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2015年10月11日 (日)

第9回 消防団員消防技術発表会

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 9月27日(日)早朝、乙川河川敷において第9回目の消防団員による消防技術発表会が開かれた。地域住民との共同の防災訓練は全国各地でよく行われているが、消防団員の士気の鼓舞と技術の向上を目的とした実戦的な技術錬磨の競技を行っている所はあまり例がないそうである。そのせいか、当日は早朝にもかかわらず他市からも視察の関係者が訪れていた。
 これは形式的な訓練ではなく「より実戦的な訓練を行いたい」という岡崎市の消防団員達の声を受けて消防署が考え出したモノだという。訓練の一つである放水訓練は、分かりやすく言えば、アメリカの刑事映画によく出てくる射撃訓練の場面で順番に標的が現れそれを次々に撃ち倒す形式のモノに似ている。具体的には地震による火災発生を前提として4つの標的が設定されている。標的への放水の順番は自由であり、基本的にタイム競技となっている。

【第1標的】
20kgくらいの石を3個、2メートル程の高さの台からホースの水ではじき飛ばす。
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【第2標的】
2階建ての窓部までロープに下げたボールを吹き入れる。
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【第3標的】
回転標識を10回転ほどさせて鎮火の旗を上げる。
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【第4標的】
大ダライの中のボールを水ではじき出す。
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 今回の発表会は23の消防団が出場し、こうした4種の標的をクリアしたタイムの合計が競われた。それぞれの競技には実戦的で正確な技術が要求され、6分以内にすべての試技を終了することが求められている。
 服装も実戦さながらに防水コートまで着用し、実車両を用いて出動するところから始まる。単に型を競うものではなく、実際に放水して技術の優劣を競うものであるだけに各隊とも真剣さが一層際立っている。
 先行の隊が良い試技を行えば、後続の隊は更に気合いのこもった試技となっていくことが間近で見ていて良く分かる。6分以内で全試技を終了する規定となっているそうであるが、私が見ることのできた8つの隊はすべて3分前後で試技を終えていた。
 ふつうの競技会では、ホースを落としたり手順が悪かったりすると減点されるものである。しかしこの技術発表会は、結果とスピードを重視して競うものであるため、ミスは実際の時にも有り得るものとして問われない。あくまで実戦に即したタイム・トライアルなのである。
 試技を終えてすぐ、本部前に立つ各団長の所まで、それぞれの隊が報告のために勢揃いするのであるが、肩で息をする小隊長の報告の声がかすれることがある点にも競技に対する真剣さがうかがえるようだ。

1.ポンプ車及び小型動力ポンプ付積載車の部(出場13チーム)

消防団名 部 名
優勝 岩津消防団 混成
準優勝 額田消防団 混成
敢闘賞 福岡消防団 混成
敢闘賞 広幡消防団 混成

2.小型動力ポンプ積載車の部(出場10チーム)

消防団名 部 名
優勝 羽根消防団 混成
準優勝 岩津消防団 混成
敢闘賞 額田消防団 混成

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 市民の皆様には、プロではない準ボランティアの消防団の方々がこれほどまでに真剣に岡崎の消防活動のためにガンバってくれていることを、ぜひ理解して頂きたいものである。岡崎市民の安心と安全はプロフェッショナルである常備消防の力と共に彼ら消防団の力によって守られているのである。
 多団制をとっている岡崎の消防団はそれぞれが各地元に密着した組織編成となっているため、より一層各地の地勢や状況に精通しており、いざという時に合理的で素早い活動が期待できるのである。
 ここまで書いて今の岡崎市の消防のあり方というのが、かつての古代ローマの軍隊編成と似ていることに気が付いた。ローマ軍はローマ人からなる正規軍が中核を担い、帝国各地で編成された予備軍がそれをサポートする形で構成されていたのである(ただし時代の経過と共に内実は変化して行った)。

 それから先日の記者会見の折に「全地形対応車両であるレッド・サラマンダーが度重なる自然災害になぜ出動しないのか?」という質問が出たので、この点にも触れておきたい。
 確かに全地形対応で水陸両用(水深1.2メートルまで)の対応力もあるサラマンダーがどうして昨年の広島の災害や御嶽山の噴火災害、そして今回の栃木県・茨城県の豪雨災害に出動しないのかというのは素朴な疑問である。
 結論から言えば、サラマンダーはいつでも出動できるように準備万端に待機していた。しかしこの車両は国から預かっているものであり、岡崎市消防本部の担当地区でない所に直接出動はできない。他地区へ出向くためには国か当該県の知事の出動要請が必要となるのである。名古屋空港(小牧)からサラマンダーを福井県に空輸する訓練もすでに済ませており、本市としては常にスタンバイの状態であった。しかし、いずれのケースにも出動要請はなされず出動はなかった。
 少し常識的に考えてみれば分かりそうな話であるが、まだ地下に人が埋まっている可能性のある地盤の上を戦車のような重車両が動く必要があるだろうか? また水害直後の軟弱地盤での活動が合理的であるとは思われない(実際活躍していたのはヘリコプターだった)。もちろん宝の出し惜しみをしている訳ではなく、必要があればいつでもどこへでも出動する準備も覚悟もできている。しかしサイレント・ネイビーと同じで、出る必要のないことが一番幸せと言えるとも思っている。

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 また10月1日、岡崎市消防本部に、火薬類や放射性物質など危険物の消火にあたる特別消火隊が設置された。隊員は特殊火災に対する研修や訓練を重ねており、今後市内で発生する特殊火災消火に対応することになる。こうした特別消火隊の設置は県内2例目となることも付け加えておく。

 さらに10月1日、2日の2日間にわたり、岡崎市民を対象とした自主防災組織リーダーの研修会が行われた。100人ほどの代表者に御参加を頂き、修了書の贈呈式に出席させて頂いた。災害対策と共に、事後の減災ということも重要な仕事であり、そうしたケースで特に地域の防災リーダーの皆様の力が発揮されるものと考えている。地域の安心と安全は、このように幾重にも積み重ねられた多くの人々の総合力によって支えられていることを実感したこの一週間であった。すべての皆様に改めて心から感謝申し上げます。

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