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2016年4月20日 (水)

第25回湿地サミットin岡崎(北山湿地)

北山湿地(岡崎市池金町)

 岡崎市の池金町の山間地に26.60ヘクタールの湿地帯がある。昭和40~50年代に全国的なゴルフ場開発ブームがあった折、ここはかつてその民間ゴルフ場の候補地となっていた場所である。
 そのことを察知した岡崎市は、乱開発の防止と乙川の水源涵養を目的として昭和54年(1979年)に市有地として入手。翌55年(1980年)、この土地は県農地林務部による自然環境保全地域の候補地調査により希少性を確認され、「北山湿地」と命名された。以後、希少動植物の生息地として今日まで保全されているものである。

 去る4月15日(金)、「第25回湿地サミット」が東部地域交流センター・むらさきかん、北山湿地、岡崎市ホタル学校の3箇所で開催された。今回のサミットは本市の市制100周年記念事業の一つであり、13市町40団体の約250人の皆様の参加を得て盛大に行われた。
 それに先がけて、4月13日に現地の視察に足を運ぶこととなった。市有地として入手した当時の市長が私の父であったこともあり、当時から北山湿地の名は折に触れ耳にしていたところでもあった。

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 13日当日、車高が高く環境にやさしいというPHEV、三菱アウトランダーに乗り込んで山道を抜けて現地に向かった。途中の経路に揺れながら、公用車のクラウンではなく車を乗り換えて来た理由がよく分かった。
 同じ岡崎市内であるのに池金町の山林の中は空気が澄み、新緑の木々も芽吹き始めていた。愛知教育大学の渡邊幹男教授、おかざき湿地保護の会会長の小玉公明さんと名刺交換をした後にお二人の案内で湿地の現地調査を行った。市内の写真展において、よく題材として使われる北山湿地であるが、私が直接訪れるのはこれが初めてのことである。

北山湿地(岡崎市池金町)

 サミット開催に備えて現地は、歩道の整備、木製の渡り橋の補強並びにスベリ止めまで湿地保護の会の皆様の御協力によってしっかりと整備されていた。
 私達は自然保護と言えば、スペースを確保して、その地をあるがままに放置しておくことと勘違いしがちであるが、森林でも枝打ち、下草刈り、間伐と手入れが必要なように、湿地を維持するためにも適当な伐採が必要となる。木が多過ぎると水分をみな吸い上げてしまい、ただの森になってしまう。また太陽光の適当な照射が無くては微生物が育たないそうである。
 自然の生態系というものが実に様々なものの微妙なバランスによって成り立っているということが、湿地の成立要因からも分かるものである。言うなれば、人間の力はそのバランスのお手伝いをするために必要とされるのである。

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(ギフチョウの卵)

 この北山湿地は、平成20年(2008年)3月に策定した「岡崎市自然環境保全条例」によって自然環境保護区にも指定されており、将来的には国の天然記念物の指定も目指すものである。大小様々な特徴をもつ10余りの湿地群から成り、また多様な植生と動物の分布があり、ここでしか見ることのできない希少なものもあるという。本地域は全域が都市計画区域に含まれ、地域森林計画市有林であり、保有林にも指定されている。
 この地域内での動物の捕獲、木竹の伐採、植物の採取などの行為は許可された整備のためのものを除き、原則禁止されている。時折り植物を採取して持ち去る人がいるが、土質と生育環境が合わなければ根付くことは難しいため、くれぐれもつつしんで頂きたいものだ。

―当日の挨拶―
 皆様、おはようございます。岡崎市長の内田康宏です。
 本日は「岡崎市市制100周年記念事業・第25回湿地サミット」に、市内外から多くの方にお越し頂きまして、誠にありがとうございます。
 今回のサミットでは、遺伝子を用いた植物分類のスペシャリストであられます愛知教育大学の渡邊幹男教授の御指導の下、岡崎市が全国の自治体に先駆けて初めての策定を目指す「北山湿地保全管理計画(案)」に関する講演を行わせて頂きます。
 皆様も御存じのとおり湿地とは自然のままにしておけば遷移(せんい)が進行し、いずれは失われてしまうものです。しかし、人が手助けすることで遷移の進行を食い止め、希少な野生動植物の宝庫である湿地を次世代に引き継ぐことができます。そのための方針を「北山湿地保全管理計画」に明記し、今後の湿地の保全活動の基礎として活用して参りたいと思います。私も先日、小玉公明会長と渡邊先生の御案内で現地を歩いて参りまして、多くの方の御尽力により湿地が保全されていることを確認したところです。
 本日、サミット初の試みといたしまして、今後の湿地保全に向けた関係者全員の共通目標として「おかざき宣言」を表明いたします。今回の講演と宣言が、少しでも参加者の皆様の今後の湿地保全活動の役に立ちましたら幸いであります。
 さて話は変わりますが、岡崎市は今年、市制施行100周年という大きな節目の年を迎えております。これまでの100年を生かし、次の100年を見据えて事業の展開を計って参ります。環境行政の分野におきましても、北山湿地の愛知県天然記念物の指定への動きなどがあります。豊かな水と緑の中に生物がにぎわい、生物多様性の恩恵を将来にわたって享受でき、暮らす人々と自然とのふれあいに満ちたまちの実現を目指し、必要な環境施策を推進してゆく覚悟であります。
 なお、北山湿地の土地がゴルフ場開発の波にのまれようとしていた40年ほど前、市の所有地として保護したのが当時の市長である私の父でした。今回私がこの仕事に携わることに不思議な御縁を感じております。
 このように様々な事業を推進してゆく中で、このまちに生まれた子供たちが岡崎に生まれたことを喜び、誇りに思える「夢ある次の新しい岡崎」を築いてまいりたいと考えております。
 おわりに、本サミットのますますの御発展と、本日お集まりの皆様方の御健勝、そして今日が有意義な1日となりますことを祈念いたしまして挨拶とさせて頂きます。

―お問い合わせ・ホームページ―

岡崎市 環境部 環境保全課
〒444-8601 岡崎市十王町二丁目9番地
TEL 0564-23-6188  FAX 0564-23-6536
kankyohozen@city.okazaki.aichi.jp
北山湿地のホームページはこちらです。

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