グライダーから見る、矢作の未来
4月13日(日)、「煙と何とかは高い所へのぼる」と言うように、今年も岡崎飛行クラブの御好意により、体験飛行会の前にグライダーに乗せて頂くこととなった。ブログに書くのも今回で2度目である。(前回はこちら。)
昨年NHKのインタヴューに答えて、「行政を担う者は、時に200~300メートル上空から地域の現況を眺めて見るべきだ」と述べたため、今年もお誘い頂き、二つ返事で実現の運びとなった。
私達は地上からの現地視察、図面や地図によった検討ということは日常よく試みているが、高度200~300メートルという肉眼で目視できる高さから鳥瞰図として行政区を見る機会は少ない。このような視点で郷土を眺め、再考することによって、新たな発想、新規の事業計画の芽生えも期待できると考えている。
昨年は中心市街地上空を20分近く飛び、乙川沿線をじっくりと見直すことができた。緑地帯の配置の様子や道路の整備状況、未利用の空き地の点在する場所など、地域の総体的な様子から細部とのつながりまで、具体的に再確認することができ、その後のリバーフロント整備のプランニングにも活かすことができたと思っている。
今年は曇天に加え、早朝であったせいか、空気が十分に温まっておらず、従って上昇気流の発生も少なく、昨年ほどの滞空時間をとることはできなかった。この点が動力飛行機と違って、風頼みのグライダーの泣き所である。今回は高度を十分にとれなかったこともあって、10分足らずの飛行となったが、それでも矢作川流域から、矢作地区南北の上空をおおむね一回り飛ぶことができた。
実用化されてから最初の飛行機の仕事が、軍事用の偵察であった理由がよく分かる気がする。要するに全景が丸見えなのである。
「砂漠のキツネ」と呼ばれた第二次大戦ドイツ機甲師団のロンメル将軍もただ智略だけで勝利していたわけではない。戦いの前には自ら小型のセスナ型機(注)に乗って敵情視察を行っていたという。敵上空を通過する時はエンジンを切り、グライダー飛行を行ったという。
矢作川流域と言えば、県会議員の頃から、南北をつなぐ幹線の整備や下水道の完成と併せて、公園の建設、狭隘な地域道路の拡幅などが、毎回地域要望として言われてきたことである。
ことに区画整理事業によらず宅地開発されてしまった地区においては、定期運行バスの運行計画も立てられず、ゴミの収集車さえ周回できないエリアもあるのだ。
先般行われた矢作地区の市民対話集会においても改めてそうした問題の指摘があったところである。
今回上空から見ることにより、そうした問題点を追認させられると共に、三菱、フタバ産業、東レなどの工場群はあるものの、宅地以外にまだ大きく残る矢作の農業地帯としての側面を再認識することができ、十分意味のあったものと思っている。
本市の農業を牽引している多くの農業経営者の存在を忘れてはならないし、先代市長までの既存の都市計画マスター・プランの存在もある。こうした現実を無視することはできないが、矢作には広大な空間が十分に残っている。そうした用地の活用いかんによって、この地域にはまだ将来に向けての大きな発展性が感じられるように思う。
現在矢作の真ん中を南北につなぐ矢作桜井線の高架事業が進められており、平成26年度末には完成の予定である。
また国・県と共同しながらの矢作川河川敷、堤防道路を活用した新たな南北道路の工事も進んでいる。併せて、河川敷を利用したウォーキングやサイクリング・コース、また十分なスペースのある場所には、各種スポーツ場や公園としての代替機能をもたせる使用ができないか検討しているところである。
いずれにしても、矢作川は河道改修事業による防災上の一つのポイントであると同時に、市民生活にゆとりをもたらす可能性を秘めた貴重な空間であると言える。
(注) 文中セスナと書きましたが、私の調べた限り、正確にはフィーゼラー「Fi156 シュトルヒ」というドイツ製の軽飛行機です。
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