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2014年9月12日 (金)

陸上自衛隊 富士総合火力演習・視察 その2

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 8月24日(日)、かねての予定通り、早朝5時半に岡崎を発ち、静岡県御殿場にある「東富士演習場」に向かった。現地に着いた時、同行の一人が「こんなに広い所でやるんですか」と驚いていたので、「あの東宝映画でキングコングとゴジラが戦った舞台だったのですから、このくらい広くて当たり前でしょう」と妙ちくりんな答えをしていた私であった。
 当然と言えば当然のことではあるが、途中の警備もしっかりしており、武装こそしてないものの経路のポイントごとに誘導を兼ねて隊員が厳重に警戒をしていた。
 私達来賓招待客は、陸上自衛隊の富士学校で受け付けをした後、認証を受け取り、専用バスに分乗し会場へ到着したのである。そして再度、入場チケットのチェックを受けてから鈴鹿サーキットのスタジアムのような仮設の階段シートへ案内された。我々の座席の前には広々とした桟敷席が区分けされて設けられており、1万人近い人々が腰を下ろしていた。
 後で当日の全観覧者が2万9000人と聞き、納得した次第である。なお公募枠に対しては13万3000件の応募があったそうである。

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 この「富士総合火力演習」は、陸上自衛隊として最大規模の実弾射撃訓練であり、隊員約2,300人と戦車約80両、火砲60門、航空機約20機が参加するという大がかりなものであった。
 当日は、敵に奪われ占領された島を取り返すという「離島奪還」をテーマとした訓練も含まれており、空自のF-2支援戦闘機や海自のP3C哨戒機の参加もあったが、あいにくの曇天のため飛行機の姿は確認できず、爆音だけが響いていた。
 それでも99式155mm自走榴弾砲(りゅうだんほう)の射撃やヘリコプター部隊の偵察と攻撃(射撃とミサイル)、戦車や装甲車のムダの無い動きは見ていて小気味よいものであった。私としては、日本の国産戦車が世界の一線級の戦車と並び称されるようになったことに格別の感慨を覚えるものである。

The Battle of Peleliu (Wikimedia Commons)

 かつて太平洋戦争の折、南太平洋のペリリュー島攻防戦において、日本の95式軽戦車は、ヨーロッパで88mm砲をもつドイツのタイガー重戦車に歯が立たなかったアメリカのM4シャーマン中戦車に対して、初戦で26両が壊滅させられている。当たり前の話である。日露戦争以来、本格的な兵装強化を行ってこなかった日本陸軍は、37mmの砲を載せただけの装甲車並みの軽戦車で戦いに挑んだ。そのためシャーマンの装甲を破ることはできず、逆に相手の75mm砲によって次々と吹き飛ばされてしまったのである。

 こういった話は、元・戦車部隊に所属し中国大陸に行っていた作家の司馬遼太郎氏の著作に詳しく記されているので省かせて頂く。一言で言って、大人と子供のケンカである。軍事通のアメリカ人のある友人は「日本の戦車は鉄の棺桶」とよく言っていた。(しかしそれでも日本軍はよく戦ったのである。)

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 ところが現実に目の前を疾走する90式戦車や10式戦車はスピード(時速70km)、装甲(セラミック素材を使った外装式装甲)、砲撃力(120mm滑腔砲、かっこうほう)のいずれも世界第一級の性能を保持しており、日本のハイテク技術を尽くした走るコンピューターと呼ばれている。もし外国に輸出できるようになれば、欲しがる国も多いことと思われる。
 花火大会からほどないこともあり、私は、砲塔が浮き上がるような戦車の砲撃を見ても、音の大きさを再認識しただけであったが、前席にいたヒゲづらの大男が砲撃の度に両耳を押さえてブルっていた姿がおかしかった。とは言うものの、戦車砲の一斉砲撃は本当に大迫力であった。

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 現在、我が国の陸上自衛隊は約14万人編成であり、これを全国5つのエリア(北部、東北、東部、中部、西部)に分け、それぞれに方面体(2~4個師団)と呼ばれる単位で分散配置されている。
 さらに海上自衛隊の約4万人、航空自衛隊の約4万人を加えた総勢約22万人が我が国の国防と災害安全対策などに力を尽くしている。
 中国の人民解放軍230万人、北朝鮮の朝鮮人民軍120万人、韓国軍66万人と比較して格段に少なく、心配される方もあるかもしれないが、日本は海という天然の要害に守られており、こちらから攻める予定もないため、専守防衛を目的とした時、相互の保持する兵器のレベルなどの違いを考えれば、現有の力で十分対応できると考えられている。もちろん核兵器は所有してないため、代わりに後ろ盾としての日米安全保障条約とアメリカの存在があるのである。

 演習終了後、改めて会場を見渡した時、間近で警備に当たっている若い自衛官と目が合った。どう見ても、私の子供の世代である。国際関係というものは、刻々変転してゆくものではあるが、こうした模擬演習が実戦とならないことをくれぐれも祈るばかりである。

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<オマケ>

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99式自走155mm榴弾砲 (射程距離30km)

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スナイパー(狙撃兵)――ナマハゲではありません。ギリースーツというカモフラージュ服です。手にしているのはレミントンM700。レミントンのライフルは第一次大戦以来、アメリカの正式狙撃銃。

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AH-64D戦闘ヘリ「アパッチ」

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軍楽隊 (かなりうまい)

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レンジャー部隊の降下

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CH-47J輸送ヘリとジープ (機動作戦)

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10式戦車 (こんなに近くまで)

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2011年配備の10式戦車 (90式より6トンも軽く高性能。3人乗り)

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(ペリリュー島攻防戦の写真は「Wikimedia Commons」から借用しました。)

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