岡崎市の消防・防災体制について
11月16日(日)、今年も恒例の「消防団連合観閲式」が秋空の下、乙川河川敷において開催された。消防団組織は全国各地にあるものであるが、岡崎市のように市内各地域に根ざした多団制で、毎年このように全市をあげて整然とした組織的演習を行っているところは多くないという。
昨年知事の名代(みょうだい)として出席された副知事から「県内各地を訪れましたが、これほど統制がとれた立派な観閲式は初めて拝見しました」とお褒めの言葉を頂いたものである。
私達市民が、日々安全で安心な生活を当然の如く享受できているのも、消防関係者の皆さんのいつに変わらぬ御尽力のおかげであり、心より感謝を申し上げる次第である。今年も多くの皆さんが表彰並びに感謝状を受けられたが、長年にわたる地域社会への御貢献、御協力に対し誠に頭の下がる思いである。
本市としては、こうした消防団の皆様の御苦労に報いるため、年末までに、動きやすくスマートで暖かい防寒コートを新調することにしている。
また先日、県の防災ヘリコプター「わかしゃち」による「大規模災害時・被災状況偵察訓練」が行われた。私もヘリに同乗し、額田地区の山間部から市東部の乙川上流域を重点的に、空からの視察を行った。
旧額田町との合併により、山間域が全市の60%となった岡崎市であるが、改めて森林地帯の地勢というものを目視で確認することができ、大変参考になったと思っている。
「わかしゃち」は、ベトナム戦争で用いられたベル社製UH-1イロコイ機を改造したような、同じベル社製の412EP機である。機内には様々な救助用機具が搭載されていた。
機体右側の扉の上部には、救助用ホイストという救助ロープ巻き上げ装置が取り付けられていた。折角の機会でもあり、私も簡易宙づり(?)体験をさせてもらうことにした。空の救護活動は、小さなミス一つが救護者だけでなく自らも命を失う可能性がある。訓練とはいえ実戦さながらに確認の手順を大声で示しながら行う隊員の姿に、救護活動の厳しさを感じることができたような気がした。
この夏の広島における土砂災害の教訓もあり、類似の地質構造をもつ本市としては、危険箇所の地質調査と共に山間地における防災、減災、救護、対策のあり方を再検討すべきであると考えている。
山と言えば、御嶽山の噴火災害支援活動に本市から16名の消防署員が出動している。先般、中消防署(岡崎市消防本部)の山本治係長より活動結果の報告を受けたものであるが、天候不良による現場の状況は悪化するばかりで、水を含んだ粘土質の火山灰の中で二次災害の危険もある中、捜索活動を行ったとのことであった。6名の行方不明者を残しての下山は不本意のこととは思うが、全員無事に帰還したことと、火山地帯に近接していない岡崎の地勢に感謝するものである。
また観閲式と同時期に、緊急消防援助隊による「中部ブロック合同訓練」が石川県で行われたが、こちらにも本市の署員が参加している。すでにこの春、名古屋空港の自衛隊小牧基地において、全国で唯一この岡崎に配備されている全地形対応車両(レッド・サラマンダー、赤い竜)が、C-130輸送機に搬入可能なことが確認されており、今回能登空港まで初めて空輸され、実働訓練が行われた。
現地、石川県珠洲市においては、深さ1メートルあまりの仮設の池が造成されており、水没している車の救助訓練など、特性を活かした様々な訓練がなされたと聞いている。
多機能な能力を持つレッドサラマンダーであるが、今回の広島の土砂災害や御嶽山の災害では声がかからなかった。ときどき「なぜ出動しなかったのか?」と尋ねられることがあるが、下に人が埋まっている可能性のある所を重車両が走り回る訳にもいかず、今回の両ケースでは活躍の機会はなかったということである。
しかし、今後は、ケースによっては道路の途絶した山間地への出動の可能性もあり、ヘリコプターによる短距離空輸のような訓練の必要性も出てくると思っている。
いずれにせよ、こうした活動は、かつてのサイレント・ネイビー(沈黙の海軍)と同じで、しっかり訓練をして十分な備えをしていても実際に活躍する機会がないことの方が本当は理想的である。
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