平成27年度 山村問題懇談会
県会議員の時に私は山村振興議員連盟の副会長をしていたが、同連盟の県議17名、三河市町村の山村を有する自治体の長、県知事及び県関係者が集う「山村問題懇談会」が、8月12日(水)、豊田市の小原交流館にて行われた。なお昨年度の懇談会は岡崎市のぬかた会館で開催されている。
このところ、全国的に人口減少が話題となっているところであるが、日本の産業中枢圏である愛知県は、数少ない人口増加県である。幸いにも岡崎市も平成42~3年頃までは人口増の予測となっている。
しかしながら同じ県内にあっても、中山間地域ではいち早く人口減少が始まっている。さらに若年人口の流出に伴う高齢化率の上昇も加わり、困難な問題を二重に抱えることとなった。
現在、国においては地方創生に向けた各種の取り組みが積極的に進められている。岡崎においても地方版の総合戦略を新たに策定する中で、山間地域への定住を促進する施策を考えているところである。
こうした状況の中、人口過密な首都圏で生活する若者の中には逆に「田園回帰」の志向性もあり、都市圏から、ゆったりして空気もきれいな、緑あふれる山村地域への移動を希望する人が増えてきているという。ところが本市においては、空き家はあっても移住希望者への貸し出しということがうまく進んでいないという現実がある。
「新たな山村振興ビジョン」の策定にあたって、愛知県が実施した〝小規模高齢化集落実態調査〟の結果によると、空き屋所有者のうち家を貸したり売ったりしても良いという人は29.8%であった。47.4%の人は貸すつもりはないと回答していた。
このように地域においては依然、保守的な傾向が強く、口では地域の人口減を嘆きながらも本心としては「考え方や生活習慣の違うヨソ者は受け入れたくない」というところがうかがえるようである。そのために、せっかく地域に移住を望む都市生活者がいても、さきざきの生活の困難性を考えて移住を思いとどまってしまうケースもあるという。
さらに付け加えるならば、外に出た自分の子供達すら戻りたがらない不便な所に他人の移住を勧奨するためには、それなりの環境整備と利便性の向上が不可欠となってくる。都市生活の便利さに慣れた者にとって、実際に移り住む先にコンビニも無いということは一種の恐怖ですらあるのである。
中山間地への定住を促進するためには、その地で自活できる仕事の確保と共に集落における医療、教育、福祉を含めた利便性の向上と地元民の意識改革が必要となってくる。
アンケート調査の結果としては、買い物・通院・通学の移動支援や、住民同士の交流・親睦に対する取り組みが望まれており、さらに将来の集落共同体における人口減による活動費の不足、個人負担の増加を含め、集落の存続そのものに対する不安の声がある。しかも人間は、より以上の安心安全、便利快適さを望むものであり、様々な対応策をとったからと言って、必ずしも人口が増える保証はない。また、今後集落規模が縮小してゆく中で、地域における活動、伝統・文化の継承といったことも困難なことになってくる。
自治体単独の取り組みでは不十分で効率も悪くなる。こうした状況に対応するためには、近隣の同様な条件を持つ集落は市域を越えて連携し、共同する施策が必要となるだろう。
現在愛知県では「三河の山里サポートデスク事業」が行われており、都市の住民からボランティアを募り、中山間地の地域活動のお手伝いをして頂いているという。これからはこうしたシステムを十分活用すると共に、行政区域を越えた協力・共同による各種対応策を講じてゆくことになるものと思われる。 (つづく)
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