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2012年12月 3日 (月)

親は火消し、娘は火付け

岡崎市消防団 連合観閲式

 11月25日(日)。
 今日は日曜日であるが、朝から大事な会が目白押しである。まず8時40分に顧問をやっている東部ソフトリーグの秋季大会で挨拶と始球式、その次にニューグランドホテルまで行って消防の制服に着替えて岡崎市消防団の観閲式、次に河合学区の総代会で挨拶、そのあと1時半から日本舞踊の「貞寿会」で来賓挨拶、夕方から夜にかけて消防団の表彰伝達式ならびに懇談会が続く。
 ことに今回初めて臨む消防団連合観閲式はプレッシャーが大きかった。

 消防団の経験もないわたくしが消防団の総元締め役をやるのだ。後援会の中には歴代の消防団の幹部のお歴々がキラ星のようにそろっている。
「消防観閲式で市長がきちっと敬礼を決めて挨拶で消防団を締めることができるかどうかで、次の一年間の岡崎消防の士気が決まる」
 だとか、
「ここしばらく消防の観閲式など見に来たことがなかった。今日はお前がきちんとできるかどうか確かめに来た」
「いい加減な敬礼をやったら、しっかりお仕置きだ!」
 などと次から次へと脅かされる。
 市役所で予行演習をやったときは何とかできると思っていたが、当日が近づくにしたがって段々と心配になってきた。なにせ敬礼はボーイスカウトの三本指の敬礼しかやったことがないのだ。そこで得意の映画に頼ることにした。

 まず、『沈黙の戦艦』に出てくる元特殊部隊のコック役のスティーブン・セガール。
 私の知る限り、敬礼姿でこれほどかっこいい人はいない。映画は、アメリカ海軍の白の正式軍装姿のセガールが敬礼をする場面で終わる。そこを静止画像にして手首の曲げ方から指のそらせ方、二本の指だけ少し段差にさせる点、などをしっかり真似した。

 次に毎年必ず見る『トラ・トラ・トラ!』。
 この映画は私の知る限り、最高の戦争映画のひとつである。何よりもドキュメンタリー・タッチでストーリーが進んでいくのがいい。はじめは日米双方とも何とか戦争を回避しようと努力するのであるが、ある段階を過ぎると、戦いの方向に事態が向かって行くことをもう誰も止められなくなってしまう。これは外交と政治を担う者にとって忘れてはならない教訓だと思う。
 いずれにしてもこの映画の冒頭場面は素晴らしい。当時の連合艦隊の旗艦、戦艦「長門」(戦艦大和はまだ完成してなかった)の艦上に船首から船尾にかけて、真っ白な日本海軍二種軍装(夏服)に身を固めた水兵が敬礼をしながら立ち並んでいる。そこに短艇に乗った山村聡演じる山本五十六連合艦隊司令長官が到着する。迎えの笛の合図のあと、捧げ銃(つつ)が行われ、軍楽隊による「海ゆかば」の演奏が始まる。同じく白の将校服に身を固めた海軍将校たちが歩み進む山本五十六に対して次から次へと敬礼をして行く。その敬礼に対して、山本五十六はゆるやかに手を伸ばしながら軍帽のひさしに人差指を付け、ひとりひとりの兵士に目線を送りながら歩みを続ける。そのときの歩き方、スピード、目線の位置、軍帽の角度などをしっかりと記憶にとどめた。これをきちんと再現できたら誰からも文句を言われることはないだろうと思った。
 ついでにひとことだけ付け加えておくと、『トラ・トラ・トラ!』に出てくるゼロ戦、あれだけは許せない。零式艦上戦闘機というのは第二次世界大戦中最も美しい日本の誇るべき飛行機である。それが映画では本物がないので仕方がないが、アメリカのテキサンをベースにした改造機を使っていた。まず機体のフォルムのなめらかさが違う。決定的なのは主翼である。ゼロ戦の主翼は上から見て機体に直角にとりつけられている。ところがテキサンは後退翼である。この点は看過できない。映画に文句をつけても仕方がないが、見るたびにこの点だけがどうしても気になる。ことに山村聡の登場場面で、いい歳をしながら毎回胸が熱くなるだけに、この部分が何とかならないかといつも思っている。

 ところで、今日の消防観閲式のために、各消防団の人たちは各地でそれぞれ練習を積み重ねてきている。さらに今日は朝7時ころからこの河川敷に集結して準備をして見えていたそうだ。毎年のことであるが、ほんとうにご苦労なことである。こうした人たちの努力のおかげで私たちの日常の平穏な生活が当たり前のように続けられるのである。感謝。

 乙川の河川敷に出向くと、山村聡の山本五十六を迎えた海軍将兵のように岡崎消防署の署長から職員まで次から次へとわたくしに敬礼をしてくる。それに対しておもむろに敬礼を返して行く。このときにあわてて敬礼を返してはいけないのだそうだ。
 式典が始まっていよいよ自分の出番が来る。檀上に上がって指揮官の「かしらーっ、なか」の号令を聞きながら再びゆっくりと敬礼をしながら体を160度回転させる。こうした動作が式典の間に数回ある。どちらにしても数百人の消防団員が私に対して視線を集めて敬礼してくるのである。初めはたいへん緊張していたが、だんだん慣れてくるにしたがって快感に変わってくる。来年からははまりそうである。

「櫓のお七」 岡崎市民会館にて

 父親が火消しの親玉の役をやっているちょうど同時刻に、娘は市民会館で2年に一度行われる「貞寿会」の第19回の発表会で名取の一人として、「櫓のお七」(八百屋お七)を演じていた。八百屋のお七とは、江戸火災のときに避難所で一目ぼれした寺の小姓にもう一度会いたくて江戸の大火を引き起こして、火あぶりの刑に処せられたあの女のことである。どういう理由でこれが日本舞踊の演目になったのか私は知らないが、うちの娘がそれをやりたいと言ったとき、私は、
「まさにお前に適役だ」
 と言ってやった。それに対しうちの嫁さんが、
「あなただけ今度もまた娘の晴れ姿が見られないわね」
 と皮肉っぽく言ってきた。

 あとである人が、
「親父が火消しで、娘は火付けか」
 と私に言った。そのときまで私も気が付かなかったが、まさしくそのとおりであった。
 娘の演技はまたのちほどDVDを買ってから見ることにしようと思っている。

追伸
 今日の貞寿会は、西川貞寿先生がお亡くなりになってから初めての発表会であり、私が公職を辞してからご案内をいただいたため、今回の祝辞と来賓挨拶はご遠慮しようと思っていましたが、寿女司先生からの「母はそう望んでいます」というきっぱりとしたお言葉で肩書きなしの祝辞をパンフレットに載せて頂くことになりました。
 選挙の結果によっては両先生にたいへんな恥をかかせる可能性がありました。当選が決まった瞬間、貞寿会のことが脳裏に浮かんできました。ほんとにほっとしています。

「櫓のお七」 岡崎市民会館にて

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