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2014年4月10日 (木)

オカザえもん岡崎アート広報大臣退任式

オカザえもん岡崎アート広報大臣退任式

 まだ先のことと思っていたのに、とうとうこの日を迎えることとなった。オカザえもんのこの一年間の活躍はそれこそ想定外の出来事であったが、まさに見事なものであったと言える。当地における経済波及効果は42.5億円で、パブリシティ効果(新聞や雑誌への掲載による広告効果)は6.6億円にものぼるという(平成26年3月末現在)。

 昨年5月に「オカザえもん騒動について」というブログを書き始めた頃、「市長よりも、オカザえもんの方が岡崎をアピールする力がある」というご批判の言葉を頂いたが、その通りであった。オカザえもんと、作者の斉と公平太氏、並びに関係者の皆様には重ねて感謝申し上げる次第である。
 3月31日午後1時30分から岡崎アート広報大臣の退任式は行われた。この日は平日であるにもかかわらず、子供連れを含め800名近いファンの皆様が岡崎城二の丸能楽堂にかけつけて下さった。オカザえもんの根強い人気を再確認することとなった。なお、当日はサプライズ・ゲストとしてお兄さんの岡崎衛門之丞も登場した。

オカザえもん 2014年3月31日

オカザえもん

 来賓の感謝の言葉に続き、アート広報大臣たすき返還、そして感謝状の贈呈となったわけであるが、岡崎に対するオカザえもんの貢献度から考えると感謝状程度では申し訳ない気もしている。これからオカザえもんは活躍の場を海外にまで広げたいということであるが、欧米では漢字でタトゥー(入れ墨)を入れる人もいるくらいであるから、岡崎という漢字をモチーフとしたシュールなオカザえもんの風貌は案外受けるかもしれない。

オカザえもん 感謝状

 それにしてもあいちトリエンナーレのプレ・イベントの初日である一昨年11月1日に、テープ・カットの直前に現れたオカザえもんの姿は忘れられない。岡崎の漢字をそのまま顔と胸に描いただけのデザインは、シンプルと言えばシンプルであるが、私には「実に安易な発想のイカもの」と見えた。最初は「どこかの学生がフザケてやっている」程度に思っていたが、後にプロの美術作家の作品であると聞いて驚き。それがそこそこ人気を博していると聞いてさらに驚き。最後に市の担当から「アート広報大臣に任命したい」と言われたまた驚かされたものであった。
 当初は市民の中にも反・オカザえもんの声もあって、あまり気乗りのしない私であった。そんな私を説得して任命式にまでこぎつけた当時の担当部課長や関係者の熱意と先見の明に頭の下がる思いである。
 昨年4月1日の任命式の写真を見ると、私の顔が笑顔になっていないところに本心が現れていると言えるかもしれない。その日テレビのインタビューが始まる前に担当に「一応お世辞を言っておこうか?」と聞いたのであるが、「思うままにしゃべって頂いて結構です」と言われ、それが後に物議をかもす「高校生の文化祭的発想」発言となってしまったのである。しかし、物事は面白いもので「市長はオカザえもんが嫌いだ」という話が先行して、私が狂言回しを担うことでかえってオカザえもんが注目されることになった。(私は「趣味ではない」と言っただけである。)
 「ひこにゃん」や「くまモン」などの例から、ゆるキャラをヒットさせると自治体PRに大きなメリットがあるといううまみに気付いた各地方自治体は我も我もと、キャラクター・コンテストへの参入を図るようになった。ある自治体では、役所の中にゆるキャラ売り出し対策本部(?)のようなものまで作り、担当職員を配置してコンテストの投票アップ対策までとらせたところもあるという。

 その点オカザえもんはスゴイ。我々が何もしなかったということはないが、他の類似の地域PRキャラは役所ぐるみ、組織ぐるみであったのに、オカザえもんはまさに〝放し飼い〟状態で、昨夏の「ご当地キャラ総選挙2013」では2位に、昨年11月の「ゆるキャラグランプリ2013」では参加総数約1500体の中で堂々22位に輝いた。オカザえもんを支持するファンの素朴な思いが中心となってオカザえもんの大躍進を支えたのである。
 それともう一つオカザえもんについて特筆すべきことは、私のような中途半端な芸術好みの人間の間では受けが悪くても、一般大衆、そして一流の芸術家がこぞって「面白い」と評価していた点である。あいちトリエンナーレに参加していた作家たちの評価も高かったし、ことに第2回トリエンナーレ芸術監督の五十嵐太郎氏は、正式に作品として登場する前からオカザえもんの絵を激賞しており、私も直接その話を五十嵐さんからお聞きした一人である。

オカザえもん(おかざき農遊館)

 芸術的評価は一旦おくとして、私がオカザえもんに関して一番好きなのは次のエピソードである。
 前述の「オカザえもん騒動について」シリーズで、私がオカザえもんについて辛辣な書き方をしていると思われたあるお母さんからこんなお手紙を頂いた。
「あまりオカザえもんのことを悪く言わないで下さい。うちの子供はぜんそくですが、毎日ニガイ薬を我慢して飲んでいます。『今度オカザえもんに会いに行くから、薬は必ず飲む』と約束したからです。その後、その話をどこかで聞いたオカザえもんが直接自宅まで来てくれました」

 オカザえもんは単にブームに乗ってヒットした訳ではなく、オカザえもんというキャラクターの持つ、そうした優しくたおやかな心持ちが多くの方々に支持されたのではないかと最近思っている。また養護施設や保育園などへの慰問も度々おこなっていると聞いている。
 オカザえもんのこれまでの岡崎への貢献に対し、重ねて御礼申し上げると共に今後の更なる活躍を祈るものである。

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