公園、りぶら、籠田公園など主要な公共空間を結んで一周する動線が岡崎城の総曲輪(そうくるわ)に重なること、東岡崎駅北東街区への動線を加えると、全体の形がアルファベットの「Q」の字に見えることから、ローマ字のKURUWAの頭文字「K」を「Q」に置き換え、この主要回遊動線を「QURUWA(くるわ)」と名付けております。

この「QURUWA」における事業進捗について申し上げます。
まず、乙川リバーフロント地区整備におきましては、殿橋下流の川中の整備が概ね完成し、雨天後の水はけが大幅に改善されています。冒頭申し上げました桜まつり家康行列の模擬合戦が前日の悪天候にもかかわらず予定どおり披露できました裏には、この整備の成果がありました。
また、(仮称)乙川人道橋につきましては、左岸の橋台に続き、新た2基の橋脚が完成しております。今年度は残りの右岸の橋台、橋脚の工事を進めてまいります。
さらに、人道橋から籠田公園にかけての(仮称)岡崎セントラルアベニューにつきましては、公共が整備した空間を民間が活用し、賑わいの創出につなげられるような整備を目指しております。市民ワークショップや地元説明会での意見を取り入れ、新しい本市のシンボルロードに位置づけられるような工夫を凝らした基本設計をまとめ上げ、4月に公表いたしました。


岡崎城跡整備業務
岡崎城跡整備業務につきましては、「岡崎市歴史的風致維持向上計画」の認定を受け、3月に策定いたしました「岡崎城跡整備基本計画」の改訂版に基づき、まずは城郭全体の把握を目的とする発掘や資料の調査を積極的に進めてまいります。発掘調査の際には、現場の周囲から発掘状況を見られるよう常時公開し、現地説明会も開催いたします。

8月には建物跡や石垣の裏側などを確認する本丸月見櫓(つきみやぐら)跡の発掘を、11月には菅生曲輪枡形(すごうぐるわますがた)跡の発掘を行う予定です。今後は、史跡指定範囲の岡崎公園のみならず、近世の大城郭であった城下町を含めたQURUWAエリアと重なる総構え全体についても一体として整備を行ってまいります。また、古地図との照合により判明してきた過去の武家屋敷の様子(徳川四天王の屋敷跡)などの効果的表示も考えてゆきたいと思います。
かわまちづくり/リノベーションまちづくり/歴史まちづくり
これらの整備と併せて「かわまちづくり」「リノベーションまちづくり」「歴史まちづくり」に取り組んでおります。
リノベーションまちづくりとは、江戸時代における長屋の大家である「家守」のように、家賃の徴収だけでなく、店子(たなこ)の生活の面倒や仕事の世話など、地域のマネージャーとしての役割を担う「現代版家守」の手法を用いた遊休不動産や公共不動産を活用する新しいまちづくりの手法であります。
3つのまちづくりの取り組みにつきましては、QURUWAを主軸とした公民が連携するまちづくり戦略の構築のために社会実験を実施してまいります。お分かりだと思いますが、乙川がもたらす広大なスケールの豊かな水辺空間は本市の象徴であり、市民の貴重な財産であります。また、本市を代表する史跡である岡崎城跡について史実に基づいた本物志向の整備を進めることで、歴史の重層感が感じられるようになり歴史文化資産としての価値も高まります。これからも引き続き、福祉や医療、防災や教育といった基本施策にはしっかりと取り組みながら、このような本市の独自資産や公共空間、中心市街地の遊休不動産の活用なども含め、公民連携事業による新たなまちづくりを積極的に推進してまいります。
様々に魅力あるまちづくりを行うことにより、私がいつも申しておりますとおり、究極の目標である、岡崎の子ども達が自らのふるさとに対し、これまで以上に大きな愛情と誇りを持てる「夢ある新しい岡崎」を築いてまいりたいと思いますので、さらなるご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、提出をいたしております諸議案につきまして、よろしくご審議の上ご議決を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終えさせていただきます。
ありがとうございました。

平成29年6月議会 その2(一般質問答弁) (2017.06.24)
平成29年6月議会 その3(一般質問答弁) (2017.06.27)
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