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2014年6月16日 (月)

岡崎の人口と将来

 先日、市役所の企画課から、本市の将来人口予測の報告を受けた。日本各地から、過疎化、人口減に対する悲鳴の声が上がる中、「岡崎市の人口は、平成42~43年までは増え続ける」との報告であった。
 その時期まで人口増が期待できる地方都市は全国でわずかな数だという。これもこの地域が「モノづくり」を中核とした豊かな市であり、先人が区画整理事業に力を入れ優良宅地をしっかりと造ってくれたおかげであると感謝している。
 しかしその後の見通しとしては、「人口40万人ほどをピークとしてゆるやかに人口減に向かってゆく」というのが企画課の見解であった。

自治体の人口

 私は以前から「岡崎の都市政策は〝人口50万都市・岡崎〟を念頭に考えるべきだ」と述べてきた。それに対し、ある市議から「岡崎は人口42~3万人が関の山で、後は人口減に向かう」という声を頂いていたが、その指摘もあながち的外れではなかったようだ。
 しかし私としては、〝50万都市計画〟を訂正するつもりはない。予想はえてして外れるものであり、現に岡崎の状況は他都市に比べてずいぶん良好である。しかも、これから本市が取り組む〝夢ある次の新しい岡崎づくり〟の政策が本格的に実行に移されていけば、岡崎はさらに魅力的で面白い都市になるという自信が私にはある。
 現時点の年齢3区分別人口は以下の通りになる。

区分 人口
年少人口(0~14歳) 6万人
生産人口(15~64歳) 25万人
老年人口(65歳以上) 7万人

 同規模の他都市と比べて、岡崎市の特徴は生産人口が高く、老年人口が低いという結果が出ている。しかも若い世代の流入率が高く、高齢者人口の伸びが鈍いという分析もある。これは岡崎に「モノづくり」を中心とした優良な働き口があり、子育て世代にとって岡崎が居住するには魅力的な所と映っていることの証拠である。
 また、高齢者人口の伸びが鈍いということは、車の運転ができなくなった世代が、他地域の身内のいる所や、生活に便利な都会のマンションなどに移転するケースが少なくないことを想像させられる。
 この傾向は医療費や福祉の観点からものを見た時に、都市経営の収支としては悪いことではないとように見えるかもしれない。
 しかし、このことは本市の公共交通機関が十分に行き渡ってないことを示すものでもあり、行政運営の観点からは反省すべき点でもある。この点については、まちバスなどの交通機関の充実について、市民対話集会などを通じて多くの方から要望を頂いており、現在担当課には調査・研究を指示しているところである。
 言うまでもないが、高齢者が住み慣れた故郷で最後まで安心して暮らせるようになってこそ、本当の意味で都市としての高い評価を得られるものであると考えている。

July 27, 2013

 少子高齢化問題というのは国民の多くが高い学歴と豊かな生活を追い求めるようになった先進国共通の課題であるが、ことに我が国の少子高齢化は際だって急速に進んでいる。
 全国の人口減少地域では、あと10~20年もすると、自治体の経営が成り立たなくなるほどの人口減に見舞われる所が出てくるという。ある統計によると2040年には、人口が1万人を切る市町村が全国1,800自治体のうち523(29.1%)にのぼると言われている。
 昨今、フランスやスウェーデンの少子化対策に倣(なら)った、子育て世代の女性支援プロジェクト(女性が安心して子供を産み、育て、働ける社会環境を整備する計画)の必要性が指摘されているが、問題はそれだけではない。子づくりどころか結婚をしない人達が増えているのである。昔と違って「いい年をして独り者」と言われることも少なくなり、近所に世話好きのオバさんの姿を見かけなくなって久しいものがある。
 自己実現と生き甲斐を求める女性の生き方は、もはや押しとどめることのできない時代の奔流となっているようだ。自立心のある女性は、今さら無理に好きでもない男と一緒になろうとはしないし、簡単に別れもする。一方男の方でも気楽な一人暮らしを望む者が増えてきている。要するに人間の考え方が変化してきているのである。
 そうした中、社会の中核を担う生産人口の減少が、将来の我が国の国家的危機を暗示しており、生産のみならず、あらゆる社会活動の領域において人材と人手が不足する事態を招くことが予想されている。
 そこで期待されてしまうのが、まだまだ元気で能力十分な高齢者と優秀な女性の力ということになってくる。しかしそのことが未婚化、晩婚化を促進することとなり、少子高齢化をさらに進ませることになりそうである。

 窮余の一策として、外国人労働者の活用が再び取り沙汰されているが、低賃金で労働力が確保できるとして安易に外国人を受け入れれば後に大きなツケを支払うことになるというのは、一昔前(90年代)に我々も経験しており、今さら改めて説明の必要はないと思う。異なった生活習慣、文化、価値観を持つ人々と社会的共生をするということは、大変な忍耐と寛容の心を必要とすることであり、私達に本当にそれだけの覚悟があるかが問われることになる。
 現実にヨーロッパ社会のように、古代より多人種共生社会の歴史を持つ国々においてさえ、そこから派生する様々な問題が今日もなお続いている。そうした海外の状況を見るにつけ、独自の伝統文化と社会形態を持ち、それが国家としての力となってきた我が国としては、これ以上安易な外国人労働者の受け入れには慎重にならざるをえないと思う。
 もちろん特別な技術や資格、能力を持つ優秀な外国人を取り入れていく政策については、アメリカやシンガポールの例を見るまでもなく必要であると思っている。そういう言い方をすると、まるで人間のランク付け、選別を行っているようで嫌な話であるが、いずれにせよ我々はすでに大なり小なりこうした人間の選別を行いながら生きているのである。各種入学試験、入社試験、資格試験、昇給試験は言うに及ばず、友人、結婚、選挙など全て人間の選別であると言える。

 国家としての人口減対策はひとまず国会で考えてもらうとして、今後も岡崎においては最初に述べたように〝50万都市岡崎〟を念頭に置いて都市政策を考え準備してゆくことが大切であると考えている。その根拠として、岡崎にはまだまだ優良宅地としての候補となる用地空間が十分にあり、また近隣自治体との合併の可能性もあるからである。
 さらに現在進行中の新しい岡崎づくりの政策によって、本市は今以上に魅力ある都市となり、予想よりも長く人口増が続く可能性があると言える。
 ただ本市の中においても、中山間地や郊外地帯と中心市街地との人口や利便性のアンバランスもあり、今後の対策が必要とされている。
 いずれにせよ、国家が宿命的人口減少傾向にある中、我がふるさと・岡崎をどのようにカジ取りすべきか今一度しっかり考えてみる時を迎えていると思っている。

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