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2014年9月29日 (月)

ヨコハマ恐竜展2014

ヨコハマ恐竜展2014

 まだ先のことと思っていたが、いよいよ今年の暮れから来年の3月にかけて実物大の恐竜が順番にこの岡崎に搬入されて来る。(私自身、ワクワクしている。)
 製作を依頼している東京の株式会社ココロの社長さんと担当者と、5月から6月にかけて打ち合わせを行った折に、「夏休みに横浜で行われる恐竜展にぜひ来て下さい」と言われていた。それが今回御紹介する「ヨコハマ恐竜展2014」(パシフィコ横浜)である。
 時期的に少々難しいと考えていたのであるが、今回依頼しているティラノサウルスの実物大の動くロボットがあるということで、心動かされていたのである。しかもそのロボットの作者と同じ人物に岡崎のティラノサウルスも製作してもらうことになっているため余計に気になり、上京の折に立ち寄って来た。
 今回の展示は、恐竜の成長過程における形態の変化というものが従来考えられていたよりも多様なものであるということが分かってきたため、そのことを重点的に取り上げたのが特色である。
 もっと分かりやすく言うと、外見の様子が異なっているため、これまで同系列の別種の恐竜として分類されてきたものが、実は単なる成長段階における一時的変異であって、同じ恐竜であったことが分かった、ということである。

ヨコハマ恐竜展2014

ヨコハマ恐竜展2014

ヨコハマ恐竜展2014

 会場に入って、すぐの所にトリケラトプス(角竜)の幼体から成体までの七段階ほどの頭骨化石が順番に並べられていた。幼い頃のトリケラトプスの角は、般若(はんにゃ)の面の角のように上にそっくり返っているのであるが、成長するに従って、敵と対峙する時のためであるかのように前方向に変形してゆくのである。しかしも個体によって角の角度や形状に若干の差違があることも分かってきたという。
 今回新しく発表された研究成果の一つは、これまで異なる種類の角竜(つのりゅう)として分類されていたトリケラトプスとトロサウルスが実は同一種のものであり、トロサウルスはトリケラトプスの成長期の一形態にすぎないということである。
 またトリケラトプスそのものも、幼体の頃にある首回りのフリルの外周にある三角形の突起が、成長するに従って体内に吸収され、成体ではなめらかな形状となるのである。
 カモノハシ竜(草食・ハドロサウルス類)にある頭の鼻骨のトサカの形状にも同様に成長過程の変化があるということも、興味深いものだった。

 私が意外だと思ったのは、頭をぶつけ合ってオスが優劣を競うという生態をもつオオツノヒツジのように、頭骨がヘルメット状(ドーム状)に出ているように見えるパキケファロサウルスである。首や背骨の構造を詳しく調べたところ、頭をぶつけられるような構造となっていないことが判明し、今回定説と思われていたことが覆(くつがえ)された点である。さらに同系異種と思われていたスティギモロクやドラコレックスが、単にパキケファロサウルスの成長過程の亜成体であることも証明されていた。

ヨコハマ恐竜展2014

ヨコハマ恐竜展2014

 ティラノサウルスの走行スピードについても、これまで様々な説があり、当初はゴジラのように尾と足で三点直立しているように言われていた。それがその後の研究で、やじろべえのように足を中心に頭と尾でバランスを取りながら走行していたことが分かり、にわかに走る恐竜というイメージが高まっていた。ところがこれも、体形と体重のバランスから、映画『ジュラシック・パーク』のようなスピード(時速60km)で走ることは不可能なことが分かってきた。ティラノサウルスがプレデター(捕食者)でなく、スカベンジャー(腐肉食者)であるということは昔から言われていたことであるが、今回の歯の構造の研究からその可能性が高いことが強調されるようになった。
 しかし若いティラノサウルスは体重も軽く、走ることも十分可能であり、歯の形状もナイフ状のため捕食者であったことが考えられる。ティラノサウルスが群れで生活していたという説もあり、若い個体がオオカミのように獲物を追いつめ、大型の者が待ち伏せをして捕獲し、とどめをさすという役割分担をしていたことが考えられる。現に大型の化石の中には、骨折した大腿骨が治癒した形跡がうかがえるものがあるという。大腿骨が折れていては動くことはできない。治った跡があるということは、その間誰かが食べ物を運んでいたということである。すなわち、ティラノは基本的に群れ生活であったのではないかというのである。

ヨコハマ恐竜展2014

 考古学の面白さというのは、このように新たに発見される化石の研究によって、次々と定説が覆されてゆくところにある。何せ、実物の恐竜を見たことのある人はいないのであるから、イマジネーションは無限に広がるのである。
 将来、東公園の森の中に設置された恐竜のジオラマを見て、どんなイマジネーションを子供達がふくらませるものか楽しみである。かつて名古屋の東山動物園に通う度、コンクリート製の恐竜の前で何時間も時を過ごしていた私のような子供達が出てくるかもしれない。ひょっとするとそれが切っかけとなって、偉大な研究者、発見者が生まれるかもしれないと期待するものである。

ヨコハマ恐竜展2014

ヨコハマ恐竜展2014

 話を横浜に戻すと、アメリカで発見された様々な恐竜化石の展示と成長過程の分析展示が続いた後、30~40人ほどの子供達が家族と共に列をつくって待っているティラノの実物大ロボットのコーナーがあった。順番に並ぶとベストポジションの写真サービスがあるのである。動く恐竜は、当然のことながら中の機械をスムーズに動かすためスポンジ状のもので肉の部分を形成し、外側はウレタン樹脂でおおわれている。外見はまるで本物を思わせる出来であったが、触れてみると柔らかく不自然であった。本来は今の象の肌のように固さのあるものと思われる。
 岡崎に来るティラノはFRP(繊維強化プラスチック)形成であるため、丈夫でカタイつくりである。手触り感はこちらの方が実物に近いはずである。しかし、どちらも体温が感じられないことは致し方ないだろう。
 出口近くには、小さな子供のための、触って乗って遊べるプレイ恐竜コーナーやグッズ販売コーナーで賑わっていた。やはりこうしたサービスが大切であることを今回も再認識した。

ヨコハマ恐竜展2014

 入口にある最初のパネルに、今回の展示の監修者であり、映画『ジュラシック・パーク』のテクニカル・アドバイザーでもあり、主人公の古生物学者アラン・グラントのモデルとなったジャック・ホーナー博士のメッセージと写真があった。映画製作時から20年以上経っており、さすがに「おじいさんになった感」は否めなかった。彼は今3度目の結婚をして、娘のようなお嫁さんと暮らしているそうである。
 一年中ほとんど砂漠に行って化石の発掘ばかりしていれば、嫁さんから愛想を尽かされても致し方ないのかもしれないと思う。彼も年をとり、かつてほどの元気もなさそうであり、今回の結婚がうまくいくことを願うばかりである。

 いずれにせよ、岡崎への一日も早い恐竜の到着が待たれるものである。今回は五体の仮展示となるわけであるが、将来的には議会答弁にもあるように、東名高速の東側の森林に遊歩道を活かした、歩いて見る〝恐竜の森〟を実現してゆきたいと考えている。そして同時に多目的映像シアター(プラネタリウム)を中心とした宇宙137億年の時の流れと、太陽系と地球の誕生46億年の歴史、人類の誕生までの生命40億年の進化の歩みを考えられる公園として東公園一帯を整備したいと考えている。

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(ホーナー博士の写真は「ヨコハマ恐竜展2014」のパンフレットから借用しました。)

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