中島雨水ポンプ場が完成しました
4月16日(木)、完成を待たれていた「中島雨水ポンプ場」(岡崎市中島町字川田43番地1)が完工式を迎えた。中島雨水ポンプ場は、岡崎市南部の雨水を地下のトンネルから取水し、一級河川・広田川(こうたがわ)に排水するための下水道施設である。
岡崎平野はもともと矢作川及びその支川の氾濫原であり、川の流れは自然の地形勾配に沿って矢作古川の位置を流れ下り、三河湾へと注がれていた。乙川を始め、伊賀川、青木川などの矢作川支川もかつては久後崎付近を南下し、矢作古川に流れ込んでいたため、市南部一帯の平野部は何度も洪水・浸水に襲われたのである。
岡崎市南部の中島地区では、平成12年の東海豪雨や平成20年8月末豪雨などのゲリラ豪雨により、甚大な浸水被害が発生してきたという経緯がある。中島雨水ポンプ場の排水区域のうち、主に浸水するのは、字「紅蓮」(こうれん)と字「流」(ながれ)の区域である。地形の特徴を字名がよく表していると言える。
岡崎市南部は長い間、農業地域として発展してきたところであり、これまでは田んぼが雨水の保水機能を果たしてきたという側面があった。しかし、元々の地形が平坦な農地であるため、増水によって河川の水位が上がると、雨水の排水ができなくなるという難点もあった。しかも、近年の急激な宅地化による農地の減少と異常気象による局地的豪雨の頻発によって、中島地区においても度重なる浸水被害が発生し、地域の重要課題となってきたのである。
こうした浸水被害を解消するために一級河川・広田川の河川改修が行われ、これにより下水道事業による雨水排水整備も可能となった。そこで新たなポンプ場建設計画が策定され、平成23年より建設工事が始まったのである。
中島ポンプ場は、3台のゲート・ポンプ設備により毎秒3.4立方メートルの排水能力がある。鉄筋コンクリート構造の建物の中には非常用の自家発電装置を備えており、停電した折にも20時間は排水を継続できる仕組みとなっている。
今回中島ポンプ場が完成したことによって、当地域の長年の懸案事項であった浸水被害が解消・軽減されることが期待されている。この新しいポンプ場が役立つような機会が来ないことがベストであるが、今後まさかの時の地域の安全と住民の暮らしを守る新たな礎となることを祈るばかりである。
浸水被害というのは因果関係が複雑であるため、一つの対策を講じればそれで解消できるというものではない。岡崎市では、頻発する局地的な集中豪雨や都市型水害に対し、市民・事業者・行政が一体となって効率的で効果的な浸水対策に取り組むために必要となる「総合雨水対策」の計画策定に取り組んでいるところである。
河川改修、雨水管きょや調整池の整備、ポンプ場の建設など効果的なハード対策を推進する一方、浸水危険区域の指定や建築制限により新たな浸水被害を防ぐ対策を講じることを想定している。具体的には、中島雨水ポンプ場と同様にこれまで実現できなかった「福岡雨水ポンプ場」(建設中)や「針崎雨水ポンプ場」(平成26年10月完成)などの浸水対策を進めているほか、六名地区の浸水対策(「六名雨水ポンプ場」ほか)や北部地域においても早川地区や伊賀地区などの浸水対策を進めているところである。
最後になりますが、この度の事業推進にあたって、一方ならぬ御協力を賜ったお地元の皆様並びに関係者の方々に心から感謝を申し上げます。
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