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2016年9月13日 (火)

シン・ゴジラに見る危機管理

GODZILLA

 「秋に選挙を控えて何が映画だ!」とお叱りを受けそうだが、正月に次男と約束したことでもあり、8月16日の夜、最終のレイトショー(9:30PM、1000円です)を利用して、話題の『シン・ゴジラ』を観てきた。
 新作のゴジラは長らく続いていた、ゴジラが他の怪獣と戦うという子供向きのものではなく、第一作のゴジラの内容を現代に焼き直したような、文明批判を含んだものでもあった。

 はじまりは、得体の知れない怪現象の原因となる物体として描かれており、生物というよりその存在の無機質性(ロボット的)なところが目についた。幼体のゴジラは目がぬいぐるみの目のようであり、コッケイであった。東京湾で続発する原因不明の事故、海底トンネルの浸水、船の沈没などに対する政府の危機管理対策からストーリーは始まる。
 今回の映画の特徴はリアリズムに基礎を置いた点にある。現実の日本の行政機構と法体系の中で、何ができて何ができないかという問題が次々にあぶり出される。国防・防災の要諦は「想定外の現実に対して、いかに迅速、かつ適確に対応できるか」ということに尽きると思う。想定されていることには準備ができ、対応もできる。防災、防衛問題のシミュレーションとして参考になった。
 2001年の9・11の折、ブッシュ大統領は小学校の視察中であった。大統領は教室でハイジャック機のWTC(世界貿易センター)ビル突入の報を受けるが、茫然自失となり20分近く思考停止状態の様に見えた(マイケル・ムーア監督の『華氏911』で映像が確認できる)。他人のことを批判するのは簡単であるが、何か予想外のことが起きた時の咄嗟の判断、行動は訓練していない限り容易なことではない。

 映画の中では、動く原子力発電所とも言えるゴジラの活動に対して為すすべが無い。実際に自衛隊に配備され、装備されている兵器・武器によって対処するのであるが、無力であることが実証される。判断の誤りから、初期の段階において主要閣僚の乗ったヘリコプターが墜落してしまい、指揮系統の混乱を招くこととなる。今年の8月、防衛大臣に女性が就任したが、映画も現実と同じく女性であることも面白い。
 優柔不断な臨時内閣に対し、米露中などの大国から、ゴジラ問題を日本国内にとどめるために核兵器を使用するよう圧力がかかる。東京に核攻撃を行うに当たり、「米国はたとえ場所がニューヨークやワシントンであっても同じ判断をするだろう」という台詞はいかにもアメリカらしいと思った。危機管理能力を問われる臨時総理(演じるのは、今年岡崎市の市民栄誉賞を受賞された平泉成さん)の迷い、事後処理と外国からの復興支援までを考える為政者の思惑など、様々な現実的政治の要素をちりばめながら物語は進んでゆく。
 科学者の分析により、ゴジラは深海に不法投棄された核廃棄物に汚染されたものを吸収して、進化したモノであるらしいことが分かってくる。より巨大化し破壊活動を続けるゴジラに対し、最新兵器の数々も歯が立たない。まるで温度の上がった海水の影響と他の低気圧を吸収することにより巨大化する昨今の台風やハリケーンのようでもある。
 最後になってゴジラ対策の秘策を知る科学者が出現するのが映画らしいところと言える。途中までの不作為とは対照的に、終盤のゴジラ対策だけがスピーディーに進んでゆくのも不思議なことであるが、制限時間のある映画ではやむを得ないことだろう。

 防災を担う者はぜひ一見しておくべき映画であると思ったので、部長会の後、防災担当部長に「ヒマな時に一度見るように」と言っておいたところ、さっそく課長と連れ立って観劇に出かけたそうである。そこまでは言っていなかったのに報告レポートが提出されたので、その一部を紹介したい。

シンゴジラを視聴しまして
防災担当部長

考察

① ゴジラを巨大な災害に比喩しての、事実(災害対策基本法第105条に基づく「災害緊急事態の布告」、これに伴う緊急対策本部の設置といった実際の対策)に即した脚本であると感じた。放射能は原発災害、破壊された都市は首都直下型地震を彷彿とさせるものがあった。住民の避難誘導シーンでの「地震時の避難場所では無理だ」という警察官の言葉が印象的であった。

② 初動期における情報収集能力の重要性、想定外の事態に対する対処、また応急時における決断力、臨機応変に対応する能力や人物評価能力の重要性を改めて考えさせられた。

③ シンゴジラの「シン」は「神」、神の雷(いかずち)を表し、現代社会への戒めを象徴しているのではないかと感じた。

 念のため、映画は私費で観に行っている。改めて本市職員のまじめさと優秀さを知ったものである。

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