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2016年6月 4日 (土)

矢作古川分派堰完成に思う

矢作古川分派施設

 5月28日(土)、西尾市志貴野町においてかねてより整備が進められていた「矢作古川分派施設」の完成式の日を迎えた。この新たな堰の完成により、これまで本流である矢作川から矢作古川へ流れ込んでいた水の流れを制限し、本流に比べ脆弱であると言われていた矢作古川における水害の危険性を低減させることが期待されている。
 この矢作古川については、地元において「徳川家康公は河川改修を行ってくれたことは良いが、岡崎地域を守るため西尾で堤防が決壊するようにした」という一つの伝承がある(必ずしも事実ではない)。私もこの話を何度か聞かされたことがあり、岡崎の人間として今回の分派堰の完成はそうした意味からも喜びであり、少々ホッとしているというのが本心である。

矢作古川分派施設

 矢作川は西三河地域にとって母なる川であり、岡崎を古くから舟運の要所として栄えさせるなど、産業、経済、社会、文化の発展に深く寄与してきた歴史がある。現在においても夏の花火大会や各種イベント、散歩やスポーツ、グライダーの発着場等に広く利用されており、身近な水辺空間として多くの住民に親しまれている。
 しかしながら本市に限らず流域の各自治体においてはこれまで幾度もの豪雨を経験し、甚大な浸水被害を受けてきた。中でも平成12年の東海豪雨では上流の豊田市をはじめ、多くの自治体において広範な浸水被害が発生している。

平成20年8月末豪雨(占部右岸・井内地区)

 ことに平成20年8月末豪雨では、岡崎を中心に短時間に集中した局所的な豪雨(146.5mm/時間)であったことから、支川の中小河川が決壊・氾濫し、排水しきれない雨水で多くの家屋が床上・床下浸水をしている。岡崎市の伊賀川沿いにおいては2人の犠牲者を出したことも忘れられない事実である。

 このように深刻な浸水被害を軽減・解消するためには、母なる矢作川の早期改修が必須であり、その中でもこの分派施設は流域の治水バランスを適性に保つといった、非常に重要な役割を担っている。
 私が会長を務めている矢作川改修促進期成同盟会の長年の悲願であった事業が、この度完成を迎えたことに深く感謝を申し上げたいと思うものである。工事計画の策定、準備、着工を経て完工に至るまで多大なる御尽力をいただいた国土交通省の皆様をはじめ、御理解・御協力下さった地域の皆様、また御指導・御支援を賜った国会、県議会、市議会における各議員の皆様には心より感謝、御礼を申し上げる次第である。
 主に愛知県が主導で進めて頂いていた「床上浸水対策特別緊急事業」による河川改修も、今年2月に予定の全区間5河川の改修を完了したところである。これらの整備によって矢作川支川の浸水被害は大きく軽減されるとともに、上流に向けての改修促進も一層進展することを期待している。

 岡崎市は今年「市制施行100周年」の節目の年を迎えており、新たな時代を迎えた岡崎の、さらなる活性化と発展につながり将来のまちづくりの基礎となるよう、多くの事業を展開しているところである。今後も乙川など河川空間を活用した様々な企画で、市民・民間・行政の3者で連携を図りながら、より魅力あふれる観光産業都市の基盤となるまちづくりを進めてゆきたいと考えている。

 ちなみに今回西尾市に完成したこの矢作古川分派堰は、高さ15.94メートル、幅66.5メートルの鉄筋コンクリート製で、下部には高さ1.73メートル、幅9メートルの開口部が2ヶ所ある。矢作古川に流れ込む水量は毎秒200立方メートル以内に抑えられ、これまでの水量の3分の1となるよう設計されている。

矢作古川分派施設

 この施設は堰というにはきわめて特徴的で美しい形状に仕上がっており、洪水時でなければコンクリート敷きの部分は住民の多目的な生活の催しのスペースとして利活用できるものと思う。しかも音の響きも良さそうであるし、屋根付き部分として使用もできそうな場所もあり、夏場の屋外コンサートやイベント会場として最適な場所となりうるような気がする。さらに周辺の緑化・植栽を上手に進めることができれば、公園を兼ねた地域の名所となる可能性も秘めている。隣市ではあるが、こうした素晴らしい施設の完成を心から祝すものである。

 台風や大雨の際は氾濫を起こし、人々の安全を脅かすこともある河川も上手に使えば、普段は憩いの場、家族連れで賑わう自然豊かな水辺空間として活用することができる。これから迎えるさらなる少子高齢化の時代を考えた時、我々の身近な生活圏において、より手軽にお金をかけずに楽しめる空間を創造するということがより重要性を増すものと思う。
 市民・住民の安全安心を支え、まちの発展を支える礎となり都市に活力と賑わいをもたらす河川の整備に対し、今まで以上の連携と協力により、より良い地域社会を造り上げてゆきたいと思う式典であった。


矢作古川分派施設(堰を含む)の起工式典 (2014.05.31)

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