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2013年8月25日 (日)

うちの猫 Ⅳ ―ネコ様の自由―

 5匹のネコ共と暮らしていると、時々どちらが主人か分からなくなってくる。疲れて家に帰って来ると、狭い家の中で奴らはそれぞれ手前勝手な所で寝ていて、こちらはそれを踏まないようによけて通る。人間がよけることを知っているから、奴らはどこうとさえしない。まだ申し訳なさそうな顔でもすればともかく、こちらを一瞥して、時にはアクビなんぞをしている。たまにシッポでも踏んづけてやろうかと思うが、娘がうるさいのでそれもできない。
 私が座っているとネコ共が順番に寄って来ることがある。そんな時に、
「お前らは娘を主人だと思っているかもしれんが、アイツはお前らにエサをくれるだけで、エサ代を出すのもフン砂を買って来るのもこの俺だ。そのことをよく覚えておけ」
 と言い聞かせるが、分かっている様子はない。
 犬は飼い主の顔色ぐらい伺うことを知っているが、ネコは本当にしょうもない。人が寝ていても平気で踏んづけて歩いていく。顔の上を通ることさえある(犬はよけて通るか飛び越える)。

 こういうしょうもない奴らばかりであるが、「出来の悪い子ほどカワイイ」のたとえどおり、気が付くと向こうから私のそばに寄って来て、お腹を上にして無警戒で寝ているネコ共の面倒をみてしまっている。前にも書いたがうちの5匹のネコ共はそれぞれ犬とは仲がいい。鼻面を付き合わせて挨拶のようなことをしている。

うちの猫 Ⅳ

 ところがネコ同士は相性の悪い奴がいて、今、一匹家出中である。いる場所は分かっている。ただし何度連れ戻しに行っても、またすぐ脱走してしまう。家の中にいた方が冷暖房完備だし、エサの心配もないのだが決まって出て行くのだ。外に行けば他のネコとのナワバリ・バトルがあるし、エサも自分で探さなくてはならない。大体そのうち病気を移されるか、交通事故でノシイカとなる運命である。帰って来るたびに「お前のような駄ネコの心配をして、病院に連れて行って治療して、エサをたっぷりくれる所はウチしかないんだよ」と言っても、「ニャー」と答えるだけで彼には通じてはいない。
 彼にとって「自由は生命の危険より大切なもの」なのかもしれない。考えてみればネコにとって人間の家はある種の〝監獄〟のようなところだ。避妊手術をしたメスネコたちは結構家の中でおとなしくしているのだが、元オス共はやはり失くした男の血が騒ぐのか外に出たがる。ネコの思いを大切にして、短い人生(ニャンセイ)を好き勝手にさせておく方がいいのか、ムリヤリでも家に閉じ込めておくのがいいのか(それも大変なことであるが)そこが思案のしどころである。

 友人から「最近ネコ話がありませんネ」と言われたのでチョイト書いてみました。

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