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2018年1月29日 (月)

新男川浄水場の更新事業

男川浄水場

 1月12日(金)、運用の始まったばかりの新男川浄水場を視察しました。今回は担当部署の協力も得て、詳しく御報告させて頂きます。
 このたびの事業により、本市の水道水の約5割が新しい施設により浄化された、より新鮮な水として市民の皆様の各家庭にお届けできることをうれしく思っております。


事業の経緯と概要
 本市では今後発生するであろう巨大地震への防災・減災対策のさらなる推進に努めていますが、その一つが男川浄水場の更新事業です。
 男川浄水場は、折しも高度経済成長真っ只中、東京オリンピック翌年の昭和40年(1965年)に、乙川を水源とする本市で3番目の浄水場として誕生しました。以来、半世紀以上にわたり、本市のライフラインの要である水道水の約半分を担う基幹浄水場として、まちづくりと市民生活の両面を支え続けてきましたが、抜本的な老朽化対策と耐震化が必要となり、この度の更新事業を実施することとなりました。
 現在、全国の多くの自治体では、人口減少に加え水需要の減少により水道事業の経営基盤の強化が大きな課題となっており、莫大なコストを要する施設の改築更新は大きな負担となってその対応に苦慮しています。

 こうしたことから本市では、同種の公共施設としては全国で3番目となる先例的な取り組みとして、民間事業者の技術力やノウハウを活用しつつ、財政負担を抑制することを目的としたPFI(Private Finance Initiative)手法を導入しました。その事業方式は、設計及び建設とその後の15年間(平成29~44年)の維持管理(運転管理を除く点検、保守、修繕)を一体で行うBTM(Build Transfer Maintenance)方式で、排水処理設備の運転管理や、発生汚泥の有効利用、また場外の市内各地の配水池・ポンプ場など、既存の145施設の維持管理も含む本市独自のものとなっています。
 こうして平成25年(2013年)に始まった建設工事は計画通り順調に進み、主要設備が完成した昨年の12月7日、旧浄水場から機能を完全に切り替え、無事に通水を開始することができました。
 現在、1月末の完成を目指して、既設構造物の撤去やアクセス道路の舗装など最終の仕上げ工事が急ピッチで進んでおり、晴れて2月6日に完工式典を迎えることとなりました。

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(新男川浄水場の全景、1月中旬)

視察に絡めて施設のポイントなど
 新浄水場は、これまでの約1.2倍、将来の建替えなどの更新を見込んで、東京ドームより少し広い56,000平方メートルの用地を旧浄水場の東側隣接地に確保して建設されました。
 入口のゲートをくぐるとすぐ、緩やかな上りのスロープが続くことで、周辺の土地から3メートルほど嵩上げされていることに気が付きます。これは昭和46年に台風23号が来襲した際に乙川が氾濫して男川浄水場が浸水し、34,000戸が断水した過去の重大事故を教訓に、浸水対策として敷地全体を乙川堤防と同じ高さに嵩上げしているからです。

男川浄水場

 更新事業のポイントである耐震化については、震度6強の南海トラフ巨大地震を考慮した設計となっています。施設全般の耐震化はもちろん、中枢を担う管理棟基礎には60年以上の長期耐久性を備え、水平移動の稼働量が最大で44.7センチにも及ぶ免震装置を設置して地震の揺れそのものを防ぐ構造となっています。
 電源喪失対策としては、浄水場に引き込む高圧受電を2経路確保することで、日常的に停電リスクを回避するとともに、最新のガスタービン式非常用発電設備を導入するなど、災害時でも万全の対策を講じています。

 水質の更なる安全、安心を目指して新設された浄水設備の1つが「粉末活性炭接触池」です。活性炭は原水に含まれる異臭味や有機物を除去するための薬品ですが、専用の施設を設けることで、接触時間を長くしてその効果を最大限に発揮させることができます。
 これまでも水質として全く問題になることはありませんでしたが、飲用のために添加される塩素(次亜塩素酸ナトリウム)と原水に含まれる有機物(フミン質)が化学反応を起こすと、有害な有機塩素化合物(トリハロメタンなど)が生成されることが分かっています。
 現在の高度浄水処理方式でも、これらを完全に除去することはできませんが、健康リスクに関する最新の科学的見地を受けた水質基準の厳格化の流れを踏まえ、本市としても有害物質の一層の低減による水質の向上に鋭意取り組んでいます。

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各施設の案内

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「管理棟」・・・屋上からは西側に隣接する旧男川浄水場のシンボル、高架水槽のほか、市民病院や中央総合公園の武道場などを間近に見ることができる。

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「粉末活性炭接触池」・・・深さ5.0メートル以上の溝がW形に迂回するように配置され、そこを活性炭が混じって真っ黒になった原水がゆっくりと流れていく。

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「フロック形成池」・・・薬品(PAC)を添加して撹拌し、水の濁りを小さな粒(フロック)から少しずつ大きな塊にする(建設中の昨年4月)

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「凝集沈殿池」・・・長さ約50メートル、有効深4.0メートルの沈殿池が4つ。学校のプール約28杯分、約9,900立方メートルの水が一度に処理できる。浄水処理には全体でおよそ8時間を要するが、ここでは、フロック(濁りの塊)が更に大きくなり、約4時間かけてゆっくり沈めて除去されていく。(建設中の昨年4月)

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「中央管理室」・・・運転管理はこれまで通り上下水道局職員の直営となっており、24時間365日の切れ目のない迅速な対応に備えている。最新のクラウドシステムを採用し、重要データを外部サーバで管理することで、災害やトラブルによる消失事故を防止。また市内58箇所の無人施設を一括して監視、運転管理する。

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「水質自動監視装置」・・・毒物や薬物に対するヒメダカの異常な動きを画像処理で感知してアラームを自動発報する。3か所から取水する原水の水質をリアルタイムで厳しく監視している。

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「送水ポンプ棟」・・・年間およそ750万キロワット時の莫大な電力を使う男川浄水場、その心臓部とも言えるのが地下に鎮座する10台のポンプ群。一瞬たりとも休むことなく稼働し、給水区域の約半分を担う根石、大西、本宿の3か所の配水場へ送水を続ける。1日平均配水量は、約58,000立方メートル(平成28年度実績)にのぼる。水道が市民生活を下支えするとは、正にこのことと実感できる地下空間!

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「応急給水施設」・・・災害時にはバルブを開けるだけで給水車に素早く給水できる常設施設。場内道路も広くて余裕があり、一般的な消火栓タイプに比べて簡単で効率的。

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「ガスタービン式非常用発電設備」・・・航空機や火力発電にも利用されるガスタービンエンジンの心臓部を覗く。燃料に軽油を使う違いはあるが、起動したときの轟音に混じって発せられるキーンと耳を突くタービン音は飛行機と同じく迫力満点。

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「太陽光発電設備」・・・170ワットの太陽電池パネル296枚を2列に並べ、50.32キロワットの発電規模を誇る。一般家庭(5キロワット)の10倍規模に相当し、場内の照明などの電力を補助する。この日は晴天で条件が良く、1日で200キロワット時ほど発電したとのこと。最新の500リットル・クラスの冷蔵庫でも半年以上は余裕をもって稼働できる。

締め
 今の日常生活では、蛇口を捻れば水が出るのは当たり前となりました。これは水道事業者の長年の苦労の積み重ねによるものですが、本市では、この「当たり前」を絶やさぬよう、昭和8年の水道事業創設期から直営による運転を行ってきました。
 この度の事業を機に、これまで培った経験や知識を守ることが水道事業者としての責務を果たすことであるとの思いを改めて強くし、更新後も直営による運転を継続することを決断しました。
 半世紀振りにリニューアルされた男川浄水場は、これまで通り24時間365日、上下水道局直営による運転管理体制の下、「安全で安心な水道水の安定供給と市民に愛される浄水場」を目指して職員一同、がんばっています。


男川浄水場市民見学会のご案内
 お伝えしましたとおり、男川浄水場(岡崎市大平町字塚畑1番地)は平成30年1月末に完成します。これを記念して2月10日(土)、11日(日)の2日間、市民見学会を開催します。事前のお申し込みは不要です。どなたでも参加できますのでこの機会にぜひどうぞ。

男川浄水場市民見学会

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