人生、これ忍耐?
先日、某新聞を読んでいたら、40代の男性が「妻のくだらない話が悩みの種」と書いている記事を見つけた。「主語がなく何の話だか分からない。盛り上がりもオチもないマシンガン・トークが延々と10分くらい続く」というのである。思わず「オーッ同志よ!」と叫びたくなってしまった。私がいつも家で思っていることと同じであった。(不幸なことに彼の場合、対面して話を聞かされるそうだ。)
ことに、仕事で疲れ、ようやく家に帰りつきホッとした時にこれをやられるとたまらない。インディアンの待ち伏せをくらった第七騎兵隊のようなもので、ひとたまりもない。疲労感は倍増、不快指数は300%となる。
しかもNHKの定時ニュースを見始めたような時に限って話しかけてくる。そのため「人が国際情勢を考えている時に、隣の猫が屁をこいたみたいなくだらない話をしてくるな!」とか言ってモメることになる。いつもあまりのタイミングの良さに、嫌がらせでワザとやってるのかと思うほどである。
かつてカリフォルニア州のカーメル市長をやっていたクリント・イーストウッドは、記者から「夫婦生活を円満に長く続けるコツは?」と尋ねられた時、「忍耐の心で、ともかく妻の話をよく聞いてやることです」と答えていた。「さすがはダーティ・ハリー、クールだ」と当時感心したものであった。確かこのセリフを私は結婚式の祝辞の中で使ったこともある。ところがしばらくして、御本人のイーストウッドも離婚したため、「やはり、彼の我慢にも限界があったのか」と思った次第である。
新聞には、併せて妻対策も掲載されていた。「10分くらいのことなら我慢して聞いてあげて下さい」とか「聞いているフリだけしていればいいのです」とか、「時には怒った方がいい」から「自分が選んだ相手なのだから、あきらめなさい」、はたまた「ダンナの方もつまらないグチ話を繰り返すことが多く、お互い様」といった意見が寄せられ、最後は「くだらない会話でもあるだけマシ。夫婦間で会話の無くなった状態こそ危機的状況を招くことになる」という警句のような言葉で結ばれていた。
「あんなに情熱的であった二人なのに、〝あれから40年!〟」。どっかで聞いたセリフである。
近年、60代の再婚が急増しているという。60代で再婚と言うことはこの長寿時代、死別より離婚の挙げ句というケースが多いのであろう。60面(づら)下げて再婚なんて、さらにめんどうくさそうである。そうならないためには「ただ忍耐あるのみか」と思うこの頃である。
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