「リノベーションまちづくり・家守の会」始まる
昨年度、「家守構想検討委員会」が発足し、都市計画並びにまちづくり事業の専門家で(株)アフタヌーンソサエティ代表である清水義次氏が委員長となられた。清水氏のリードのもと「岡崎家守構想」がまとめられることとなり、中心市街地と乙川リバーフロント地区のリノベーションまちづくりの一環として、連尺通の空きビルが借り上げられ改装された。6月11日(土)、事業の先導役として始まった「グラスパークビル」の内覧会が行われ、私も当日の報告会とオープニングパーティーに参加した。
現在進行中の乙川リバーフロント計画は、昨年3月の「かわまちづくり」に続き、この5月に「歴史まちづくり」の国の事業認定を受け、国、県、民間の協力のもとで順調に進んできている。昨秋より具現化してきた事業が現在、市民の目で見て分かる形となってきていることを喜んでいる。やはり物事は「百聞は一見に如かず」であり、各地より賛同の声が続々と集まってきている。
そうした中、先月末には全国の優れたまちづくり事業に対して与えられる『まち交大賞』のうち「まちづくりシナリオ賞」を受賞することも決定した。乙川リバーフロント計画の内容が第三者の目から見ても非常に優れたものであることが証明されたものと思っている。乙川リバーフロント計画を中心とする岡崎の再開発事業、新たなまちづくりの試みが今や、全国から注目されるものとなっているということを改めて申し上げたい。
あらゆる会合で私が申し上げている通り、まちづくりというのは単なるハード事業で達成されるようなものではなく、施設の機能と空間を活かして地域活性化のためにどのようなソフト事業を行い、いかに民間の事業を支援してゆくかということが重要なポイントとなると考えている。
そうした私達の考えを体現する形で、この度、中心市街地の空き家・空き地などの遊休不動産の利活用を考える「リノベーションまちづくり」が検討され民間主導で「岡崎家守構想」というものが実施されることとなったのである。
この家守構想の発想の大本は、江戸時代の江戸城下町の運営方式にヒントを得たものである。天保年間(1831~1845年)当時の江戸の人口は60万人ほどであり、治安を管理する正規の幕府の役人は300人ほどであったという。当時1647町あった各町はそれぞれ各社(やしろ)を中心に統轄されており、さらに不在地主(大名や武士など)の土地に建てられた長屋の管理は「家守(やもり)」と名付けられた人々に任されていた。彼らは、全国各地より江戸に集まり住み着いた長屋の住民から家賃を徴収し、それを地主に収めて管理手数料を得るシステムを担っていた。また長屋だけではなく、何より地区の運営マネージャーとしての役割を果たしていた。
今回この「家守」のシステムを中心市街地の活性化に応用しようというのが「岡崎家守構想」なのである。
去る2月、康生地区において「リノベーションスクール@(アット)岡崎」というイベントが3日間にわたって行われた。リノベーションまちづくりとは、様々な民間の空き家・空き地利用プランを持つ方達と不動産の活用を企てる地主とを結びつけ、地主には維持費や固定資産税負担の軽減をもたらし、事業者には新事業展開の場を提供するもので、双方の利益にかなうものである。このことによって中心市街地の活性化を図ろうというのが構想の目的である。
対象となる地域は中心市街地と乙川リバーフロント地区である。もともとこの地区は公共サービス施設と共に小商いを行う店が集まっており、民間の空き家、空きビルにとどまらず、これから整備を進める乙川河川や中央緑道、公園などと共に活性化を図るものである。
今回の結果次第で対象地域を広げたり、他の地域における活動を企てることも考えられることになるだろう。
「グラスパークビル」はもともと剣道をはじめ武道関係の用具を販売する3階建てのビルであった。5年前に閉店し、これまでそのままにされていたものである。
新しいビルは1階に飲食店用のテナントスペースを設け、複数の事業者が交替で運用することとなっている。また他のフロアについては、テナントスペースとして貸事務所やレストラン、シェアオフィスとして利用されることになっている。屋上へもループ階段で上がれるようになっており、屋上のスペースも含めてまだ利活用プランはふくらみそうである。
このエリアにおいてはグラスピークビルをはじめ、「リノベーションまちづくり」の取り組みが様々な不動産で展開され、新たな起業家の育成を図ることになる。すでに近隣の空きビルではカフェやせんべいの店、子育て中の母親が集うスペースをこの夏頃までに実現してゆくことになっている。
個々の事業計画は単なる夢の実現ではなく、起業のための資金の調達から返済方法、黒字化の見通しなどキチンとした計画のもとにすすめられており、実現性と成功性の高いしっかりした計画がそろっている。
このような民間のチャレンジの中から一つでも多くのまちおこしの起爆剤となる事業が現れてくることを願っている。そうした事業が増えることによって中心市街地に賑わいが生まれ、さらなるリノベーションまちづくりが広がることを期待するものである。そのために、これからも官民共に知恵を出し、まちづくりを進めてゆきたいと考えている。
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