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2015年3月12日 (木)

アメリカからの一枚の写真

Steve and Christina Lammermann

 このところ、しばらく音沙汰の無かったアメリカ人の知人から、「あの時の小さな子供たちを覚えていますか?」という短いメッセージと共に一枚の家族写真が届いた。
 今まで毎年クリスマス・カードをやりとりしていた友人から急に連絡が来なくなったような時は、結婚したか、あるいは離婚したケースが多い。その知人のことも少々気にはなっていたが、幸せそうな笑顔をたたえた親子4人の写真を見て、ほほえましく思うと共に時の経過の早さというものを改めて感じさせられるものであった。

From Englewood to Okazaki

From Englewood to Okazaki

 今から20年程前、私は駐日アメリカ大使館の選考により、日本の地方議員の代表としてクリントン大統領の初当選就任式の公式招待を受けた。写真と便りを送ってくれたのは、その渡米の折に知り合った家族であった。
 1993年(平成5年)1月20日、寒空のもと首都ワシントンの国会議事堂北の公園(ザ・モール)で行われた大統領就任式は、30万人以上の支持者の集う盛大なものであった。就任式に併せて、米国文化情報局(USIA)の主宰する特別プロジェクトに政治家、経済人、マスコミ関係者30人ほどが世界中から招かれており、私もその一人であった。日本人は私のみであった。

The U. S. Presidential Inauguration (1993)

The U. S. Presidential Inauguration (1993)

Sia Cheong Yew (SINGAPORE), Paik Ji-Yeon (KOREA)

 ワシントン滞在中は、タキシード姿で数々のパーティーに参加し、一日4コースほどの講義を一週間こなした後、5つのグループに分かれ、全米を東から西へコース別に訪問した。各地で視察と自国のPR活動を行いながら、同時にいくつかの政治課題(政党制、地方自治、教育制度、人種問題、女性や少数民族、同性愛者の権利等)について調査も行った。集結地のサンフランシスコでは、研究発表とレポート(英文)の提出が課せられていた。
 私はこの体験が切っ掛けとなり、地元新聞に連載記事を持つこととなり、さらに本も一冊(『多岐亡羊』)上梓することができた。自身の人生においてもエポック・メーキングな出来事となったのである。
 何より得難いことは、同じ目的のため協力して調査活動を行った友人が世界中にできたことと、多くの友好的なアメリカ市民と出会いの機会を持てたことであった。

『多岐亡羊』より

 私は世界中どこに行っても、自由時間があれば一人でその町を見て歩く癖がある。その日もコロラド州デンバーの自然科学博物館で世界有数の恐竜化石を見学し、近くの動物園に足を運んでいた。
 行きはホテルから車で送ってもらったが、帰りはバスに乗るつもりで、停留所のイスに腰を下ろして本を読みながらホテル行きのバスを待っていた。目的のバスは1時間に数本しかなく時間も日本ほど正確ではない。個人主義的生活と車社会の徹底したアメリカでは、一般に公共交通機関は日本のように便利なものではないのである。
 そんな時たまたま通りかかった車に「ホテルまで車で送ってあげよう」と声をかけられ、喜んで同乗させてもらった。それがラマーマン夫妻であった。偶然にも夫妻は私と同じ年であり、後部座席にはまだ幼顔の二人の男の子達が座っていた。私がクリントン大統領の就任式に招かれた話をしたところ、民主党支持者である夫妻は大変喜ばれ、話ははずんだものになった。
 60年代~70年代に青春時代を過ごした我々の世代にとって、当時全盛期であったアメリカン・ポップスと世界中どこでも通用するビートルズという共通話題があるため、「あの歌が流行っていた頃は・・・」などとたわいもない話で結構盛り上がることができたのである。

 翌朝、私はデンバーを発たなければならなかった。出発前に、夫妻へのお礼のオミヤゲの品を郵送しようと思ってホテルのカウンターで手続きをしていた。そこへラマーマン夫妻がプレゼントのデンバーのカレンダーを持参して見送りにかけつけてくれ、大変感激したことを今もはっきり覚えている。
 その時の二人の男の子が今回の写真では二人共両親よりも大きな大人(一人はヒゲ面)となっていた。
 ほんのわずかな出会いが、20年以上経った今も一枚の写真でさわやかな幸せをもたらしてくれる交流を生んでいる。そんな自然な親切やおもてなしの心を私達も持ちたいものだと思っている。

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