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2014年3月 4日 (火)

ペットとの共生と社会問題

岡崎市動物総合センター あにも

 昭和の時代も終わり頃までは、犬は屋外で飼う動物であった。
 しかし日本の住宅事情と人々の生活様式の変化に伴い、現在では大型犬をマンションで飼っているケースもよく見かける。
 そのように、人間世界に密着して生きるようになった犬猫であるが、その彼らが近年新たな社会問題になっていることを忘れてはならない。まずは古くからあるフン害とノラ猫問題であるが、これは犬猫ではなく飼い主のモラルの問題である。時の流行に左右されて単にかわいいからという理由で子犬や子猫を衝動買いして、飼い切れなくなるとモノのように捨てる無責任な人間がいる。(大体そういう輩の人生は、自らもろくでもないことが起こるものである。)かといって、かわいそうに感じ、無責任にエサを投げ与えるだけというのもこれまた困りものである。結果、不幸な運命を辿る動物が自然増殖することになるのである。
 現在各地で〝地域ネコ対策〟というものが試みられているようである。昨年ブログでお伝えしたように、地域ネコ対策とは具体的には「猫の避妊去勢手術」「捕獲檻による捕獲」「地域の責任において行う公園等での給餌」「猫のフン砂場の設置」などを指す。しかしこれを継続していくためには地域の合意と忍耐と努力と奉仕の心が必要とされ、よほどの覚悟が必要とされる。それよりもその地域の中できちんと飼ってくれる人を見つけることに労力を割く方が、あるいは良いのかもしれない。

岡崎市動物総合センター あにも

 なお岡崎市は平成26年6月から、猫の適性飼育の底上げ及び災害時における対応を容易にするために、市内の獣医師の協力を得て、避妊去勢手術の際における「猫のマイクロチップ埋め込み助成」を導入する予定である。現在は、飼い主のいない猫の問題については地域全体で取り組む「岡崎市ねこの避妊処置モデル事業」を実施している。

 こうした古くて新しい問題に対して、1960年に英国家畜福祉協議会において、健全なる動物福祉思想の普及のために「5フリーダム」(The Five Freedoms)が提唱されている。

1. 飢えと渇きからの自由

2. 不快からの自由

3. 痛み、負傷、病気からの自由

4. 自然な行動をする自由

5. 恐怖や抑圧からの自由

 以上は現在、世界獣医学協会(WVA)における動物福祉の考え方の基本方針となっている。
 こうした考え方のもと、日本の全国各地に動物保護管理センターのような施設(岡崎における「あにも」)ができ、飼い主のない犬猫の保護、管理、処分に当たっているのである。しかし、本来動物は家族の一員としてその一生を面倒みるのが常識である。近年の管理行政の高まりの成果として、年々総数こそ減ってきているものの、依然として毎年全国で16万匹の犬猫が殺処分されている。ここ岡崎においても、毎年犬は30~40頭、猫は300匹あまりが処分されているのである。
 繰り返して言うが、その原因と責任のすべては人間にある。私達はそのことを忘れてはならないと思う。

 ある県では「引き取って処分してくれ」という飼い主に対して、殺処分の現場に立ち会う義務を課すことにより、劇的に処分頭数を減らすことに成功したという。私は愛知県もそうするべきであると思っている。もっとも、売れ残ったペット用の犬猫を悪徳業者が不当処分するケースもあるそうで、課題は尽きない。
 一方で、人間関係がある意味希薄な社会となり、都市部において一人暮らしの方がペットを家族替わりにして生活するケースも増えている。ペットの同伴を認めるお店やレストラン、ホテルや旅館もまた増えている。彼らはもはやペットではなく、家族と同一の存在、コンパニオン・アニマルなのである。

岡崎市動物総合センター あにも

 しかし問題は、それが社会的な認知を得るところまでは行っておらず、当事者の間だけにとどまっている点である。世の中には動物を苦手とする人達もいるのである。それから一人でペットと暮らす場合、もしその人が先に亡くなったらそのペットはどうなるのであろうか? またペットに先に死なれた時のペットロスに対するケアはどうするのか? フン害やノラ猫問題ばかりではなく、私達自身が個人として考え、準備をしておかなくてはならない問題も多様化してきているのである。
 平成24年の時点で、我が国には2000万匹にのぼる犬猫がいて、人間と共に生活している。多頭飼いをしている世帯もあるが、一家5人家族とするとどの家でも犬か猫どちらか一匹はいる勘定になる。
 これ以上ペットが増え、問題が個人の手に余って行政への要求が高まることになれば、ペット税の導入も現実的な話題に上がることになるかもしれないと思うこの頃である。

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