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2014年6月 8日 (日)

大恐竜がやってくる! その2(動物園について)

 そもそも「恐竜の森」構想の始まりというのは、「高齢化し、減りつつある東公園の動物達をどうしていくか」というところから生まれたアイデアである。
 昨今の国際的自然動物の保護と動物福祉の気運の高まりの中で、注目される新種の動物を入手することは極めて困難な状況となっている。その影響は国内で繁殖されている動物にも及んでおり、入手のためには高額の出費を覚悟しなければならない。たとえ多額の寄付や希少種の動物の寄贈があっても、その動物にふさわしい最適な施設の準備と維持管理に巨額の費用が必要となる。計画性のない動物の購入は不可能に近いと言える(家で犬猫を飼うのとはわけが違う)。

岡崎市東公園動物園

 現在、東公園で一番人気のゾウのふじ子は31年前に、〝ゆかりのまち〟福山市から送られたゾウであり、飼育係の献身のおかげで46歳の今でも元気である。しかしながら長年の一頭飼いのせいか、よく知らない人には友好的でないという。本来群れで暮らしている動物を長年一頭飼いしてしまった結果でもある。豊橋の動物園ではこれからゾウの多頭飼いを目指すそうであるが、それが本来の姿である。「動物を増やしたら」と簡単に言われる方がよくみえるが、施設整備の問題に加え、動物にも相性という問題がある。決して、動物はモノではなく、彼らにもそれぞれ心があることを忘れてはならない。
 また現在、すべての動物園で動物の多様化、繁殖と並んで重要な課題は運営経費をどうするかということである。岡崎の東公園動物園の場合、入園無料であることが一番のウリなのであるから、有料化を考えない限り、規模の拡大にはおのずから限界がある。さらにもう一つ、東公園は敷地面積こそ大きいものの、公園法や様々な用地的制限もあり、勝手な施設計画を行うことはできない。
 そうした様々な困難な前提条件の中から考え出したプランが、恐竜モニュメントを活用した「恐竜の森」構想なのである。

 かつて私の幼稚園時代(古い話で恐縮です)、毎年春の遠足は名古屋の東山動物園と決まっていた。毎年子供達も入れ替わるため、同じ所でも大した文句も出ず、私は3年保育であったため3年連続で東山動物園に行った。もとより動物園は今でも好きであり、少しも不満はなかった。他の多くの子供がゾウやライオン、ゴリラといったスター達の獣舎の周りに集まっている中、私はいつも一番奥の、現在も植物園の中にあるコンクリート製の恐竜像を見に行き、しばらくそこにクギ付けとなっていた。その後集合時間に間に合うように園内を周り、集合地点へ向かうというのがいつもの行動パターンであった。これは私だけのことかと長い間思っていたが、長じてこの話をしたところ、同様の行動パターンをとっている人が少なくないことを知って驚いている。(元・医師会会長の志賀先生も同じことをしていたそうである。)
 興味のない人には、「動かない恐竜は一回見れば十分」ということかもしれないが、古代生物や地球史に関心の深い人間には、恐竜はたまらない魅力である。今見れば確かにチャチな観は否めない。だが、76年前の昭和13年に造られたコンクリート製の恐竜の立像を見つめながらいったいどれだけ多くの子供達が想いを巡らせてきたことであろう。前から後ろから左右からと、ためつすがめつ見上げながら、「どんな鳴き声だろうか?」「色は?」「歩き方は?」「何を食べていたか?」と様々に思いを膨らませ、まったくアキのくることはなかった。

東公園の恐竜(イメージ図)

 歴史的事象や古代生物に関心の薄い方には「何ということのない大きな模型」ということかもしれないが、想いが夢や想像力をかき立て、そこから科学や芸術への芽生えが始まることはよくあることである。世界的な芸術家、科学者といった人達は皆イマジネーションの力が豊かである。昆虫記のファーブルやアインシュタイン、ウォルト・ディズニーや手塚治虫も、映画監督のスティーヴン・スピルバーグも、恐竜博士のジャック・ホーナーや恐竜温血説のロバート・バッカーにしても皆イマジネーションの塊(かたまり)のような人々である。感性豊かな子供達には、大人の目にもはや映らなくなったものも見えている。
 子供達が想像の夢の世界に想念を遊ばせることのできる触媒としての役割を、この新しい恐竜達に期待している。また、今後そうした展示方法をしたいと思っている。

岡崎市東公園動物園

 もちろん東公園の整備計画は「恐竜の森」構想だけではない。岡崎の動物園は名古屋や豊橋の動物園のように、希少動物や珍奇な動物やライオンやトラやゴリラなど人気大型動物のスター指向ではなく、〝古里の動物達〟(シカやタヌキなど、魚類も含めて)というローカルなコンセプトで特色を打ち出せないかと考えている。いわばスキマ商法である。昨今は近くにいて人と共生していながら、町育ちの子供達は自然の生き物の生態を見る機会が少なくなってきている。そうした生息域を失いつつある生き物を、保護の意味も兼ねて動物園で展示飼育できないかと考えている。(現実に今その方向の努力を始めている。)
 そして全体を通した整備の中で、動物園の新しい顔となる動物が手に入るならば、積極的に対応したいと思っている。ある議員からは「温帯でも成育できるフンボルトペンギンはどうか」という意見も頂いている。無料の動物園でゾウを見ることができ、ふれあい体験などで人気のある東公園動物園ではあるが、実は運営経費の一部は皆さんに負担して頂いている。エサやり体験のエサ販売収入だけで毎年1,000万円程もあり、これは公営の動物園ではトップクラスとのことである。これも職員のチエと努力の賜(たまもの)であり、市民の皆さんの御協力のおかげと感謝している。

 今度の新しい「恐竜の森」も、見て、触って、感じて、無料である。完成後はグッズ販売の方で皆様の御協力を期待しております。
 将来的には、ビッグバンから始まる宇宙138億年の時の流れと生命の進化を感じさせるような施設を目指していきたいと考えている。

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<追記>
 その後恐竜は計5体に増え、東公園時計台前広場にしばらくのあいだ設置することが決まりました。2015年3月29日(日)、同広場にて「恐竜モニュメント完成記念イベント」が開催されました。

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